3月13日(土)『KNOCK OUT ~The REBORN~』スーパーミドル級王座決定トーナメント4選手インタビュー公開!

©Def Fellow

3月13日(土)後楽園ホールで開催されるキックボクシング大会『KNOCK OUT ~The REBORN~』で開幕される「KNOCK OUT-BLACKスーパーミドル級王座決定トーナメント」出場4選手のコメントが届いた。全対戦カードは下記。


■「KNOCK OUT ~The REBORN~」
日時:2021年3月13日(土)開場17:00 開始18:00
会場:東京・後楽園ホール
チケット販売
SRS席(最前列)20,000円(¥20,500)RS席 15,000円(¥15,500)S席 10,000円(¥10,500)A席 7,000円(¥7,500)
※全席指定/消費税込み
※当日券は各席500円増し
※今大会は新型コロナウイルス感染症対策のため、座席数を制限して販売いたします
※6歳未満は入場無料。ただし保護者同伴で膝上にてご観戦ください。(小学生から有料、6歳未満でも座席を必要とする場合は有料)
チケット購入
チケットぴあ
OFFICIAL SHOP
出場各ジム

<メインイベント第8試合 KNOCK OUT-RED スーパーバンタム級王座決定戦 3分5R・延長1R>
小笠原瑛作(クロスポイント吉祥寺)
 vs.
KING強介(京都野口ジム/Team fight bull)

3月13日(土)『KNOCK OUT ~The REBORN~』選手コメント!小笠原瑛作とKING強介!4月4日(日)より『SACRED FORCE presents KNOCK OUT-EX』開始!

<セミファイナル第7試合 フェザー級 REDルール 3分3R・延長1R>
安本晴翔(橋本道場)
 vs.
ペットシラー・FURUMURA-GYM(タイ/FURUMURA-GYM)

3月13日(土)『KNOCK OUT ~The REBORN~』選手コメント!安本晴翔&ペットシラー 

<第6試合 フェザー級 BLACKルール 3分3R・延長1R>
龍聖(TRY HARD)
 vs.
大脇 武(GET OVER)

3月13日(土)『KNOCK OUT ~The REBORN~』選手コメント!龍聖 & 大脇武

<第5試合 スーパーバンタム級 REDルール 3分3R・延長1R>
壱・センチャイジム(センチャイムエタイジム)
 vs.
古村 光(FURUMURA-GYM)

4・25(日)『KNOCK OUT 2021 vol.2』後楽園大会!カード発表!3・13(土)『KNOCK OUT ~The REBORN~』選手コメント!壱・センチャイジム & 古村光

<第4試合 KNOCK OUT-BLACKスーパーミドル級王座決定トーナメント・準決勝/3分3R・延長1R>
松倉信太郎/Shintaro Matsukura (TRY HARD GYM)
 vs.
渡慶次幸平/Kohei Tokeshi(クロスポイント吉祥寺)

松倉信太郎
「スーパーミドル級というより、『KNOCK OUTのチャンピオン』になるつもりでいます」
──昨年12月の後楽園大会が『REBELS』への初参戦でした。何か感じたことはありましたか?
松倉 今までいろんな団体、イベントに出てきた中で、初めて参戦できたのはうれしかったですし、やっぱり『REBELS』は『REBELS』で独特な空気というか、イベントの色みたいなものがあるなあと感じました。雰囲気というか、計量とかでも各団体で違うし、ポスターとかも違うじゃないですか。そういう、いろんなところで感じましたね。

──その際のT-98戦で勝利して、提案していた75kgの階級がスーパーミドル級として実現することになりましたね。
松倉 それは素直にうれしいですし、ありがたいなあと思いました。去年1年間かけて75kg級を作ろうと動いていて、それが『KNOCK OUT』でやってもらえることになって、本当にそこに関しては「ありがたい」と「うれしい」の2つですね。

