大阪 DEEP☆KICK 45 メインで山田直樹が勝利!

 熱戦の連続だ。第1部のDEEP☆KICK44終了から小1時間、「DEEP☆KICK 45」は同じテクスピア大阪で開催された。コロナ禍の中,DEEP☆KICKは2大会を中止せざるをえなかった。DEEP☆KICK44同様、このDEEP☆KICK45も中止になった2大会からスライドされたマッチメークも多く、出場選手たちはたまりにたまった鬱憤をリング上で一気に晴らした格好だ。
 来る9月21日も今回同様2部構成として、「DEEP☆KICK 46」と「DEEP☆KICK 47」が予定されている。この大会では今回行われた各階級のトーナメント決勝が行われる。
(文・布施鋼治/写真・石本文子)

第1試合 AYA 対 IMARI

 空手がベースのAYAとムエタイがベースのIMARIの一騎討ち。1Rから両者は何度となく打ち合いに挑むが、そうした中でもIMARIはミドルやヒザを必ず連打の中に混ぜていく。
 2Rが終わった時点でのスコアは1-1のイーブンだったが、IMARIは3Rになると滋賀県にあるLEGEND GYMの子供たちの声援を背にワンツーからの左ミドルで試合の流れをたぐり寄せる。一方のAYAも印象点の高い右ストレートで反撃。両者はラウンド終了まで果敢に打ち合ったため、ゴングが鳴ると客席からは惜しみない拍手が贈られた。
 判定は3Rの手数がモノをいって2-0でIMARIに軍配。レフェリーに右手を上げられると、18歳の女子ナックモエは涙を見せた。

第2試合 真琴 対 麗聖

1R、麗聖より7㎝ほど背が高い真琴は距離をとり、長いリーチを活かした試合運びで試合の流れを掴む。しかし麗聖も2R終盤から得意の右を活かして反撃を開始する。乱打戦になっても一歩も引かない。そんな麗聖に対して真琴は飛びヒザ蹴りで追撃し、3-0の判定勝ちを収めた。                   

第3試合 隼斗 対 田中 陸登

 リングに上がった田中陸登は体にワセリンを塗っていたため体を拭かれ口頭注意からのスタートとなったが、1R打ち合いの中で右を決め先制のダウンを奪う。劣勢に立たされた隼斗は押してからのミドルやヒザ蹴りで盛り返す。しかし、田中の牙城は高く、そのままポイントを加算され3-0の判定負けを喫した。
第4試合 PRINCE博 対 大夢

 セコンドとともにダンスをしながら入場し、会場を盛り上げたPRINCE博だったが、地黒でオレンジ色のトランクスが映える大夢(だいな)にワンツーや右ボディフックで圧をかけられるとロープを背に防戦一方に。
 2Rになっても大夢の猛攻は止まらない。痛烈な破壊音とともに放つボディフックを武器に、どんどんPRINCE博を追い込む。結局、ジャッジは三者とも30-27で大夢の勝利を支持した。

第5試合 駿 対 元義明

 ジム移籍とともに「金剛駿」から「駿」へと改名したばかり。今回が移籍第一戦となったが、1R終盤右ストレートで立て続けで2度のダウンを奪う。青息吐息の元義明に対して、駿は2R開始早々、再び右をねじ込み、豪快なKO勝利を飾った。試合後は「(今回のように)KO決着するので11月1日のRISE大阪大会に出させてほしい」と本部席で観戦していたRISEの伊藤隆代表にアピールしていた。

第6試合 吉村 凌仁郎 対 龍城

 関係者の間で評価の高い「RISING ROOKIES CUP2019」スーパーフライ級優勝の吉村凌仁郎が登場、NJKFのレグルスに所属する龍城(りゅうき)と対戦した。1Rから左クロスを炸裂させ、ムエタイの崩しテク「リヤン」で龍城をマットに這わせる。龍城は左ストレートや胴回し回転蹴りで逆転を狙うが、吉村のリズムを崩すまでには至らない。
 2Rになると、吉村はヒザ蹴りを交えた連打で試合の流れを掴む。そして3R、右前蹴りで相手のアゴを上げると、左の一撃でダウンを奪い、勝利を決定づけた。これで吉村は7戦全勝となった。現在RISEスーパーフライ級9位だが、このまま上位を狙うか。

