AEWランス・アーチャーがダスティン・ローデス倒しTNT王座決勝戦へ

(c) AEW

 AEWのTNT初代王者決定トーナメントは勝ち抜き式で、今回は準決勝の2試合が組まれた。

■ AEW Dynamite
日時:4月29日(現地放送時間)
会場:米南東の某所(実際はジョージア州QTマーシャルのジム)


 まずは、Codyがダービー・アレンにガンガン追い詰められる試合から。メキシコ死者の日マスクのスケボー少年ダービー君、なかなかやるじゃんと視聴者を喜ばせたに違いない。フィニッシュは大和ヒロシと同じ、後ろ向きにコーナーから飛ぶコフィン(棺桶)ドロップなんだが、先にCodyが相手の技で仕掛けるも、これはヒザを立てて迎撃と。今度は本家がやって決まるんだが、後ろ向きの技だから背中で抑えたフォールとなるものの、Codyがそのままさらにすべらせてダービー君の肩がマットについてしまい3カウントが入るという落とさないやり方だった。

 感情移入は半分ペイントの骸骨君だから、またチャンスは巡ってくるだろう。

 MJFは、先週は腕をケガしたと肩から吊っていて、今回はマフラーの下にはネックブレイス巻いていて、クビやられたというんだが、まぁしゃべれるんだからよしとするか。AEWもフロリダ解禁を受けてLIVE中継に戻るようなので、そこには参加できるようである。


 ウォードロウは「出来る」んじゃないかと本誌は残しているのだが、今回、恐らくはQTマーシャル道場の練習生なのか、無名のjobber相手のスクワッシュではあるんだが、フィニッシュが危険すぎ。コーナーから飛んだ相手の顔面にまともにヒザを入れて、クリス・ジェリコの大げさな実況でなくとも、マジにアゴが外れたとか、鼻が折れたがあったのかも。AEWはそういうのは発表しないし、漏れてもこないのだが、なにしろ録画番組であり、他ではリプレイとか何度もやっているのに、肝心のガツンは一回だけだったからだ。


 バレッタ&チャック・テイラーのベストフレンズ w/オレンジ・キャシディと、キップ・セイビアン&ジミー・ハボック w/ペネロペ・フォードは、非情に良く練られておりエンタメ性もあって楽しめた。この4人は全員仕事が出来る。ベストフレンズは時にコミカル面で伝わるところがあるが、そこまでも逆手にとって実はハイレベルなレスリングも披露しているのであった。


 先週に引き続きブレディ・バンチをパクったバブリー・ファイト・クラブは、「お家で映像撮りました」のご時世を生かしてインナー・サークルの面々だけでなく、ドラマ版『ハルク』を演じていた現在68歳のルー・フェリグノ他、ジェリコの親父プロホッケー選手のテッド・アーウインまで、様々なゲストも顔見世。最後はビッキー・ゲレロおばさんが締めたのだった。


 よく言われることだが、NXTはレスリングに特化する路線なのに対して、AEWはむしろRAWやSmackDownの大衆層を狙っている以上、エンタメ性は高いのだ。スキッドやギャグも挟んであり、今回のジェリコ実況でも、Codyに妻ブランディがペットボトル持ってきたら、ステロイドで失格になった「ベン・ジョンソンのようにスパイクさせる魔法の水じゃないか」を皮切りに、スティーブン・タイラー(エアロスミス)まで、好き放題やっていた。もちろん、自称「好評につき」と、ブリット・ベイカーが歯医者オフィスからのコメディ・セグメントでも笑かせてくれている。

 ジョン・モクスリーもプロモだけの映像参加なのだが、内容はガチ。ついこの間までお客さんの前で血と汗を流していたのに、”Life Time ago”のように思えると。誰もが長い4月だったと感じているのではないか。5・23『Double or Nothing』は会場変えての無観客のようで「メタリカのCDを車に入れて東に向かう」と結んでいた。コロナ期間のひとつの特徴は、世界が同時に同じ体験をしたことにある。MOXはいつでもどこでも素のままの自由人なのだ。


 トリが図らずもガチ流血で親父のようにダスティン・ローズ(日本表記ローデス)が朱に染まるランス・アーチャー戦だった。無観客時代の鉄則は短く試合することなんだが、これは諸々入れたら30分くらいも続くも、飽きさせなかった。やってることは新日本プロレスと同じで、あの大男がロープ渡りの末にそこからムーンサルトなど、恐らくアメリカの一般客はランスをまともに見たことなかったから驚いたのではなかろうか。

 ダスティンの必殺クロスロードも1カウントで返して、マーダーホークの異名通りランスは殺人者ぶりを強烈に印象付けていた。これで『Double or Nothing』での決勝戦はCody対ランス・アーチャーとなった。