──この「REBORN」という大会でそのトーナメントが始まりますが、自分のためのトーナメントという気持ちですよね。
松倉 気持ちというか、そういうことですよね。客観的に見てもそうだと思うし、自分でも自分が始めたトーナメントだと思うし。今度の『KNOCK OUT』ではたくさん新しい階級が始まりますけど、どの階級から始めるかというのは選手がいないと無理だと思うし、そこは完全に自分が始めたという強い気持ちがありますね。

──このトーナメントの顔触れについてはいかがですか?
松倉 面白い選手が揃ったと思うし、僕の相手もケガで変わって逆に面白くなったかなと、個人的には思います。反対側にはNKBのトーナメントを全部KOで勝ったっていう選手がいて、デビューから全部勝っててKO率も高い選手がいて、自分はラウェイの世界チャンピオンで僕とやりたいって言ってた選手との対戦で……みたいな。そう考えると、かなりいい顔触れなのかなと。名前的にもそうだし、迫力のある試合が容易に想像つくメンバーでもありますよね。面白いトーナメントになるんじゃないかなと思いました。

──今も出ましたが、カード変更で渡慶次幸平選手との対戦となりました。以前、会見では「希望に応えるつもりはあまりない」みたいに言われてましたが……。
松倉 そうですね(笑)。ツイッターで「やろうよ」という感じで絡まれて、僕はあんまりそういう経験がなかったけど、相手はラウェイの世界チャンピオンだし、僕もタイトルを獲った後でどんどんチャンピオンとやりたかったところだったので、一度は「やろう」となったんですよ。でもそのうち、「自分は67kgを盛り上げるので、松倉君は75kgで……」みたいに書いてるのも見かけて、「やらないんかーい!」ってなって(笑)。T-98選手と決まったのもあって、一度は終わった話みたいになってたんですけど、今回僕の相手がケガで欠場となった時に、パッと引き受ける姿勢はカッコいいなと思いましたね。それでまた、やりたいなと思いました。

──渡慶次選手のラウェイでの試合は見ていますか?
松倉 ラウェイでの試合はちょこっとしか見てないですね。ラウェイは、僕が前にいたバンゲリングベイの選手がけっこう出てたんですよ。だからイメージは普通の人よりも持ってて、そこで勝つのがなかなか難しくてすごいということは知ってるつもりでいます。技術とかじゃない部分のすごさも分かってますし。それで今はキックに参戦していて、正直もっと雑なのかなと思ってたんですけど、すごく技術のある戦いをしていて、パンチも蹴りもバランスよく出している印象を持ちました。だから、キックボクシングに苦戦しているというよりも、ヒジに苦戦しているのかなと思って。組みとかヒジが得意じゃなさそうだから、『KNOCK OUT』のBLACKルールは向いてるのかなと思ってます。

──向いているルールで、ラウェイで戦ってきたハートがあるとなると、手強そう?
松倉 だからこそやる価値も緊張感もあると思うし、簡単には倒れないだろうから、自分を高められる相手だなとは思ってます。

──ただ傍目には、身長差で松倉選手が有利と見られると思います。ご自身としてはそこはどうですか?
松倉 そう見られるとは思いますけど、自分自身はあんまりそういう感覚はないですね。僕も佐藤嘉洋さんとやったりしているし、自分より大きい人とも小っちゃい人ともやってきてますけど、結局同じ体重で試合してるわけだから、そこに関してどうこうという考えは持ってないですね。相手が小っちゃいから簡単とか、相手が大きいから難しいというのは、特にないです。

──では、試合では何に気をつけて、どう戦うつもりですか?
松倉 油断できないというか、攻撃力がありますからね。これは渡慶次選手だけでなく、他の2人もそうですけど。気を抜いたら、何の攻撃をもらっても負けちゃうと思うし。技術のある選手だから駆け引きもある中で、どっちが当てられるかという戦いだと思いますね。とにかくみんな全身凶器じゃないですけど、そういう階級だと思ってるんで。ミスをした方が負けるということかなと。

