[週刊ファイト4月20日号]収録 [ファイトクラブ]公開中
▼Dボウイ高橋幸宏Jベック坂本龍一★相次ぐ訃報とプロレスよもやま話
東風リッキー 坂本龍一&カクトウギセッション1979~月世界での再会
by 大島慶山 w/編集部編
ミシェル・ヨー主演の映画『エブリシング・エブリウェア・・・』に行ってきた。先行して発表された本誌の記事にも既に記載されているが、SFファンタジー・アクションとでもいうか、家族愛がテーマになった、ある種の特撮物だった。今のIT用語だと、「マルチバースが舞台の作品」と称されるのであろう。
劇中のミシェルと敵役の戦いで、エアプレンスピン、シュミット流バックブリーカーや、ジャンピング・ドリルアホール・パイルドライバー、はたまたフライング・ドロップキックまでも、プロレス技が満載に繰り出されていて面白かった。どう考えても、二人組の脚本・監督コンビはプロレス好きのようだ。編集者でクレジットされるポール・ロジャースは、フリーやバット・カンパニー、ファーム(ジミー・ペイジとのユニット)やクイーンとのコラボで活躍した、あの名ボーカリストとは同姓同名の赤の他人だったけど。
ミシェルが老けたのはしょうがないが、この映画の予告編でデビッド・ボウイの♪タイムが使用されていたのに、予想通り、本編では全く使用されていなかった。断片的にも、小音量でも、微塵ともかからなかった。本編終了後のエンドロールも、必死で目で追い確認したのだが〜ということは、サウンドトラックにも未収録なのだろうな。ミシェル・ヨーのプロレス場面も見物の話題作なので、プロレスファンは、とくとご覧あれ。
近年、『ミッション・インポッシブル』の予告編カーチェイスのスリリングなアクション箇所で、レッド・ツェッペリンの♪胸いっぱいの愛を(Whole Lotta Love)も効果的に使用されていたが、 これも本編に使用されていなかった。なんのスパイ映画か忘れたけど、予告編でクリームの♪ホワイトルー厶が思いっきりフィーチュアされてるのに、本編で使用されてなかったので映画会社に問い合わせたこともある。もっとも、ホアキン・フェニックスの『ジョーカー』では、ちゃんと本編でも意味深な場面に使われていたんだけど・・・。
こんなことは、よくある話なのだ。なんだ、詐欺じゃないかと思ったこともあるが、映画よく見てるくせにそんな事も知らないのと、一笑に付されそうだ。もしかしたらと今回の♪タイムも諦めてはいた。本編で使用されてたら良かったのに・・・。日本の配給会社が選曲、挿入したのだろうか。
ふと、デビッド・ボウイの♪チャイナガールのプロモーションビデオが脳裏に浮かんだ。5月6日(土)に和歌山城で『お城プロレス』を開催するディラン・ジェイムスと、同じニュージーランド出身のモデル兼女優Geeling Ng(1960年生まれ)が、妖艶にデビッド・ボウイ(1947.1.8→2016.1.10)と絡みを見せる(短期間だがボウイと恋仲にもなった)のだが、その相手役を
ミシェル・ヨー(1962.8.6)とか、
ノラ・ミヤオ(1952.1.8)、
バイ・リン(1966.10.10)、
メイ・パン(1950.10.24)
とかが演じたらどうなるだろうかとか、脳内麻薬のAIな妄想が、浮かんでは消えた。通称『エブ・エブ』が、東洋系を家族を軸にしてアカデミー賞まで取ったこともある。
この映画の何日か前に、デビッド・ボウイの『ムーンエイジ・デイドリーム』の残像が、まだこびりついていたからかも知れない・・・。
『ムーンエイジ・デイドリーム』では、オフィシャルとして初解禁となったジェフ・ベック(1944.6.24 →2023.1.10)が、ボウイのハマースミス・オデオンでのライブに飛び入り演奏したキレッキレのプレイが見られる。残念ながらセッションした♪ジーン・ジニーと、♪ラウンド&ラウンドの2曲のうち、♪ジーン・ジニーの曲の中間部でインサートされた、ビートルズの♪ラブミードゥ部分だけなのが、くれぐれも惜しまれる。
といっても音声はリマスタリングされてるし、観客の歓声や拍手も大きく臨場感あふれるミックスにされている。マニアの皆さんなら、ブート映像を高額で入手済みだと思うが(笑)、修正音響は初めて見る方には良いのだろう。
月世界で、ボウイとベックも再会してセッションしてるんだろうなあ。♪ジーン・ジニーは、筆者が、生涯初の購入した音源だ。日本盤の7インチ45RPM(回転)のシングル盤。アナログレコードである。グラムロックの名曲だ。当時はT・レックス共々、浴びるように聴いた。レコードの音溝も擦り切れたものだ。
ボウイの映画を見終わった時に、インターネットで坂本龍一(1952.1.17→2023.3.28)の訃報を知った。ボウイとは、映画『戦場のメリークリスマス』で共演している。あの有名なKISSシーンが、各局の追悼番組で繰り返し使われていた。
公開当時もなんばの映画館で見たし、4Kでのリバイバル上映も短期移住中の沖縄で見直して、感動をあらたにしたものだ。