[週刊ファイト7月14日号]収録 [ファイトクラブ]公開中
▼[Fightドキュメンタリー劇場 31] 井上義啓の喫茶店トーク
アリからの刺客“喧嘩屋”チャック・ウェップナー
by Favorite Cafe 管理人
猪木の再戦要求に対してアリ側から出された条件は、チャック・ウェップナーとザ・モンスターマン、この二人の格闘家を倒すことだった。アリからダウンを奪ったボクサーとはいえ、峠を越えたウェップナーは、猪木には容易い相手だと思われていた。ところがウェップナーはとんでもない“喧嘩屋”だったのだ。
■ 闘いのワンダーランド #036(1997.01.23放送)「I編集長の喫茶店トーク」
(放送された試合)
1977.07.21 宮城県スポーツセンター
アントニオ猪木&坂口征二 vs. ブラック・ゴールドマン&エル・ゴリアス
70年代には毎シリーズのように、「猪木&坂口」黄金タッグが活躍した
ストロング小林 vs. タイガー・ジェット・シン
シンの「アジアヘビー級」にS・小林が挑戦、DVD化もされない貴重な映像
▼さよなら、ストロング小林さん by みぶ真也(俳優)
(I編集長) 今日は昭和52年の猪木、坂口、小林の試合が放送されました。名勝負集とかでビデオ化されていない貴重な試合でしたね。さて、昭和52年の猪木について語るのであれば、この年の2つの異種格闘技戦の話を避けては通れません。一つがザ・モンスターマン戦、もう一つがチャック・ウェップナーとの試合です。今日はウェップナー戦を取り上げます。
(I編集長) チャック・ウェップナーについては、ご存知の方も多いと思いますけども、これは、シルベスター・スタローンが書き下ろした映画『ロッキー』のモデルになった男ですね、これ。このウェップナーというのは、ハッキリ言って喧嘩屋ですからね、ボクシングの試合でも、とてもラフな闘い方をするんですよ。モハメド・アリとも闘ったんですが、アリの足を踏んづけておいてですね、「バーン」と殴ったんですよ、パンチを打ったんですね。それでアリがダウンした有名なシーンがあります。当時無名だったシルベスター・スタローンがこの試合を見ていて、「これだ」とひらめいて、一気に書き下ろしたのが、あの「ロッキー」のストーリーなんですよ。これでウェップナーは一躍、世間に知られる男になったんです。
映画『ロッキーⅢ』(週刊ファイト1977年11月1日号掲載)
(I編集長) なぜこのウェップナーが猪木と闘うことになったのかですが、別にウェップナーから「猪木と闘いたい」と挑戦を申し出た訳ではないんですよ。実は前年の6月26日の猪木vs.アリ戦のあと、猪木サイドはアリに再戦を要求したりとか、損害賠償がどうのこうのとか、アリ側にいろんなことを言い続けておったんですね。結局、猪木vs.アリの再戦は実現出来ませんでしたが、新日本プロレスには当時、もうそれだけの金銭的な体力が無かったし、アリ側も再戦の意思が無かったので、実際には実現は難しかったことは確かなんですね。だけども、猪木としたらこのまま再戦をせずに終わったんじゃ、前年6・26の世紀の一戦を世間から「凡戦だった」と評価されたままになってしまうということで、必死になって再戦を呼びかけたんですよ。
ファイト紙にも再戦を煽る記事が度々掲載された
(I編集長) 一方のアリ側は、もう面倒くさくてしょうが無いと困っておったんです。「それだったら、俺(アリ)の言うことを聞け。条件を出す」と言ってきたんですね。そのアリからの条件は「俺が差し向ける二人の男と闘え」と言うものだったんです。そのうちの一人がチャック・ウェップナーだったんですね。そしてもう一人がモンスターマンですよ。
週刊ファイトより(1977年9月27日号)