──確かに攻撃力は4人とも高いですが、それも含めたトータルのバランスという点では松倉選手が一番上なのではと思います。
松倉 そうですね。普通に、実力的にも自分が上だろうというのもありますし、パッと見た時に、他のどの選手が勝っても『KNOCK OUT』が変われないと思うんですよね。正直、地味なところがすごくあるなと……僕が派手ってことでもないですけど。でも他の3人に比べたら、僕が間違いなく一番広められると思うし。チャンピオンには責任があると思うんですよね。発言とか、普段のSNSとか見てても、他の選手たちからそういう感じは受け取れないし、そういう人たちがチャンピオンになっても、団体も困っちゃうんじゃないかなと思います。

──カード発表会見でも、責任感、使命感を表す言葉が出ていましたよね。
松倉 やっぱりこの階級、ベルトを作ってくれたのが大きいですよね。正直、今まではベルトって獲れさえすればいいみたいな感覚があったんですけど、この『KNOCK OUT』が作ってくれたベルトは守っていきたいなと思うし、そこについてはすごく感謝の気持ちがありますね。そこに対して愛着もあるから、よく分かんない人たちが獲ったらよくないなと思ってます。獲った後も想像つかないし。

──獲る前から愛着があるベルトというのも珍しい話ですよね。
松倉 K-1甲子園とかKrushのYOUTH GPとかも、もともと僕の階級がなかったんですよ。そうやって、ない階級を今まで作ってきたので、今回も自分のために…じゃないけど作ってもらった階級っていうのは、すごく愛着がありますね。もちろん、他の選手たちがいたからというのはあるけど、きっかけは僕だと思うので。単純に他の団体でも、今75kg級ってないので。

──それだけに、今回の準決勝、そして決勝も、試合内容も問われますよね。
松倉 そうですね。団体側も作るからには「それなりの行動で示してくれるよね」っていう部分はあると思うので。僕自身も、自分で思ってるより体で感じてる部分もあるし、それで追い込まれてた部分もあると思うし。あとは試合で出さないとなと、切実に思ってますね。

──なので、あえていろいろ飛び越えてお聞きしますが、どういう階級にしたいですか?
松倉 階級もそうですけど、それよりも「K-1のチャンピオン」といえば武尊選手の名前が出てくると思うし、「RISEのチャンピオン」といえば那須川天心選手じゃないですか。それって、「●kgのチャンピオンって……」という話じゃないと思うんですよ。だから今は、「『KNOCKOUT』のチャンピオンになる」という感覚でいますね。そしたらいろいろチャンスも増えて、自ずと変わってくるのかなと。そういうことができるのが僕しかいないのかなと思います。

──では、『KNOCK OUT』の中心選手、主役になると。
松倉 そこはかなり意識しています。数いるチャンピオンの1人で終わる気はないし、『KNOCK OUT』の主役として、どう変えていけるかだと思ってるんで。もちろんトーナメントのことは見据えてますけど、その先をしっかり見ないとと思ってます。その第一歩として、渡慶次戦は落とせないですよね。ナメてるわけでもなくて、この先いろいろ変えていく上で絶対に落とせない一戦、魅せていかないといけない一戦です。

渡慶次幸平
「勝ったらマイクで言いたいセリフがあります!」
──今回、負傷選手の代打としてトーナメントへの参戦が決まりました。渡慶次選手から名乗りを上げたということですが。
渡慶次 欠場選手が出て、山口元気会長に「どうする?」って言われて、断る理由はなかったですからね。やりたい選手でしたし。

──松倉信太郎選手とは、SNSでやりとりしてましたからね。
渡慶次 やりたいと思って呼びかけてたんですけど、その時はうまくいかなかったんで。でもここでやれることになったのは、やっぱり縁があったのかなと思います。

