HELL in a CELLベイリー、Dマッキンタイアー陥落Sバンクス、Rオートン新王者

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 決して悪い内容の大会ではなかったが、結局はヘル・イン・ア・セル、赤い金網の3カードだけが重要で、あとは供え物扱いになってしまっていることに加え、その金網戦がいずれも長い。必要以上に複雑にしてしまい、かえって芯の通った伝えたかった物語の焦点がぼやけてしまった感が残る。CM制約のない、尺も貰えるPPV大会なのはわかるが、長くなりすぎても考え物だ。あれもこれも詰め込むとの意気込みは買うが、凶器もひとつに絞るとか、そのほうがかえって名勝負評価になる教訓があった。


 とはいっても、やはりベイリーvs.サーシャ・バンクスがベストマッチだろう。わざわざ「X」とペイントされたチェアーを用意するなら、それだけに絞れば良かったのに、もうテーブルからハシゴから、消火器噴射に竹刀でのシバキあいまであれもこれもやりと、こんな展開は見たことないとなる新たなクリエイティブ展開が随所にあったのは二重丸。
金網外からの写真なのでなにやってるのかわからないかもだが、上記は竹刀2本を金網穴とステップの穴に入れてサーシャの喉に食らわすspotで、百聞は一見にしかず。ぜひWWEネットワーク見ましょう。

 その他盛沢山なんだが、2本の竹刀をガムテープで巻いてくっつけては、そのガムテームがなかなか最初にロールから引っ張りだせないとか、2本をくっつけてもうまく巻けず、結局そのspotを見送ることになるなど、もたもたさせる箇所も散見された。もっとも、トリのドリュー・マッキンタイアーvs.ランディ・オートンなんか、もっと天井での攻防からまた戻って最後のリングの闘いになるまで何分かかってるんだとか、さらにもっと時間食っているのだから、そういうのも考慮するなら、チェアを挟んでのバンク・ステートメントが極まる(金網内放送正面なのでそのものズバリのカットは公式写真になかった)という大河ドラマのクライマックスまでやり遂げた分、女子カードに軍配を上げざるをえないのだ。ベイリーの380日に及んだ長期政権が幕を閉じている。


 PPV本戦冒頭を飾ったサモア首属の存亡ドラマも悪くはなく、白装束で出てきたジェイ・ウーソなんだが、まぁ誰も勝つとは思ってないからいいじゃないかと。

 最後には恐らく70歳代のワイルドサモアンズ、アファ&シカまで出てくるお膳立ては昔から見ているユニバースを喜ばせたに違いない。重ねて全体として長すぎた疲れはあるが、エンタメ度では楽しませてくれてる。
 全試合網羅の拡大詳細版は金曜発売の週刊ファイトに収録されます。

■ WWE Hell in a Cell
日時:10月25日(現地時間)
会場:米フロリダ州 オーランド サンダードーム(アムウェイ・センター)

<第1試合 ユニバーサル王座ヘル・イン・ア・セル”I QUIT”マッチ>
[王者]○ローマン・レインズ
 29分20秒 I QUIT
[挑戦者]●ジェイ・ウーソ

<第2試合 シングルマッチ>
●ジェフ・ハーディ
 7分50秒 反則
アライアス

<第3試合 MITBブリーフケース争奪戦>
●オーティス w/タッカー
 7分25秒 フォール
○ザ・ミズ w/ジョン・モリソン

<第4試合 SD女子王座ヘル・イン・ア・セル戦>
[王者]●ベイリー
 26分35秒 バンク・ステートメント w/チェアー
[挑戦者]○サーシャ・バンクス

<第5試合 US王座戦>
[王者]○ボビー・ラシュリー
 3分50秒 フルネルソン
[挑戦者]●Slapjack(シェイン・ソーン)

<第6試合 WWE王座ヘル・イン・ア・セル戦>
[王者]●ドリュー・マッキンタイア
 30分35秒 RKO
[挑戦者]○ランディ・オートン

◆レインズがウーソ兄弟をギロチンで締め落として王座防衛

 王者ローマン・レインズ(withポール・ヘイマン)とジェイ・ウーソが従兄弟対決となるPPV「ヘル・イン・ア・セル」のユニバーサル王座ヘル・イン・ア・セル“アイ・クイット”戦で激突した。降参させることのみが勝利条件となるこの金網戦でレインズはクローズラインやカウンターのスピアーを決めて攻め込めば、ジェイもトペ・スイシーダ2発を放つとレインズを金網に叩きつけて白熱の攻防を展開。さらにジェイがスーパーキックから持ち出したストラップでレインズの首を締め上げると、レインズは降参を認めずに失神。しかし、しばらくして意識を取り戻したレインズは不意打ちのスーパーマンパンチからギロチン・チョークで締め上げてジェイを失神に追い込むも、そのまま攻撃の手を緩めずに鉄製ステップを使ったドロップキックで追撃した。

