[ファイトクラブ]火曜AEW地元シンシナティMOX防衛戦ハングマン・ペイジ脳震盪事故

[週刊ファイト10月27日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼火曜AEW地元シンシナティMOX防衛戦ハングマン・ペイジ脳震盪事故
 (c) AEW 編集部編


■ AEW Dynamite Title Tuesday
日時:10月18日(現地時間)
会場:米オハイオ州シンシナティ ヘリテージ・バンク・センター


 NXTがSmackDown-Rawのスーパースターたちを大挙動員して攻勢をかけてくることはわかっていたから、AEWも4大王座戦を並べただけでなく、怪我で長くリングから離れていた里歩の復帰などサプライズを含めて進軍勝負に出た。しかし、尺もたっぷり確保したAEW世界王座戦、地元シンシナティの大声援を受けたジョン・モクスリーに、ハングマン・ペイジが挑戦するメインの最後試合が完遂ならず。MOXのクローズラインに一回転して受け身を取るアダム・ペイジだったが、頭から落ちてしまい失神。いびきかいている様子にリング・ドクターが即刻試合をスットプさせる事故が起きてしまった。生中継だったので全部映像に残されている。病院で脳震盪と診断されたが、幸いなことに無事だという。大事には至らなかったのだ。


 注目の裏番組正面戦争、先に結果を活字にすると、ともに落ちてしまうのは避けられないのだがNXTは平均視聴者数676,000、18-49歳のデモグラフィックで視聴率0.18%を記録。先週と比べると落ち幅は小さい。Dynamiteは752,000人、視聴率0.26%となったが、これは曜日が変わったのだから、これまた大きく下がったと評するのは間違いになる。いずれにせよ、アメプロ新黄金時代の市況に変わりはなく、競争によって得するのは視聴者なのだ。今週のマット界、グローバルではなんといってもこのテレビ戦争総力戦になろう。AEWは写真が遅いのだが、今週は届いたので本誌はたっぷり詳細します。
 あと、例の暴力沙汰事件でCMパンク側のエース・スティールの解雇が正式に公表されたが、これは本誌も「スティールはアウト」と当初から活字にしているので驚きはない。問題は、未だパンク本人とエリート勢の謹慎処分が解けてないままなこと。現地の媒体はどちら側かによって極端に報道トーンが違うので、本誌はまったくどちらにも組しない。これまた、当初から明言した通りになる。


 NXTと併せてベストマッチ賞は、番組冒頭はAEW世界トリオ王座戦だった。王者デストライアングル(ペンタ&レイ・フェニックス+PAC)に、ベストフレンズ(オレンジ・キャシディ&トレント・バレッタ&チャック・テイラー)である。いやもう、見てくださいとしか・・・。とてつもないスピードで展開される「これぞ本物のトリオ戦」である。


 まぁ、フェニックスはベビーフェイス志向で、PACはヒール本道だから、ハンマーなんか使わなくてイイというやりとりの場面は挿入されていたのだが・・・。フィニックスドライバーがバレッタに決まっての王者組の防衛。ただ、問われるのは中身である。新日本プロレスで活躍が証明されている職人友情組だけではない、オレンジ・キャシディもやはり出来る選手だと見直すのであった。


 暫定AEW女子王座戦がトニー・ストームと志田光によって争われる。今回、志田が2本ベルト持ってることも実況が指摘している。10年越しの対決がようやく実現とも煽っていた。確かにこのカードはドリームマッチなのである。


 一進一退の熱戦攻防を経て、ストームゼロが決まってかろうじてストームの防衛。ただ、王座戦を並べた大会とはいえ、メイン含めて交代劇とかにはならないのはわかっていたこと。いい試合で満足なのであった。なにせ冒頭試合のインパクトが強烈過ぎた嫌いは残るが、NXTとの対決含めてシングル戦ではこれがベストマッチ賞だと本誌は書き残す。


 もちろん防衛で終わりではない。Dr.ブリット・ベイカーD.M.D.が自身の地元ピッツバーグ・スティーラーズ22番のジャージーで登場してシンシナティの客からヒールのヒートを煽れば、ジェイミー・ヘイターとレベル(not レバ)もストームを踏んずけると。そこに、やはりサレヤ(元ペイジ)が登場、(公式写真にはなかったが)場外で暴れることで、やはり復帰が近いことを印象づける。

 さらに、里歩が可愛らしいピンクの衣装で登場。プランチャもやりました。トニーと里歩が仲良しというのを実況が伝えます。AEW女子部門、ようやくトップ陣揃い踏みなのです。


 さて、ベストマッチだのを記したが、今回の戦争でもっとも凄かった、記憶に残ったのはMJFとウィリアム・リーガルのマイク対決なのだった。いやもう、あまりの反響にこれはわざわざ特例でAEWがYouTubeにて15分セグメントを公開にしたくらい。

 19歳のマックスことMJFが、WWEのトライアウトにブルックリンに向かったのだが、そこでの試験官がリーガル卿だったのだ。合格だと言われたのに、3ヶ月待たされた挙句、今は採用してないとなった実人生の恨みをぶつけるのである。もはやMJFはヒールではない、お客さんを感情移入させて明らかにベビーフェイス化している。


 ところが、凶器ブラスナックルまではめて見せたリーガル卿の逆襲がとてつもなかったのだ。16歳でカーニバルから業界に入り、先輩たちにいじめられてベッドのシーツを鮮血にしたことから始まり、拒否されての繰り返しのレスラー成長を語って、後ろから殴ってみろと。リアルなんてモンじゃない、作り事の世界のお芝居と現実の境界線がもう見えない。底なし沼芸術、プロレスの奥深さに圧倒されることになる。歴史に残る炎のシュート演説の頂点だろう。

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