[Fightドキュメンタリー劇場23]「シュツットガルトの惨劇」ハッキリ言ってこれは異種格闘技戦ですよ

[週刊ファイト5月19日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼Fightドキュメンタリー劇場23 井上義啓の喫茶店トーク
 「シュツットガルトの惨劇」ハッキリ言ってこれは異種格闘技戦ですよ
 by Favorite Cafe 管理人


「猪木がなぜ凄いかといいますと、こんな死戦を何回もくぐり抜けてきてるからなんですよ。アリ戦もそうだし、ルスカもそうだし」(I編集長)
 今回の喫茶トークは「シュツットガルトの惨劇」にまつわる裏話。この話が最初に持ち込まれたのは全日本プロレスだった?

■ 闘いのワンダーランド #030(1997.01.15放送)「I編集長の喫茶店トーク」
1977.02.10 日本武道館
アントニオ猪木 vs. タイガー・ジェット・シン

(I編集長)今日は、例の「シュツットガルトの惨劇」、猪木とローラン・ボックの西ドイツ・シュツットガルトで行われたあのセメントマッチですね、これについてお話します。

(I編集長)これは、「異種格闘技戦」ではございません。ですけども私の心の中では、あれはもう「異種格闘技戦」なんですね。あれほどれっきとした異種格闘技戦は無いと、私はそう思っております。これは欧州スタイルのラウンド制で闘われた試合なんですけどもね。だからまあ、「異種格闘技戦の定義とは何か?」ということになりますね。猪木とアンドレが格闘技世界一決定戦というのをやりましたわな。昭和51年10月7日ですか、あんなのはやっぱり、異種格闘技戦じゃぁないですよね。誰がなんと言おうが、どんなルールでやろうがですね、やっぱりレスラー同士の試合なんです。

アントニオ猪木vs.アンドレ・ザ・ジャイアント(1976年10月7日 蔵前国技館)

(I編集長)しかし、このボックとの試合はですね、これは「普通の欧州スタイルでやったラウンド制の試合だろ」とみなさんは単にそうおっしゃるけども、私はもうとにかく異種格闘技戦なんだと思ってます。だから格闘技戦の定義というのは、それを観た人が決めたらいいんですよ。非常にアバウトで無責任な言い方だとお思いになるかもしれませんけどもね。
この猪木vs.ボック戦には例によって藤原がセコンドとして付いておったんです。藤原も「とにかくあれはセメントマッチの代表的なものだ」と、そう話していますね。

(I編集長)現地で使われたリングは、マットがもうもの凄く固くて、分厚い板の上に木くずをパラパラッと申し訳程度に撒いてね、木くずを撒いておかんとですね、後で言い逃れができませんから。その上にマットを敷いてるだけなんです。そこであのローラン・ボックが受け身のとれない低空飛行のスープレックスをぶちかますんですからね。他のレスラーだったら絶対に病院送りですよ。私はドイツには行けませんでしたから試合のビデオテープ、これを新間さんに頼んで、「できるだけ早くお願いします」と、特別に頼んで送って貰ったんですよ。そうやって手に入れたビデオを観て「ヘェー!」と驚きましたね。「よくこんな試合をやったな、猪木は」と。ジーッと見れば見るほどね、受けの上手い猪木だからこそ、なんとかくぐり抜けることができた試合だとわかりますよ。下手なレスラーだったら、とっくに逝ってますよ、これ。

家庭用ビデオも普及していない頃、試合映像を入手するのも苦労したはず

(I編集長)契約の時にどんな内容だったか知りませんけども、試合で猪木がアクシデントで病院送りになっても、これはお咎め無しと、そういった暗黙の了解のもとに行われた試合なんでしょう。ですから、事故があっても補償金で金を払うとか、そういったことは一切無かったんですよね。ボックにしてみたら思う存分猪木を叩きつけて、そして猪木を病院送りにしてしまったら、それで勝ったことになるでしょ。ルスカでもそうですけど、とにかくあのアリとやって名をあげた猪木を叩き潰すことによって欧州マット界の第一人者になろうとしたんですよ。考えることはみんな一緒なんでね。

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(I編集長)この対戦の実現にはいろんな話がありまして、西ドイツのボンにいた留学生、仮にT・Kさんと申し上げておきますけども、実はこのT・Kさんが私のところに連絡してきたんです、週刊ファイトの編集部の方にですね。私はそこで初めてこの話を聞いたんです。この留学生のT・Kさんというのはドイツで通訳をアルバイトでやっておったわけです。その仕事で指定されたホテルに行ってみたところが、雲を突かんばかりの大男が立ちはだかっていたと言うんですね。ハッキリ言って人相の悪い、他にも二人ほどおったんですけども、「こりゃ、殺し屋に違いない」と思ったらしいですよ。やばい仕事なだと。

確かにヤバい風貌のボック

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