[ファイトクラブ]スターダム濃密 大晦日1・4 ビンス復帰他年末年始あらためての総括

[週刊ファイト1月26日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼スターダム濃密 大晦日1・4 ビンス復帰他年末年始あらためての総括
 タダシ☆タナカ+シュート活字委員会編
・1973制作開始映画Tommyが暗示のマット界2023マリリン虚像破壊
・キング牧師記念祝日と映画マチェーテ示唆の白人社会への反体制
・12・29両国スターダム濃厚最高も横浜武道館に東京ドームと尻すぼみ
・至宝セミ~メイン:予定調和結果もさいたまSA集客上回った1・4東京D
・AEWケニー・オメガのウィル・オスプレイ戦誉めるべき~月末離脱考察


―― 遅くなってしまいましたが、シュート活字委員会としての「年末年始総括」が出てないと言われて、やはりオモテをなぞった大会レポート評より、他誌が書いてない裏のウラに突っ込む我々の出番だと定期購読者からお呼びがかかりました(笑)。

オフレコ いや、遅くはないよ。実際クリスマス週間から、日本は成人式、アメリカだとキング牧師記念日の祝日までが”年末年始”なんだし、キング牧師に絡んだネタも準備してきたから。

―― さっそく始めますが、シュート活字委員会のオランダはアムステルダム在住の梅崎一郎記者から年末のメモが届いていたんで、そのまま掲載します。

1973制作開始映画Tommyが暗示のマット界2023マリリン虚像破壊

 昨年暮れになってしまうが、筆者の住むアムステルダムの少数の独立系映画館で何故だか10日ほど映画『Tommy』のリバイバル上映が行なわれた。THE WHOが1969年に発表したロック・オペラをベースに、1973年、ケン・ラッセル監督によるとRSOロバート・ロバート・スティグウッド・オーガニゼーションが制作を発表。1974年中に撮影を終えて1975年春には公開された、ミュージック・ビデオの元祖とも称されるエポック・メイキングな革命作品である。大音量の劇場で観る最後のチャンスとばかり5回行ってきた。午前や平日の最終といった不幸な時間帯ばかりだったが、思ったより客は入っていた印象である。

 上記画像のDe Hallenが映画館名であり、右側はマリリン・モンローがスカートをまくり上げた格好の巨大な張りぼて像が、偶像崇拝のシンボルとして破壊される場面をスクリーンごと客席から撮ったものだ。年末年始を欧州在住者目線で日本を見つめる、あるいはアメリカを観察する筆者にとって、ビンス・マクマホンの退陣と、年頭の会長職電撃復帰、WWE売却の様々な憶測、あるいは大晦日のRIZINや恒例の1・4東京ドームの放送映像を遅れて入手して見てみて、あらためて年末に繰り返し劇場に通った映画『Tommy』を思った次第なのである。

 上記、アムス劇場の宣伝がなぜにフランス語なのかは、配給元がフランスかベルギー(公用語は仏と蘭)の会社だからなのか、英語のポスターがたまたま残ってなかったのか、いずれにせよ大した意味はない。アムスは実質英語が公用語の完全な国際都市なので、誰も気にも留めてないのが実態である。しょっちゅう欧州間を往来する現地在住者の場合、たまたま時間があったとドイツで飛び込んで『ボヘミアン・ラプソディ』観た時は、いざ始まったらドイツ語吹き替え版なのだった。
 『Tommy』の場合は、チラシにNo Subtitle(字幕ナシ)とあったのが見えたけど、♪See Me, Feel Me, Listening to Youの啓発メッセージに字幕は要らない。音楽を得て、物語を掴み、millions万人の新たな地平を悟るのである。


オフレコ 日本での公開は1976年春休み期間(高校生)だったから、大阪のOS劇場に毎日のように朝の回から行って、3度は見て帰る。それをずっと繰り返すから、始まる前に予告編でダイアナ・ロスの『マホガニー物語』もうんざりするほど見たことまで覚えている。それだけで当時がもう数十回。VHS、DVDだのBD版音声解説付きやらテレビでの放送まで含めるなら100回以上は見ていると思うが、あのポーツマスのピアが燃えて桟橋からロジャー・ダルトリーが身を投げ、やがて険しい岩を登る(天国への階段)場面になると、もう条件反射で身体全体が震えてしまう。
 何度見ようが、これはもう死ぬまで変わらない体験なのだろう。

