7・18『PRO-WRESTLING NOAH DESTINY2005』
仲田龍さん体制の時のNOAHは、選手層の充実はもちろんでしたが、他団体相手での勝ち星ではとにかく国内最強でした。
小橋対健介が行われた東京ドームの時も他団体参戦選手は 天龍さん以外は棚橋、健介、川田はNOAHの所属選手に負けました。
※編集部注:週刊ファイトは「ブック乞食!」と揶揄している。
健介、川田の立場はフリーでしたが事実上、NOAHは新日本と全日本系のエースの選手をひとつの大会の中で立て続けに下した事になりました。
NOAHはあの時、まさに王国を築いた形になりましたが、自分は逆に当時、興行成績が傾く中での新日本の希望の星だった棚橋が力皇に負けた事実に愕然として、NOAHを凄いと思うよりも逆にNOAHを憎いと感じ始めました。
このままでは日本のプロレス界が今後NOAHのいいように牛耳られていくと感じたからです。
6・13広島『三沢光晴メモリアルナイト 2015』より
これは自分の持論というか勝手な思い込みなのですが、日本人、特にプロレスのように独自性の高いジャンルを愛するファンは、応援している組織が完成され過ぎると、それに反発するというか、「これだけ鉄壁なら、別に自分ひとりが応援しなくたっていいだろう」と感じて、逆に熱意が冷めたり、別の団体やプロモーションに興味が移っていくものだと思っています。
その意味ではちょっと強烈な表現で申し訳ないのですが、あの「全勝ドーム」こそNOAHの凋落の始まりだったと自分は勝手に思っています。
また、あの頃のNOAHは全日本系以外から入団した外様の選手達は、勝ち星・ポジション共に冷遇されていて、フラッシュ的に注目させる事はあっても主要な流れにはついぞキャスティングされる事はありませんでした。
これは熱心なファンの方なら気がついていた事だと思います。
翌2011年の東京ドーム大会では小島聡vs.棚橋弘至戦にこぎつけた。
ここで話しは飛ぶのですが2010年のG1で、全日本を辞めてまだフリーの立場だった小島さんが新日本プロレス所属外の選手として初のG1覇者となりましたが、あの時に「良い選手ならば立場にかかわらずプッシュする新日本ではこれから何が起きるかわからないぞ」という期待感が大きく沸き起こり、あれこそが新日本の復興の始まりだったと自分は思っています。
現在のNOAHも、特にサイバーエージェント体制になってからは所属・ゲスト選手の誰が勝つかわからない展開(今回の武藤さんなどはその最たる事例)で、次の大会への興味が連鎖してゆき、また今回、NOAHにとっては11年ぶりの武道館という超晴れ舞台で潮崎が負けたことでファンの同情や応援したいという意識をさらに増加させています。
非常にやり方が洗練されていてうまいなと自分は思います。
プラスして、悲願だった武道館凱旋が潮崎敗北で到達点とはならなかったわけですから、NOAHは「完璧な団体になることをうまく回避出来て」ファンの応援意識の後ろ盾をさらに強くしました。
正に自分で自分の伸びしろを拡げることに成功したわけです。
これは通常の発想では なかなか出来得ない事で、ここから数年のNOAHのリング上、またその興行戦略からは目が離せないと自分は思います。
2月13日記 山本雅俊
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