──近年はずっとラウェイで戦ってきてましたが、コロナの影響でラウェイの大会も開催困難となり、キックルールでの戦いが続いていますが……。
渡慶次 ここまで1勝2敗ですね。ただ、キックボクシングルールでの戦い方も分かってきたので、タイミング的にはちょうどいいかなと。ラウェイは5Rで判定がないので、相手も出てくるんですけど、キックは3R制でポイントがある戦いじゃないですか。そこでどうすればいいのかを考えていて、この3戦はキックにアジャストするための戦いだったんですけど、3戦やってみて「キックにアジャストする必要はないかな」と思って。だから今度はキックボクシングをやるつもりはなくて、異種格闘技戦をやるつもりでいます。

──キックvsラウェイの戦いということですね。ただ、ラウェイは使える武器もキックルールでは制限されると、単純に思うんですが……。
渡慶次 一番は、「うまく戦おうとせずに、倒せばいい」という、すごくシンプルなことです。ヒジがないとか投げがないとか、頭突きがダメとかいう話じゃなくて、もっとシンプルに、キックボクシングのファンから見ると「うわ、何だよこれ!」っていうような表現ですね。もちろんルールの中で。そういう表現ができれば、僕の勝利がより近づくかなと思います。

──キックにはない攻め込み方という感じですか?
渡慶次 そうですね。ラウェイ独特のリズムも含めて。MMAに近いものがあると思うんですけど。MMAの選手がキックに出ると、リズムが違うじゃないですか。あれに近いでしょうね。それで松倉君のバランスを崩すことが一番攻撃につながると思うので。まあそれはムエタイ、キックボクシングも同じで「相手のペースにさせない」ことは鉄則ですけどね。

──松倉選手は180cmで、身長差は12cmあります。前回、津崎善郎戦は長身の相手に攻めきれなかったという印象でしたが、そこについては?
渡慶次 相手が前に出てこないと、身長差はそのまま反映されちゃうんですよね。でも松倉君は出てきてくれると思うので、違うかなと。来てくれなければ、その時の準備もしてはいますが。見た目からして大きい相手と小っちゃい選手がやって、小っちゃい方が倒したら、誰でも盛り上がりませんか?ってことです。それが、僕が山本KID徳郁さんに教えてもらった、格闘技の一番カッコいいところだと思います。相撲でもそうですけど、小兵が大きい相手を倒すのが一番盛り上がりますよね。大きい選手には悪いですけど、大きい選手が勝つのは当たり前じゃないですか。でもそうじゃないよっていう場面を格闘技は作れるし、それを見せればお客さんは必然的に盛り上がるんで、そこをアピールしてお客さんを焚きつけるのがセオリーかなと思います。

──ちなみにラウェイで戦っていた階級というのは……。
渡慶次 ラウェイでは73kgの試合が多くて、タイトルを獲ったのは75kgの試合です。ベストパフォーマンスができるのは73kgだとは思うんですけど、松倉君とやれるんだったら体重は別に何kgでも。変な話、80kgでもよかったですし、今だと特に彼がT-98さんに勝った後なので、そういう付加価値がついた選手と戦えるチャンスに「いや、今回は勝つ見込みが薄いんで……」って断るようなら、僕は引退した方がいいと思うんで。

──なるほど。
渡慶次 今回のこの試合で、僕が勝つと思ってる人って、うーん……5%ぐらいだと思うんですよ。ウチの会長も、たぶん僕が負けると思ってるでしょうし。エンセン井上さんが当時UFCの現役チャンピオンだったランディー・クートゥアーから一本取って勝った試合があるじゃないですか。あれもそうだし、中井祐樹先生がジェラルド・ゴルドーから目を潰されても足を極め切った試合もそうだし、僕が目指してる格闘技というのはそこなので、そこの勝負で負けたくないんですよね。

──ということは、王座決定トーナメントだったり、新階級のタイトルだったりという要素は……。
渡慶次 そんなのは全然どうでもいいです(笑)。松倉君に勝つことの方が、よっぽど価値があると思います。決勝戦のことは、勝った後に考えればいいと思うので。このジャンルでは圧倒的なキャリアの差がある選手なので、それを倒した時に見える景色を、僕が見てみたいんですよ。すごいと思うんですよね、その景色って。

