[Fightドキュメンタリー劇場①]井上義啓の喫茶店トーク「猪木vs.ロビンソン・渡月橋、保津川と桂川」

[週刊ファイト7月22日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼井上義啓の喫茶店トーク「猪木vs.ロビンソン・渡月橋、保津川と桂川」
 by Favorite Café管理人

 Weeklyfight 629(2021.07.15)では、感想メールを読者のページに掲載いただきありがとうございました。気軽な感想として「“ファイトドキュメンタリー劇場”を復活してください」と書いたら、まさかの誌上からの参戦要請とは。いやいや私には、尊敬するI編集の名作劇場の後を継げるような能力も文才もございません。かといって何も行動しないのでは、私の心の師の「いつ、なん時、誰の挑戦でも受ける」という精神に背いてしまいます。そこで、「井上義啓の喫茶店トーク」を寄稿させていただきます。

 1996年12月1日、世界初のプロレス・格闘技専門チャンネル「FIGHTING TV SAMURAI!」が開局しました。そして翌2日(月曜日)からスタートした番組「闘いのワンダーランド」では、新日本プロレスの創生期の映像を振り返るとともに、元週刊ファイト編集長井上義啓氏が「喫茶店トーク」が繰り広げられました。
 その番組の中から特に井上節が炸裂しているトークが、1996年12月26日放送の「アントニオ猪木vsビル・ロビンソン(後編)」です。このトークこそ「井上ワンダーランド」の真骨頂だという思いから、採録させていただきます。井上ワールドを堪能していただけるようにI編集長の口調そのまま採録しています。読みにくいかも知れませんが、そこはお許しください。

闘いのワンダーランド #019~アントニオ猪木 vs ビル・ロビンソン(後編)~
「井上義啓の喫茶店トーク」より

(I編集長)「猪木vsロビンソン戦(1975年12月11日 蔵前国技館)というのはね、一回しか行われなかった名勝負なんですよね。2回も3回も行われなかったところが、私にすれば非常に価値があると。これはね、果たして猪木がしゃかりきになって向かっていったんだけれども、ロビンソンのテクニックでね、抗しきれなかったという見方、これはおかしいんじゃないかという猪木弁護士会の会長としての私の言い分なんですよね」

(I編集長)「何回も繰り返しやることによって光るレスラーと、繰り返せば繰り返すほどダメになる対戦カードとね、これは二つがハッキリあるんですよ。たとえば猪木vsシンなんてのはね、もう、30回を越えるんじゃ無いですか。繰り返し20回やろうが30回やろうが、光ってくる顔合わせというのはあるんですよ。これが嵐山あたりで一所懸命考えた結論なんですよ。」

(I編集長)「嵐山と言いますとね、渡月橋(とげつばし)。これを中心にして、上流と下流とに別れてるんですよね。上流から渡月橋までの間を“保津川”と言うんですよ。それで橋の下に堰がしてありましてね、これを大井川と言うんですよ。その橋の下流の堰から下(しも)のことを“桂川”と言うんですよね」

 (I編集長)「私がどこに居るかというと、桂川のはるか下流におるんですよ。それで桂川のはるか下流におるから、こうやって上手を見ますと、向こうに橋が見えて、その下が今言った大井川ですね、そしてその向こうに“保津川”が見えるんですよ。ボートが浮かんでいる、川下りの舟が来るという。おばはん連中が“キャーキャー”言うとるというね。それを下手から“ジーッ”と見てるんですよ。だから私が眺めている目の前の川は間違いなく“桂川”なんですよ」

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写真: 喫茶店ranzan 桂川川岸 嵐山小説の舞台・小倉山

(I編集長)「プロレスというのは、皆さんが構築して下さいよ、見た人が。だから今日のビデオを見て、『ああ、井上の言ってることは間違いだ。俺はこう思うんだ』『やっぱり一回しかやらなかったのはもったいない』そう思ってる方はね、それでいいんですよ。何べんも言いますけど、それはやっぱり“保津川”ですからね。保津川下り、これを良しとする人はね、それでいいですよ。ただ、桂川の袂で“ジッ”と眺めている男もいると、そういう男もいたという、そういった話をさせてもらおうかなと思って、今日はここにやってきたんですよね」


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