[Fightドキュメンタリー劇場⑩]大巨人考「そもそもロシモフを”バケモノ”扱いしたことが間違いですよ」

[週刊ファイト9月23日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

[Fightドキュメンタリー劇場⑩]井上義啓の喫茶店トーク
▼大巨人考「そもそもロシモフを”バケモノ”扱いしたことが間違いですよ」
 by Favorite Cafe 管理人

 喫茶店トークの題材となった試合は1974年12月、ブラジルでの猪木vs.アンドレ・ザ・ジャイアント戦だが、I編集長がアンドレ・ザ・ジャイアントを語ると、どうしてもモンスター・ロシモフ時代の話に遡る。ロシモフの初来日は1970年1月の国際プロレス「新春チャレンジシリーズ」。初来日ではマネージャーのエンリケ・エドに怒られてばかりいる内気な青年だったという。しかしリング上では俊敏に動けるレスラーだった。後年、アンドレの身長を上回る長身レスラーは何人か出現しているが、人気と実力が彼を上回るレスラーは現れていない。
 後半のトークには、ブルート・バーナードが登場。I編集長曰く、「この男ほどセメントマッチをやらせたら怖い男はいない」。

■ 闘いのワンダーランド #011 (1996.12.16放送) 「I編集長の喫茶店トーク」
1974.12.15 ブラジル サンパウロ・コリンチャン・スタジアム
NWF世界ヘビー級選手権試合 アントニオ猪木 vs. アンドレ・ザ・ジャイアント

サムライTV放送キャプチャ画像

(I編集長) アンドレというと私に言わせると、国際プロレス時代のロシモフ、あの時の方が印象に強いんですよ。ホントを言いますとね。ロシモフを知らない最近の人たちはね、「アンドレ、アンドレ」と言いますけどね。私にしてみたら、こんなことを言っちゃあれだけども、ロシモフ時代のほうが凄かったと言いたいですよ。
 やっぱり「バーン」とパンチを入れると、アンドレ自体がのけぞるわけですよ、アンドレ自体が横向いちゃうんですよ、こういうふうに。凄かったですよ。だから国際プロレスの連中は泣いてましたよ、あんなパンチをやられたらたまったもんじゃないって、ホントにね。

「バーン」とパンチを入れとのけぞるわけですよ、アンドレ自体がね(I編集長)

(I編集長) だから僕自身に言わせると、その当時の方が凄かったとは思うけど、猪木vs.アンドレの試合に関して言いますとね、やはり猪木の上手さが際立ってますね。たとえば猪木はアンドレをボディスラムで投げつけたりしますでしょ。これはやっぱり猪木だから出来た話でね、他のどんな力の強いレスラーでもあのアンドレを叩きつけることは出来ないですよ。猪木の瞬発力といいますかね、それがあるからですよ。

1977年6月1日~ボディスラム(1980年)

(I編集長) ファイターとしての猪木の瞬時の力というのはすごいものあがるんですよね。だからそういったものを猪木vs.アンドレ戦、この試合なんかでは非常にうまく見せてくれますよ。ご覧になる方は、そういったところを中心に見てもらわんとダメなのよね。
 結局リングアウトで引き分けてしまったという非常に平凡な結果が出てますけどね。やはり猪木ならではの瞬発力をもってしてもね、まだまだ力のあるアンドレというのは、のしかかってくる怖さというのがありましたね。

▼稀代の怪物レスラー アンドレ・ザ・ジャイアント
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稀代の怪物レスラー アンドレ・ザ・ジャイアント

IWA世界タッグチャンピオン、モンスター・ロシモフ&マイケル・ネイダー(1970年)

(I編集長) ロシモフ時代のアンドレっていうのは非常に俊敏だったですよ。非常に細くてね。それにだんだん肉が付いて来て、今のような体になりましたからね。だから昔取った杵柄というか、貯金というか、それがアンドレ時代にも残っていたということなんですね。もう始めからあんなに太っておったら、とんでもないこと、ダメですよ。
 おたくら知ってるかどうか、大鵬という名横綱がおってね、これが若い頃にはものすごく細かったんだよね。それにだんだんだんだん肉が付いてきましたからね。肉が付いて来ても大鵬にはスピードがあったんですよ。みんなそうなんだよね。始めから「バーン」と太っておったらダメなんですよ。しかし若い頃は俊敏で、だんだん肉が付いて大きくなった場合には、若い頃の力というのがそのまま維持されているというね。それをね、ハッキリ見せてくれたのがこの試合じゃないですか?

(I編集長) 不思議なところはね、最近になって新日プロに来日したエル・ヒガンテなんてのは大きいんだけども、リングに上がってみるとね、アンドレとどっちが大きいかというと、やっぱり僕はアンドレの方が大きいなと感じましたよ。レスラーの大きさというのは存在感なんですよ。2センチや3センチ、大きいか小さいかじゃないんですよ。

リック・フレアーvs.エル・ヒガンテ

(I編集長) たとえば佐々木健介がね、彼なんかはそんなに背が高くないんですよ。普通の人と同じぐらいなんですよ。それがね、リングに上がるともの凄く大きく見えるんですよ。星野にしたってね。だからこんなこと言ったらイカンけれども、ストロング小林とか坂口あたりは非常に大きいんだけども、リングに上がったら、ある時「ひょっ」と小さく見えることがあるんですよね。だからね、その時その時の感覚もあるんですね。

佐々木健介、ストロング小林、坂口征二

(I編集長) リングに上がった時に大きく見えるか、小さく感じるかというのはどこで決まるのかと言ったら、そういう存在感なんですよ。だから実際のヒガンテの身長の数字がどうだとかね、そういう風なことは、あんまり関係ないですね。
 僕が言ってる「感覚のプロレス」というのはそこら辺にあるんだよね。実際には向こうの方が背が高い、馬場の方から見てもアンドレがちょっと高い。もちろん猪木よりも大きい。猪木とアンドレが普通に並んだときには歴然と身長差が出ますよ。しかし、いざ闘いになった時にはそういった「大きさ」っていうのは吹っ飛ぶんですよね。

大きさの違いを吹っ飛ばすアントニオ猪木の闘い

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