──それを確かめにいくと。
渡慶次 この試合に勝ったら、僕の今年の年収って倍になると思うんですよ。それぐらい、今の松倉信太郎というのは価値がある選手だと思ってるんで。そこに「どこまでできるんだろう、俺」というのが楽しみですよね。体格も技術も実績も彼の方があって、彼は連勝中で僕は連敗中で。だからこそ僕が勝つ可能性があるわけで。彼は今、僕という選手を迎え撃つというスタンスでいると思うので、そう思っていてくれたら僕にとってチャンスかなと。

──最終的に、勝つためにカギになる部分って何だと思いますか?
渡慶次 うーん……特にはないんだと思いますよ、カギなんて。試合中に僕が何かを掴んだら勝つでしょうし、松倉君が掴んだら彼の勝ちでしょうし。決着がつく瞬間に、勝利への執着が高い方が勝つっていう、それだけじゃないですか。

──それを掴む自信がある?
渡慶次 自信があるっていうより、僕は連敗中で、ミャンマーもああいう状況で、ラウェイの選手はキックボクシングでもMMAでも結果が出せてなくて、ラウェイの価値というところの勝負でもあるので、勝ってエンセンさんみたいに「俺が負けると思ってたヤツ、くたばれ!」って言ってやりたいです。エンセンさんのあの試合を、自分がやってみたいです。

<第3試合 KNOCK OUT-BLACKスーパーミドル級王座決定トーナメント・準決勝/3分3R・延長1R>
吉野友規/Tomoki Yoshino(STURGIS新宿)
 vs.
田村聖/Hijiri Tamura(拳心館)

吉野友規
「私が『負けたら終わり』と言い続けている理由は……」
──デビューから初めて王座が懸かる試合に出場することになりました。トーナメントへのエントリーについては?
吉野 すごいチャンスだと感じて、ぜひ挑戦させていただきたいなと思いました。

──今回、松倉選手の提唱も一つのきっかけとなって、75kgリミットのスーパーミドル級という新階級となりました。この75kgという体重設定についてはいかがですか?
吉野 75kgで試合をするのは今回が初めてになるので何とも言えないですが、順調に体重は落ちています。戦った時にどうなるのかは未知ですが。

──ちなみに通常体重はどれぐらいなんですか?
吉野 83~84kgあります。練習が激しくて、それだけで2kgぐらいは毎回落ちるので、そこに水抜きや食事制限を足せば、すごくキツいというわけでもないのかなと。

──まずトーナメント全体、4人の顔触れについて思ったことは?
吉野 私以外は全員チャンピオンか経験者ですよね(笑)。挑戦者として挑ませていただくという気持ちです。

──その中で準決勝の相手は元NKBミドル級王者の田村聖選手になりました。
吉野 まず「強い」のひと言ですよね。技もありますし、威力もある。身長は177cmということですが、パワーはずば抜けたものがあるなと。

──警戒するのはパンチですか?
吉野 でもローも強いので、突進してくるような技ですかね。ここぞという時に詰めて打ってくる技であったり、逆にこっちが不用意に出たらカウンターで合わせられたりと技も多彩なので、そういうところも強さの一つだなと思ってます。

──ではどう戦ってどう勝ちたいと思っていますか?
吉野 どう勝ちたいというよりも、まずは気持ちを前面に出すということ。それと、強い相手なので自分が力んでしまうと思うんですけど、そういったところを一つずつ相手をしっかり見て戦おうと思ってます。

──そういう点では、前回12月の小泉竜戦の後も反省の弁が目立ちましたが、それを踏まえては?
吉野 前回は、打ち終わりで防御の手が下がってしまうクセがあるので、それを意識しすぎて固くなってしまったんですね。パンチ、パンチで倒そうとして蹴りが出せなかったり、どうしても上半身がすごく力んでしまっていたので、そういったところでも柔らかく打つこと、下半身に力を入れることを考えて戦っていきたいと思っています。