 レフェリーは動かないジェイを見て試合を終わらせようとしたが、レインズは「誰も止められない」とレフェリーを排除。すると他のスタッフたちがリングに駆け寄ったが、止まらないレインズは「俺がトライバルチーフ(一族の長)だと認めろ」と言いながら鉄製ステップを振りかざすと、たまらず兄のジミーが止めに入った。するとレインズはジミーの声掛けに涙を流しながら一度はリングに崩れて握手を交わしたが、突如豹変してジミーをギロチン・チョークで捕まえると、ジェイが意識を取り戻して兄ジミーを助けるために降参。王座防衛に成功したレインズはステージでアノアイ一族のワイルドサモアンズとハグを交わしてレイ(花輪)を受け取ると、自身の王座ベルトを掲げてトライバルチーフとしての存在をアピールした。

◆サーシャがベイリーとの元盟友対決を制してスマックダウン女子王座を初戴冠

 王者ベイリーと“ボス”サーシャ・バンクスがPPV「ヘル・イン・ア・セル」で元盟友対決となるSD女子王座ヘル・イン・ア・セル戦(金網戦)で激突し、サーシャが死闘を制して初戴冠となる新スマックダウン女子王者となった。復讐に燃えるサーシャはパイプ椅子で襲い掛かるベイリーにドロップキックを放つとハリケーン・ラナからいきなりバンク・ステートメントを決めたが、ベイリーはサーシャの手に噛みついてこれを回避するとサーシャを金網に叩きつけた。その後もサーシャがテーブルを利用したミリオラやサンセット・フリップでベイリーを金網に叩きつければ、ベイリーも竹刀攻撃やダイビング・エルボードロップで反撃。

 終盤にはサーシャが消火器をベイリーの顔面に噴射して「私の方が上よ」とフロッグスプラッシュを放つも、これをパイプ椅子で迎撃したベイリーはフラップジャックでラダーに叩きつけてサーシャをスプレーでペイントしたが、今後は逆にサーシャがミリオラからのベリー・トゥ・ベリーをベイリーに叩き込んで白熱の攻防を展開。

 負けられないベイリーもランニング・ニーから必殺のベイリー・トゥ・ベリーを決めたが決定打とならず、最後はサーシャがパイプ椅子を使ったバンク・ステートメントで締め上げてベイリーにタップ勝ち。ベイリーは死闘となった元盟友対決に敗れて380日続いた王座から陥落し、サーシャが初戴冠となる新スマックダウン女子王者となった。

◆オートンがマッキンタイアとの死闘の金網戦を制してWWE王座を戴冠

 王者ドリュー・マッキンタイアが“毒蛇”ランディ・オートンとPPV「ヘル・イン・ア・セル」のWWE王座ヘル・イン・ア・セル戦(金網戦)で激突し、オートンが死闘を制して新WWE王者となった。試合前からオートンが入場するマッキンタイアを待伏せして場外乱闘となると、試合開始後はマッキンタイアがオートンを金網やポスト、鉄製ステップに叩きつけて圧倒した。しかし、オートンがマッキンタイアのクレイモアをかわしてパイプ椅子攻撃や鉄製ステップにマッキンタイアを叩きつけて反撃すると、マッキンタイアもクローズラインやベリー・トゥ・ベリーでオートンをテーブル葬にして激しい攻防を展開した。

 中盤にはオートンがボルトカッターで金網のチェーン鍵を切り落してマッキンタイアを金網の天井に誘い込むと、マッキンタイアが馬乗りになってオートンに殴り掛かったが、オートンも用意していたパイプ棒で反撃。

 さらに2人は金網側面でも激闘を展開すると、オートンの攻撃でマッキンタイアが落下して解説席に激突した。オートンはこれで大ダメージを負ったマッキンタイアにRKOを狙ったが、これをかわしたマッキンタイアがオートンに渾身のクレイモア弾。続けてマッキンタイアが場外に回避していたオートンをリングに戻して止めのクレイモアを狙ったが、最後はこれをかわしてオートンが必殺のRKOを炸裂させて3カウント。オートンがマッキンタイアとの金網戦を制して新WWE王者となった。


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▼HELL in a CELL新王者Sバンクス、Rオートン-世間側のG1喪失-訃報

[ファイトクラブ]HELL in a CELL新王者Sバンクス、Rオートン-世間側のG1喪失-訃報

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’20年11月05日号新日 HELL-CELL ヌルマゴ 内柴正人 Vamostar ジュリア ハロウィンH