[Fightドキュメンタリー劇場⑱]「猪木が負ける度に営業成績が上がるんです」(新間営業本部長)

[週刊ファイト11月18日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼[Fightドキュメンタリー劇場⑱] 井上義啓の喫茶店トーク
 「猪木が負ける度に営業成績が上がるんです」(新間営業本部長)
 by Favorite Cafe 管理人


 1975年3月、NWF世界ヘビー級チャンピオンはタイガー・ジェット・シンだった。そして挑戦者がアントニオ猪木。「取り返せなかったら取り返せなかったでいい、猪木にはそういうところがある。だから試合結果がまず読めない、それが良いのだ」とI編集長。
 そしてトークは1996年12月、引退を目前にしたアントニオ猪木へのエールへと移っていく。I編集長は「年明けの1・4ドームの試合は負けてもいいじゃないか」と考えている。猪木は負けても光り輝くレスラーなのだ。

■ 闘いのワンダーランド#015(1996.12.20放送)「I編集長の喫茶店トーク」
1975.03.20 蔵前国技館
タイガー・ジェット・シンvs.アントニオ猪木
1975.05.19 カナダ・モントリオール
タイガー・ジェット・シンvs.アントニオ猪木

(I編集長) このチャンネルの「闘いのワンダーランド」の放送では、猪木vs.シンという対戦カードが相当数多く出てくることになるんですよね。だからまあ、取り立てて一つ一つの試合について、私が語る必要は無いと思っています。今日はこれ、二試合が流されるんですか。二試合とも猪木がタイトルを取り損なった試合ですよね、奪回しそこなった試合ね。猪木vs.シンというと、だいたいがチャンピオンの猪木が王座を防衛して、タイガー・ジェット・シンが「コノヤロウ」と突っかかる図式ですけど、この試合ではそれが逆転していて、シンがチャンピオンで防衛してみせるところが、まあ、見どころの一つでしょうね。

NWF世界ヘビー級チャンピオン、タイガー・ジェット・シン

(I編集長) だからそういった逆転の図式の中で、試合後に猪木が非常に悔しがりますね、これ。そういったところも見てもらわんとね。いつも猪木がチャンピオンでシンを相手に防衛戦をやったんじゃ面白くないですよ。だからまあ猪木が非常に悔しがったというのは、ホントはもうあと2分か3分あったら勝ったかもしれない試合だったですからですね、これ。だからそこらへんが、新日本プロレスらしいトコですよ。何が何でもタイトル奪回するんだと言う、そういった前提で始めからマッチメイクを組み立ててはいないですよね。視聴率がどうであれ、マスコミがどういう書き方をするんであれ、自然の流れの中で取れなかったら取れなかったでいいじゃないかと。猪木にはそういったところがありますから、だから新日本プロレス、特に猪木vs.シンの試合というのは結果が読めないですよ。取材ですからこうなるだろうとは予測はしてかかりますよ、会場に行く時には。しかし、まず読めないですよ。それが良いですよね。

▼[Fightドキュメンタリー劇場⑦]伝説の腕折り事件!

 凄まじき猪木に“クレイジー”シンも震え上がった

[Fightドキュメンタリー劇場⑦]伝説の腕折り事件!凄まじき猪木に“クレイジー”シンも震え上がった

(I編集長) 中学生のファンが今日はこれ、第一試合はコチラが勝って第二試合はコチラが勝ってと言っている。そしてそれが当たる。読めるような試合っていうのは、そういうことですよ。そんな馬鹿なことがあるはず無いんでね。何が起こるかわからないのがプロレスでしょ。ましてや猪木vs.シンっていうのは、ホントもう、山あり谷ありの試合になるとを考えたらダメなんです。だから今日の試合なんかもそこらへんが、見ておられる方々の予想を裏切るといったところに非常に面白みのある、見どころのある試合なんですね。

パンフレットのスタンプで勝敗を予想するのもファンの楽しみではある

(I編集長) 二つめの試合は、モントリオールで行われた試合で、バックグラウンドが大きく違ってますよね。試合の場所について言えることは、モントリオールとかトロントとかカナダということになってきますと、当然、シンはベビーフェイスじゃないのか、と考えた方が多いと思うんですけどね。ところが、みなさんもびっくりされたと思うんですが、ご覧になった通りでね、シンはいつものようにサーベルを持って暴れまわってるんです。ここで私が言いたいのは、ベビーフェイスと悪玉というのは、はっきりした区別があるようで、ホントのところは無いということですね。見ていただいたらわかると思いますけど、どっちかと言ったら、シンは悪玉だけども「キラー」の立場で闘ってますよね。

猪木は、モントリオールでベルトを奪回できるのか!

(I編集長) 僕は新間さんにね、営業部本部長ですね、何遍もお願いしたんですよ。猪木vs.シンというのは、サーベルの試合だけにしてくれるなと。シンというのは、まともなストロングスタイルも、しっかりとしたレスリングもできるレスラーなんだから、サーベルなし、反則なし、そんな試合を一試合でいいからやってくださいよと。ところがタイガー・ジェット・シン自身が「ノー」と言うんだね。「俺は日本では極悪中の極悪なんだ。ここで、ベビーフェイス、ストロングスタイルの普通の試合をやるわけにはいかない」と。「このサーベルを振り回すのがオレのステータスなんだ。これを手放してしまったら、もうタイガー・ジェット・シンは消えてなくなる。何をくだらんことを言うんだ!」と怒ったらしいですね。

———今、1996年12月現在の猪木について———-

(I編集長) ズバリ言いますと猪木の体力は、すでに衰えていますよ、言うまでも無く。ですから私はもう何べんも言っている、「猪木はもうレスラーじゃなくて背広を着てプロモーターに徹してください」と。これは前から申し上げていますよ。もうレスラーにはピリオドを打って欲しいんですよね。猪木にしてみたら「そうはいかない。オレが出るからこの興行が成り立っている。猪木の闘魂プロレスというのを見たがっているファンがいるんだ」という気持ちは分かりますよ。だけども私が見たいのは、「猪木の凄いところだけ」なんですよ。

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