──そこの改善を考えて練習していると。
吉野 そうですね、だから今は力を入れてないです。力を入れずにどこで回すかとか、どうしたら上と下が連動するかとか、本当に基本的なことなんですけど、そういったところですね。ここまで勝ち続けてきたのはたまたまの結果なんですけど、もうパワーだけで思いっきりやったところで勝てないというのは分かっているので、そういった時に戻るところは基本なのかなと思っています。

──そろそろまたKO勝利が見たいという期待も感じられていると思いますが……。
吉野 はい。私の醍醐味はKO勝利と言われてたんですけど、KOを意識しすぎて打っても逆にKOできないと思うので、速さであったりここぞというタイミングであったり、それをしっかりと実戦に生かせられれば、KOにつながると思ってるんですけどね。KOばっかり気にしていても、目の前の勝負に勝たなければいけないので、KOにこだわらず、本当に目の前の勝負を掴みにいくという感じでいます。

──このトーナメント、2つ勝てばチャンピオンということになります。そこへの意識は?
吉野 意識はしていますが、「2勝してやるぞ!」という気はないです。まずは目の前の田村選手が、ベルトとか2勝とか言ってられない相手なので、そこをしっかりと意識して、まずそこにかけたいです。今は反対側のブロックや決勝のことは考えず、田村選手のことだけ考えています。

──また、以前から一貫して「負けたら終わり」と言われていますよね。
吉野 キックをやめる、ということではないんですが、やめざるを得なくなることも出てくるのかなと思ってるんです。私は昼のお仕事をしながら、キックボクシングをやらせていただいてるんですが、プロになって3戦目ぐらいまでは月曜から土曜まで毎日、仕事が終わった後に練習に行ってたんです。それはやっぱりキツかったんですよ。寝る時間もないし朝も早いですし、疲れもすごかったんですが、「やってやるぞ」という気持ちがあったのでここまでは来れました。でも会社側も心を動かされたらしく、最近は「もっとキックに専念してくれ」ということで、いろいろ支援していただけるようになったんです。でも、それって当たり前のことじゃないですよね。

──確かにそうですね。
吉野 私は今年35歳になるんですが、若いうちから土台ができて積み上げてきたというキックボクサーではないですし、もともと多少なりのわがままも聞いていただいています。それを「頑張れよ」ということで背中を押していただいていて、それは何度も何度もチャンスが来ることはないですし、結果が全てだなと思ってるんです。自分の中では頑張っていても、結果によっては応援してくれている人々を裏切ることになってしまうかもしれません。そうなった時に、当たり前のように「これからもまたお願いします」というのはできないなと、自分の中では考えていて。本当は負けた時のことなんか考えたくもないんですけど、「何だよ」とガッカリさせてしまうような試合は絶対できないですし、だったらどんなことをしても勝つという気
持ちでいないといけないと常に思っています。一戦一戦、負けたら終わりという気持ちでやらないと、そんな甘えられる状況じゃないなと。

──会社の方々が配慮してくれるようになったのは、試合を見てのことなんですか?
吉野 はい。デビューの時から応援に来ていただいていて、今までは午前中で切り上げさせてくれることとかはなかったんですが、今は試合の前になると「練習に行ってこい」と言ってくれたり、今回なんかは1ヵ月ちょっと、「練習に打ち込め」ということで配慮していただいてるんで。「ありがとうございます」と言うのは簡単なんですけど、この恩をしっかりとみんなが喜んでくれる結果につなげることには責任も感じてます。

──もしかしたらそれは、タイトル以上に重いですね。
吉野 ベルトは正直、本当にほしいです。キックボクサーになって一番のチャンスだなとも思ってます。それもありますが、背中を押してくれてる方々に対して感じているプレッシャーというのもかなり大きいです。それで結果が出て、「気づいたらベルトが勝ち取れました!」というのがベストですね。ベルトから入っちゃうと絶対にコケますから。私はキックボクシングをやる前に剣道を20年やってまして、みんなからは「謙虚だ」とか言っていただけるんですけど、剣道で成果を上げた時にはテングになってたんです。

