[Fightドキュメンタリー劇場⑬]ルー・テーズ、60歳を過ぎても失わない世界チャンピオンの矜持

最後の猪木テーズ戦から2年前、昭和48年の「世界最強タッグ決定戦」より
[週刊ファイト10月14日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼[Fightドキュメンタリー劇場⑬] 井上義啓の喫茶店トーク
 ルー・テーズ、60歳を過ぎても失わない世界チャンピオンの矜持
 by Favorite Cafe 管理人

※[Fightドキュメンタリー劇場 ⑫] 井上義啓の喫茶店トーク
 「坂口vs.大木っていうのは、喧嘩腰でやりあった試合ですよ!」は電子書籍のみ収録、サイト公開ありません。


 32歳のアントニオ猪木と、59歳のルー・テーズ。試合のテーマはバックドロップだった。当時、全盛期の猪木は「必ずテーズをバックドロップで投げる」と豪語。一方、現役の終盤を迎えている59歳のテーズは「もしバックドロップを受けてしまうようなら自分の負け」と自身の心の中のテーマとしていた。昭和50年の名勝負「猪木vs.テーズ」をI編集長が語る。

■ 闘いのワンダーランド #017(1996.12.24放送)「I編集長の喫茶店トーク」
1975.10.09 蔵前国技館
アントニオ猪木 vs. ルー ・テーズ
1975.12.07 ニューヨーク・マジソン・スクエア・ガーデン
アントニオ猪木 vs. フランク・モンティ

(I編集長) この試合はルー・テーズが60歳を超えた試合ですからね、失礼、59歳ですか? それでも、2年前、昭和48年に行われたあの「世界最強タッグ」からでも、あの頃から比べますと、1~2年とは言えテーズの衰えが目立つんですよ、あの時(世界最強タッグ決定戦の時)はまだしっかりしてたんですけどね。

60歳を過ぎても全盛期の凄さを見せつけた

(I編集長) ところがやっぱり、60歳近くになると、人間ってのは急に衰えるんですね。頭の髪の毛なんかも非常に薄くなったし、足の張りも無くなってくるしね。そういった年齢であったんだけれども、さすがルー・テーズですよ。やっぱり見ていたらね、そういった歳のことなんてのは吹っ飛ぶ試合をしましたよ。

(I編集長) この試合のテーマがどこにあったかをお話したいんだけれども、やっぱり、猪木がしょっちゅう言ってたのは「相手の十八番の技、これで立ち向かってくるのはわかってるんだから、こちらもその技を使ってやる、意地が悪いけども」と言うことですよ。「ルー・テーズの得意技がバックドロップだったら、オレもテーズをバックドロップで投げてみせる」と。我々は「ホントに仕掛けられるんか?」という目で見てましたけどね。それまでのルー・テーズは、相手からバックドロップを仕掛けられても完全にシャットアウトしていましたからね。だから、果たしてそんなね、猪木が言っているようなことがこのリング上で実現するのかどうか、ということで、記者の間でも試合前はその話で持ちきりでしたよ。
 猪木は「絶対やってやるんだ、オレがやってやれないことはない」とそう豪語して挑んでいったのがこの試合ですよ。私なんかが目を皿のようにして見ていたのはそこなんですよ。

バックドロップは猪木の得意技のひとつ(藤波戦)

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(I編集長) このルー・テーズと猪木の試合は誰もが認める名勝負なんですよ。猪木の名勝負ベスト10に入りますからね、立派に。あんまり試合内容についての話をしようとは思いませんけど、この試合に関しては、そういった「技」に関するエピソードがあるんですよ。それは今言った「バックドロップ」ですね。これがテーマになりましたわね。これはどういうことかと言いますと、試合結果は猪木のフォール勝ちですよ。私も試合を観ていたんだけども、なんて言うのか、実は試合展開自体には記事になるようなストーリーが無いんですよね。「猪木が3カウントを奪って勝った」という結果はあるんだけども、ストーリーが無くて、私は記事を書く上で困ってしまったんですよ、これ。
 私は試合が終わった時にね、一瞬「ボーッ」としましたよ、どういう風に記事を持っていこうかと思ってね。考えても思いつかないもんですから、高橋レフリーのところに行って「今日の試合はどうだったのか、悪いけどテーズに聞いてくれないか?」と頼んだんです。そしたら高橋レフリーは親切だからね、わざわざ記者達をテーズのところに連れて行ってくれて「どうでしたか?」と聞いてくれたんですよ。

名勝負の最後は猪木の新兵器「ブロックバスター」で3カウント、猪木の勝利

(I編集長) そしたら、やっぱりテーズですね。試合の後だけども「ちょっと待てくれ」と言って、2~3分だけど我々をシャットアウトしましたね。テーズとしては、試合が終わって一段落していて、そのままだと年齢による体のたるみとかが写真に出ちゃうんですね。だからテーズは控え室の中で何かトレーニングみたいなことをやったんでしょう。柔軟体操か何かをね。それで出てきた時には汗を拭きながら「ビシーッ」とした体になってましたよ。運動で負荷を掛けると、一時的に筋肉が張る、汗も出る、そこら辺を考えてマスコミの前に出てくるというのも、やっぱりテーズだなと感心しましたね。

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