[ファイトクラブ]新星・ジャンボ鶴田、華やかなデビュー後の低迷期の原因を探る

[週刊ファイト1月27日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼新星・ジャンボ鶴田、華やかなデビュー後の低迷期の原因を探る
 by 藤井敏之


 2000年5月13日に49歳という若さで亡くなったプロレスラー、ジャンボ鶴田さんの偉業を称える“ジャンボ鶴田23回忌追善興行”が今年の5月31日に東京・後楽園ホールで行われることが主催であるH.J.T. Productionの緒方代表より発表された。いみじくも妻・保子さんのメッセージ「プロレスファンは過去に生きる」との言葉通り、コロナ渦で没後20回忌追善興行が行われなかったゆえ、今回の大会開催は昭和ファンにとって怪物・ジャンボ鶴田を追悼する最高の企画である。

 1973年10月6日、後楽園ホールで新星・ジャンボ鶴田がムース・モロウスキー相手に華々しく日本マットデビュー(テレビ生中継)を飾った。同年10月9日、全日本プロレスの創立1周年記念興行として東京・蔵前国技館で馬場、鶴田組がファンク兄弟の持つインター・タッグ選手権に挑戦する。1-1から61分時間切れ引き分けで王座奪還は成らなかったが、アマリロはテキサスのファンク道場でプロレスラーとして鍛え上げられ、その生まれ持った体格、運動神経、そしてプロレスセンスで一躍メインエベンターに昇格。アメリカでデビューして半年後のことであった。その間ドリー・ファンク・シニアの厚意にてアメリカデビュー2か月後の5月20日、ニューメキシコのアルバカーキーにおいて、NWA世界ヘビー級王座のドリー・ファンク・ジュニアに挑戦するという快挙をも成し遂げている。

★鶴田デビュー戦ポスター  ★全日本1周年興行ポスター ★ヘーシンクのデビュー戦ポスター

 そのまま、順風満帆なレスラー生活を送ると思われたが、すべての技をそつなくこなすのだが、そのファイトぶりに魂が感じられず、また善戦はするがあと一歩が不足しておりファンをやきもきさせた。さらに同時期、日本テレビが世界の柔道王アントン・ヘーシンクを全日本プロレスのマットで年間3週間ずつ3回に分けて上げ、テレビマッチにも年間20回登場させる契約をする。それは、まだまだ社長兼レスラーであるジャイアント馬場が全日本プロレスのメインに出ないと、新日本プロレスと対抗してゆけない時代であった要因などが重なっていた。

 1973年のジャイアントシリーズ第二弾と1974年新春NWAチャンピオンシリーズ、そして同年6月のMSGシリーズの大阪大会を観戦し、その貴重な写真があるので振り返っていこう。
 1973年暮れが迫る大阪府立体育館において、“鉄の爪”フリッツ・フォン・エリックが王者・馬場のPWF選手権試合に挑戦する試合がメインとして発表された。シリーズ第一弾での柔道王アントン・ヘーシンクのプロレスデビューも成功、その勢いでの大阪での大試合である。

 12月13日大阪府立体育館には8200人の観衆を飲み込んだ中、馬場とエリックのPWF選手権における両雄の迫力ある攻防はまだまだファンの心を熱くさせた。その日のセミファイナルは日本テレビが押すヘーシンクとデストロイヤーが組み、一流外人であるキラー・コワルスキーとカリプス・ハリケーンが対戦。プロレスに未熟なヘーシンクをデストロイヤーがフォロー、なんとか試合を成立させ1本目はコワルスキーがデストロイヤーを体固め(10分45秒)、2本目はデストロイヤーがコワルスキーを首固め(2分31秒)、そして決勝ラウンドはヘーシンクがアルゼンチン・バックブリーカーでハリケーンからギブアップ勝ちを収める。ヘーシンク組のタッチワークはどうもうまく嚙み合わなく、会場から失笑が起こる場面もあった。
 そして新星ジャンボ鶴田は4番手、5番手の外人であるジョン・グレイ(オーストラリア出身のレスラーでマーク・ルーインにコーチを受けスリーパー・ホールドを得意とする。このシリーズではヘーシンクの引き立て役に甘んじる)と対戦。16分6秒、体固めで勝利したが記憶にも残っていないのが正直なところである。天狗にならない様にとの馬場さんの教育方針かと納得しながら観戦した記憶が蘇る。


ジャンボ鶴田対ジョン・グレイ戦(1973年12月13日:大阪府立体育会館)

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高尾淳『ジャンボ鶴田☆三度目の夢』

ヘーシンク&G.馬場    鉄の爪V.Fエリックの鉄の爪  ジャンボ鶴田完勝

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[ファイトクラブ]ジャンボ鶴田さん命日-墓掘人The Last Ride-V字回復に秘策はあるか

 年が明けNWAの精鋭がどっと日本にやってきた。そのシリーズの大阪・東淀川体育館(1974年1月27日)へ当然ながら観戦に行く。

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