──そうなんですか。
吉野 でも、テングになっていいことは何一つなかったんですよ。それで結果的に勝てなくなりましたし、そこで一生懸命打ち込んでる人間、他人に「お願いします」と言える人間が代わりに上がっていきました。だから「俺は勢いがあるから、次もぶっ飛ばしてやるよ」とは絶対に言えないですし、それが弱みになるというのは自分が一番経験してますからね。そんな驕れるほど強くないというのは自分が一番分かってますから。だからひと勝負ひと勝負、「お願いします」という挑戦者の気持ちでいこうと思ってます。

──では最後に、今回の試合で一番「ここを見てくれ」という点は?
吉野 パンチが少し変わったと思うので、そこを見てほしいですね。少しは柔らかく打てるようになったと思うので。今までとはだいぶ変わったと思うんですが……試合でそれが出るかどうかはまだ謎なんですけど(笑)。そこは久しぶりに、自分でも楽しみなんです。今までは練習で精いっぱいだったんですけど、それが出せるように、自分でも期待してます。

──ありがとうございました!

田村聖
「連続KOで優勝して、NKBの強さを見せたい!」
──今回、『KNOCK OUT』の王座決定トーナメントにエントリーが決まった時には、率直にどう思われましたか?
田村 「まさか自分が」みたいな感じで、ビックリしました。

──NKB王座も獲得されてはいましたが、特に「PRIMA GOLD杯NKBミドル級トーナメント」あたりから経験値の上がり方がハンパなく、それが今回までつながっている感じですね。
田村 そうですね。あのトーナメント前後から他団体との交流が増えてきて、自分のやる気もどんどん上がっていったので、やっぱりそこは大きいですね。

──NKBは基本的に鎖国状態でしたが、その時代から「他団体の選手ともやればできる」という自信は持っていたんですか?
田村 いや、「NKBは、外に出てもレベル的にダメなんだろうな」と、勝手に思っちゃってました。自分も、他団体の選手と対戦するということ自体、思ってもいなかったので、他の団体の選手とかも全然知らなかったんですよ。だからトーナメントでは他団体の選手とばかり当たって、全部KO勝ちで優勝できたので、すごく自信になりました。

──その中で、自分のレベル、強さについて再発見した部分というのはありましたか?
田村 「パンチでKOできるんだな」というのは思いました。デビューから何戦かはKOできてたんですけど、その後しばらくはそういう勝ちがあまりなかったし、3ノックダウンで勝つことはあっても一発で仕留める試合がなかったんです。でもトーナメントでは一発KOもできて、「やっぱり自分はパンチがある方なんだな」と思いました。

──というところで、今回の王座決定トーナメントでは準決勝で吉野友規選手と対戦することになりました。
田村 剣道で優勝したというのは知ってます。キックの試合は、YouTubeで確認できるものは見たというぐらいですね。

──相手の映像はそんなに見ない方?
田村 相手が負けた映像があれば、それを見て相手が負けるところをイメージできるんですけど、吉野選手は負けた試合がないので、特に今回は見てないです(笑)。いつも、自分が勝つイメージだけ持っていたいので。

──では、吉野選手の印象と言っても……。
田村 パンチが強いということは認識してます。それだけ分かってればという感じです。逆に自分が得意なところを出さないと勝てないので。

──「こう勝ちたい」というのは?
田村 やっぱりパンチで勝ちたいですね。できれば足から崩して、意識を下に下げて……とは思ってます。NKBトーナメントの決勝戦(清水武戦)ではローを効かせてからパンチでKOできたので、あれは自分の中でよかったなと思っていて。トレーナーからも言われていたし、ずーっと反復練習してきたことがやっと出せたので自信になっていて、今回もそれができればと思ってます。

──今回はKNOCK OUTスーパーミドル級で75kgというリミットですが、そこについては?
田村 問題ないです。普段、NKBミドル級は72.575kgがリミットですが、ナチュラルで82~83kgあって減量も若干楽なので、いい動きができると思います。

