[Fightドキュメンタリー劇場20]シンと上田の浅草観音参り、ファンも業界関係者もみんな驚いた!

[ファイトクラブ]公開中 [週刊ファイト12月2日号]収録

[Fightドキュメンタリー劇場20]井上義啓の喫茶店トーク
▼シンと上田の浅草観音参り、ファンも業界関係者もみんな驚いた!
 by Favorite Cafe 管理人


 週刊ファイト1981年1月6日号に「シン・上田、日本の春」と題して、新年に浅草寺・浅草観音にお参りするタイガー・ジェット・シンがカラーグラビアで掲載された。I編集長と目が合えば、いきなり殴りかかってくる、あの「凶悪」ジェット・シンが、なぜこの取材をOKしたのか。企画実現の経緯をI編集長が語る。

■ 闘いのワンダーランド #022(1997.01.03放送)「I編集長の喫茶店トーク」
 1976.08.04 宮城県スポーツセンター
 アントニオ猪木 vs. マジッド・アクラ
 坂口征二&ストロング小林 vs. タイガー・ジェット・シン&ガマ・シン

(I編集長) 今日の放送は猪木vs.シンということで、時間の許す限りシンに対する私の思い出と言いますか、エピソードといいますか、そういったものを話させていただきたいと思います。

(I編集長) いつも言いますけどもシンというのは非常に「狂気」のレスラーでして、演出でヒールをやっているようなところが無いんですよ、あの男は。私の顔を見た瞬間に、もう、こういう風にネックハンギングですよ。これ、嘘じゃなくて、あの男は誰も見てないところでやるんですよ。カメラマンがおるとかね、そういったことでやるのは、これはいいんですよ。シンはヒールですから。週刊ファイトの井上をやっつけるところを見せつけるのはいいんです。ところが、誰もおらんところでね、それをやるんですよ。ネクタイをこう持ってひきずりまわされたこともありますしね。竹刀で「ガーン」とやられたこともありますし。

(I編集長) ある日、会場の通路の角でいきなり会ったんですよね、出会い頭ですよ、こっちからシンが来る、こっちから私が来る。そして「バチーッ」と目が合ったわけですよ。その瞬間にゲンコツのパンチが飛んできましたよ。そんなもんね、そりゃあ凄かったですよ、これ。私も自分で言うのもなんですが、さすがにそこはこういう風に避けたんですね。それでまだ良かったんですけど、あれでまともに入っておったら歯なんか折れてますよ。だから、シンはそういった男だったんですよ。

(I編集長) それで、うちのスタッフがたまりかねて、ある日シンに「この人は、うちの編集長なんだから、そんなに殴ったり蹴ったりしないでくれ」と、相当腹に据えかねて、そう言ってくれたんですよ。編集長だとわかった瞬間に、今度は記事について色んな要求をしてくるようになったんですよね。こうしろ、ああしろ、この写真は何だと。「猪木がオレをやっつけている写真ばっかしじゃないか」とね。「オレが猪木をやっつけとるところがあったはずだ、それを載せろ」とか。なんだかんだ、なんだかんだ、色んなことを言ってくるんですね。

(I編集長) そして当時タッグを組んでおったのが、上田馬之助の旦那ですわ。ある時に上田が私のところに来て例の調子で「編集長ね、シンがフロントページに載せろと言ってんだよね」なんて、あの調子で言うわけですよ。「中のカラーページ、そこにも載せろと、そう編集長に言えと、そう言ってるのよね」と、こういった調子ですよ。それで「それなら載せるよ」と答えたんです。しかし「サーベルを口に咥えている写真ばっかし載せられないだろう」って言ったんですよ。

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 凄まじき猪木に“クレイジー”シンも震え上がった

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(I編集長) どうしてもフロントページ、表紙に出たいんだったら、コチラの要求も飲んでくれとカマをかけたんです。そしたら上田は「要求って何なんだ?」と言うから、「例えばインド衣装を着て、ターバンを巻いて、浅草の観音様とかに行って、仲見世を歩いて手を合わせて拝んだりしてくれたら、いつでも載せるよ」と私が言ったんです。まさかシンがそんなことをOKするはずは無いから、当然これは冗談のつもりで言ったんですよ。当時のシンはそんなことを言ったらもう、「何を言うか!」と真っ青になって蹴飛ばして来ますからね。

(I編集長) そしたら上田が部屋を出ていって、しばらくしてシンを連れて戻ってきましたよ。それで「シンがOKだと言ってる」と言うんです。私は「しめた!」と思ったですね、これ。シンが、あのシンがターバンを巻いて、浅草の浅草寺で雷門を通って、仲見世を歩いて観音様にこうやって手を合わせて拝んでる写真なんてのは、もし撮れれば本邦初公開ですよ。もちろん「特ダネ」ですよ。「これは、しめた!」と思った訳ですけど、流石に私もタヌキですからそれを顔には出さないですよ。「だったら上田と一緒に行ってくれ。ターバン巻いてくれよ」と言うと「わかった」とシンが言うんですね。ただシンは「オレはタイガー・ジェット・シンだ。シン様なんだ。このオレに対してポーズを取れとか、こうしてくれだの、そんなことを言ったら最後、殺すぞ!」とも言うんです。例によってすぐに「殺すぞ!」ですよ。「お前のところのカメラマンをやっつける」と。それでもこっちはもう「しめた!」と思ってますから、私の方から「殺そうが、簀巻きにして隅田川に放り込もうが、約束が間違ったらもう、好きなようにしてくれ」と言ったんですよ、シンが日本語をわからないのを承知の上でね。

(I編集長) そしたら上田は馬鹿だよね。上田の旦那がこの放送を見ておったら怒るかもしれないけど。私が言ったことを全部英語でシンに通訳してしまったんですよ。するとシンが「何? 簀巻きって何だ?」と意味がわかんなかったから聞き返すんですよね。それで、上田も苦労して伝えてましたよ。結局こんなことをして「川に、リバーに放り込むんだ」というようなことを言ってましたよ。そしたら、シンがものすごい顔をして「本当だな!」と私に念を押すんですよね。
 「いらんことを、言わんでもいいことを言ってくれたな」と上田に言いましたけどね。これは私と上田の旦那の間だけの冗談話なんだから、シンにそんなことを言う必要は無いですよ。それを上田は真面目だから、全部英語で通訳して喋ってしまったんですね。だけども、シンは最後まで約束を守ってくれましたよ。だからいい写真が取れましたね。

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