―― 人生を変えた生涯のベスト1映画ですね。

オフレコ 映画館で見ること奨励なのは、今のサラウンド・サウンドの先駆けで「早過ぎた」とも揶揄された日本のサンスイが開発したQSクインタフォニック形式だけではない。例えば変態おじさん役のキース・ムーンが画面に登場したら、亡くなったあとなんかだと特に「ウォー」となって客席が騒ぐじゃないか。あれを体感、共有したくて行くんだろ?

―― それはありますね。『ロッキー・ホラー・ショー』他、一人で家で見ても盛り上がりません。一緒に踊らないとねぇ(笑)。

オフレコ 2010年公開の映画『マチェーテ』なんか、キング牧師記念日に東京にいるアメリカ人や海外に在住したことのある仲間が集まってのパーティにBGMのように流される。なにしろ葉巻を勧める際に「キューバか?」と聞かれて、それまで脇役だったブ男、鬼瓦顔の俳優ダニー・トレホが「メキシカンだ」と答える(笑)。この作品から一躍、アンチ・ヒーローの主役に登り詰めた。

―― アメリカの映画館だと、もう紫の煙が蔓延(笑)。嫌いだと辛辣評も多いB級映画ですから。

オフレコ 普通の字幕版をテレビで見ても、面白さの半分もわからないと思うと悔んだら、DVD版は「歓声入りの映画館モードが選択できる」と聞いて早速入手した。こっちで見ないと、沈黙の合気道おじさんスティーヴン・セガールや、「国境に電気の壁を作って不法移民を焼き殺せ」と言ってるローバート・デ・ニーロ議員が、なんで『マチェーテ』では悪役なのかわからない。

―― あのダニー・トレホが、ビキニ美女にモテモテですから。白人社会をコケにする反体制映画なんです。

オフレコ メキシカンShe役のミシェル・ロドリゲスが、鍛えた肢体を披露すると、映画館モードの音声は口笛付きの大声援やからな。これが今の『ワイルド・スピード』シリーズ人気に発展していく。ファミリー唯一の白人だったポール・ウォカーは、ガチの自動車事故で亡くなったんだけどな。最新作はジョン・シナがキャストに加わったけど・・・。

―― NXTではラケル・ロドリゲスだったテキサス出身のメキシカン、SmackDownではロドリゲスに改名させられました。もちろん、ミシェル・ロドリゲスにあやかる為からです。

オフレコ 32歳になったと出てたけど、NXTの時のようには生かされてないなぁ。リア・リプリーとボコボコの闘いやってくれよ。あれはド迫力だったのに。

―― 一般向きのSmackDownだと、制約だらけで明らかにブレーキかけられてますからね。

オフレコ そこから話が一巡してTommyに戻るなら、2023年中にはWWEの売却が完了していて、さて、ビンス・マクマホンはCreativeまで掌握してしまうのかという懸念になる。偶像信仰のマリリン・モンロー像は破壊される運命のハズなんだが、Deaf, Dumb and Blind Boyの我々が、Amazing Journeyを経て新たな地平線が見えるのか否か。

12・29両国スターダム濃厚最高も横浜武道館に東京ドームと尻すぼみ

―― 年末年始のスターダムにせよ、12・29『DREAM QUEENDOM 2022』両国大会が滅茶滅茶凄かったんですけど、1・3横浜武道館はボルテージ下がって、1・4東京ドームはサーシャ・バンクス(メルセデス・モネ)のお披露目があるから5分尺に削られたんだけど、中野たむの凄さがあれでは伝わってないとの不満になります。

オフレコ なんでも早すぎる本誌は、中野たむが2020年の鷹の爪大賞女子MVPなんだけどな。

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