第7試合 力哉 対 麻太郎

 DEEP☆KICKを主戦場とする力哉がNJKFの麻太郎と激突した。1Rからスピーディーな攻防を繰り広げる両者。2Rになると、パンチの力哉に対して、蹴りの麻太郎という対立図式に。そうした中、麻太郎は右の一撃でグラつかせ、さらにワンツーからのミドルで追い打ちをかける。
 3R、あとがない力哉も負けずに打ち返す攻防となり、場内は大歓声に包まれた。そんな両者の打ち合いは3R終了のゴングまで続き、判定は2-0で麻太郎が接戦を制した。
 試合後、マイクを握った健心塾の成長株は「11月1日のRISE大阪大会で力哉選手との完全決着戦をお願いします」と再戦をアピールしていた。

セミファイナル DEEP☆KICK-57.5kg 挑戦者決定トーナメント準決勝
宮崎就斗 対 村上 真基

 宮崎就斗は昨年開催された「DEEP☆KICK-57.5kg初代王座決定トーナメント」にエントリー。当初から優勝候補と騒がれていたが、決勝で横野洋にKO負けを喫してしまう。
 そうした経緯があっただけに、今回宮崎は不退転の決意を胸に同級挑戦者決定トーナメントに乗り込んできた。狙うは、もちろん王者・横野の首だ。
 準決勝を争うのはROYAL KINGSの村上真基。一発の重さに定評があるキックボクサーだ。1Rが始まると、右ストレートや左ミドルを武器に前に出た村上が優勢の展開に。対照的に宮崎は見るからにやりづらそうな印象を受けた。
 それでも、時間が進むにつれ、宮崎は徐々にリズムを立て直す。そしてエンジンが温まった2R、十八番の左ストレートで先制のダウンを奪うと、立て続けに右アッパーで2度目のダウンを奪う。こうなると、宮崎のワンマンショー。最後は左ミドルからの左ストレートで村上をマットに這わせた。
 試合後、宮崎は表情を崩した。「1Rは相手の攻撃力にビックリした部分があった。でも、2Rになると腹が効いたと思う」 さらに、今年7月7日に小鈴さん(旧姓・山崎)と籍を入れたことを明かした。「コロナの時期にもバランスのいい食事を作ってくれたので、僕にとって結婚は大きなプラスになりました」
 新婚パワーで宮崎は9月21日に予定されている山田直樹との挑戦者決定トーナメント決勝戦に臨む。

メインイベント DEEP☆KICK-57.5kg 挑戦者決定トーナメント準決勝
篤椰 VS 山田直樹

 昨年9月15日に開催された「DEEP☆KICK 40」。10周年40回記念大会では佐藤亮を相手に持ち前の強打でTKO勝ちを収めたteam Bondsの篤椰がDEEP☆KICK45のメインに登場した。DEEP☆KICK-57.5㎏挑戦者決定トーナメント準決勝を争うのは新空手・KSS健生館の山田直樹。昨年11月24日の「DEEP☆KICK 41」で笹木一磨に判定勝ちを収めて以来、9カ月ぶりの一戦だ。
 篤椰はブアカーオの入場テーマ曲に乗って登場した。出で立ちもどこかタイ人っぽく見えたが、ファイトスタイルはパンチ中心。対照的に山田は左ミドルを触覚のように使い、距離を計り、右ストレートで追撃する。1Rは山田がやや優勢だったか。続く2Rでもヒザ蹴りを軸に積極的に手数を出す。
 3Rになっても、スタミナが十分に残っている山田は手を休めない。相手の懐に入りショートの連打で勝負をかけてきた篤椰をヒザげりの連打で振り切って2-0の判定勝ちを飾った。
 試合後、山田は笑顔で激闘を振り返る。「篤椰選手は結構タフで何度かいい攻撃が当たったかなと思ったけど倒せなかった。チャンスに決められる決定力を決勝戦までに磨きたい」
 決勝を争う宮崎とは3年ほど前に一度練習で手を合わせたことがあるが、山田は「当時の僕ではない」と言い切る。「いずれにせよ、これだけキャリアの差がある選手と闘うのは初めて。楽しみですね」
 決戦翌日、山田は久保坂左近代表の計らいで普段は口にしない京料理に舌鼓を打った。


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