──今回は4人のトーナメントですが、決勝で戦いたい選手は?
田村 いやもう、どっちも有名な選手なので、どちらでもいいですね。有名な選手とやりたいなと、ずっと思っていたので。

──2試合勝てば、『KNOCK OUT』のチャンピオンということになります。
田村 ベルトがあると自分から発言できるので、ほしいですね。今は何か言っても相手にされないというか、拾ってももらえないので、思いっきり発言したりできるようになるんだなあと。

──ではそうなったら、言いたいことがある?
田村 いや……「強い選手とやりたい」とは思ってるんですけど、誰が強いのかはあまり知らないので(笑)。

──そこは今も知らないんですね(笑)。でも『KNOCK OUT』のチャンピオンということになれば、必然的に強い選手が用意されることになるでしょうからね。
田村 『KNOCK OUT』自体、ずーっと出たいと思ってたんですよ。強くないと呼んでもらえないと思っていたので、ずっと憧れでした。

──そこで「NKBの強さを見せたい」という気持ちも強い?
田村 それはかなりあります。「ここで勝てば、NKBにもっとお客さんが呼べる」と思うので。でも、NKBでは打ち合いが好まれるんですけど、自分は打ち合いはあんまりしたくないんですよね(笑)。

──そこは複雑と(笑)。では、田村選手が思うNKBのよさとは?
田村 僕は、お客さんが近いところがいいなと思ってます。ずっと応援してくれてるお客さんの声は、セコンドよりよく聞こえますし。NKBでそういう人から応援してもらえると、すごく元気が出ます。

──今回が『KNOCK OUT』2戦目なので、田村選手のことを会場や配信で初めて見るというお客さんもいると思います。「俺のここを見てくれ」という点は?
田村 入場とかパフォーマンスは全然しないんで、本当に試合の中身、特に右のパンチを見てほしいです。当たれば倒れるという自信があるので。

──ズバリ、優勝する自信は?
田村 100%あります! そんな甘くはないと思ってますけど、NKBトーナメントの時みたいに今度も全部KOできれば。

──ありがとうございました!

◇5/22(土)後楽園ホール/決勝
松倉信太郎-渡慶次幸平の勝者 vs. 吉野友規-田村聖の勝者

3月13日(土)『KNOCK OUT ~The REBORN~』スーパーミドル級王座決定トーナメント!小泉竜が負傷欠場で渡慶次幸平が出場!

<第2試合 KNOCK OUT-BLACK スーパーライト級王座決定トーナメント・準決勝 3分3R・延長1R>
与座優貴(橋本道場)
 vs.
宮越慶二郎(拳粋会宮越道場)

<第1試合 KNOCK OUT-BLACK スーパーライト級王座決定トーナメント・準決勝 3分3R・延長1R>
鈴木千裕(クロスポイント吉祥寺)
 vs.
久保政哉(Monolith)

【2021年スケジュール】
01/11(月・祝)  『創世のタイガ』&『無法島』PRESENTS REBELS ~New Year Festival~  新宿FACE
02/28(日)  REBELS ~The FINAL~  後楽園ホール
03/13(土)  KNOCK OUT ~The REBORN~  後楽園ホール
03/28(日) KNOCK OUTアマチュア・チャンピオン決定トーナメント  新宿FACE
04/04(日)  KNOCK OUTプロ大会 ※昼大会  新宿FACE
04/25(日) KNOCK OUTプロ大会 後楽園ホール
05/22(土) KNOCK OUTプロ大会 後楽園ホール
06/12(土) 昼:アマチュア大会/夜・プロ大会  新宿FACE
07/18(日) KNOCK OUTプロ大会 後楽園ホール
08/22(日) 昼:アマチュア大会/夜・プロ大会  新宿FACE
09/25(土) KNOCK OUTプロ大会 後楽園ホール
10/29(金) KNOCK OUTプロ大会  後楽園ホール
11/28(日) KNOCK OUTプロ大会 後楽園ホール
12月調整中
※運営都合により上記予定は変更または中止される場合がございます。