(C) AEW
■ AEW Dynamite
日時:3月25日(現地放送時間)
会場:米フロリダ州ジャクソンビル デイリーズ・プレイス
録画収録であり、実際には先週時点で長時間撮り貯めたらしいのだが、それは仕方ないこと。番組最後にマット・ハーディが、イリュージョンよろしく客席のアチコチに瞬間移動してMagicだとやって、クリス・ジェリコが「アブダカブラ」と返していたのは大笑いなんだが・・・。
一方でRAWにジェリー・ローラーがいなかったが、AEWだとJRジム・ロスが欠席。コロナは老人が若者から移されるとヤバイという認識は世界共通になっている。俳優トム・ハンクス、志村けん、英国チャールズ皇太子が図らずも宣伝塔になってしまった。よって今回はCodyがトニー・シェバーニーと実況やったんだが、結構しゃべりもうまい。老体JRはなかなか技名を覚えないとかの批判があるのを逆手にとって「今のはミス・スポット」と笑うのはともかく、サミー・ゲバラとケニー・オメガの試合で「ここからコブラ・クラッチに行く方法もあるが、インナーサークルでは技なんか教えてないから出来ない」とかは、かなりキツイ指摘かも。先週、インナーサークルは、「俺たちはお互いのフィニッシュ技を使ったりしない」と、お仲間集団エリートをコキ下ろしていたのだが、やり返したなと楽しませてもくれた。
本誌が一貫して高評価を活字に残している通りでサミー・ゲバラは素晴らしい。そりゃオメガ防衛はわかりきったことなのだが、中身なのであって、緩急つけて客席には空のパイプ椅子にイラストが貼ってあるのだが、ブランディ夫人のにKISSとか、十分に期待に応えてくれた。また、DARKで一度王座戦やっているものの、Dynamiteの方で提携しているとはいえ、他団体であるAAAのメガ・チャンピオンシップが認知され、それの防衛戦が一般向きのテレビ中継でやるというのは大変なことである。ケニー・オメガは王座奪取以来、現地メキシコでもドラゴン・リー相手に防衛をやっているが、新日本プロレスのUS王座は、ジョン・モクスリーが保持するものの番組では紹介されていない大人の事情があった。ちなみにMOXは今週は出てきてプロモはやっている。
番組としては、そのCodyがジミー・ハヴォックを片付けて、そこから実況席に入る放送順番ということに。続いてがダービー・アレンvs.キップ・セイビアンなんだが、両方と闘ったことのあるCodyが、英国出身のキップはハードヒットでしんどかったとか選手目線のガチ話は興味深い。メキシコ死者の日ペイントのダービー君の足固めフィニッシュはラスト・サパーと呼ぶらしい。なかなかクールであった。
ジェイク・ヘイガーや、先週初めて登場したブロディ・リー(元ルーク・ハーパー)がスクワッシュ試合やっていたが、ブロディ・リーはやはりデカい。WWEではまともな試合やらせてくれなかったから、新天地で生き生きといったところだろう。
あと、ブロディは試合前にWWE的なスキッドとしての晩餐会が挿入。家長席で(盟友トランプ大統領と同じく)好物のステーキを食うのだが、「俺より先に食べ始めるな」から、食事中にくしゃみする選手を嫌って追い出すコントは、明らかにビンス・マクマホンの伝えられる癖をパロディにしたもので露骨だろう。無観客試合だからエンタメ番組を埋める工夫は必要なんだが、ニック・ジャクソンが妻の産休で休むのでシャッターで顔を挟まれ救急車のフォローをやっていたのと合わせて、スキッド場面はWWEと大差なく同罪であり、日本のマニアにはバカバカしいとなるのかも。
「メイン」と呼ぶサミー・ゲバラvs.ケニー・オメガになるが、これならAAAの看板を守るレベルの高い選手権試合となり満足であろう。Vトリガーからの片翼の天使であったが、お仕事役のサミーのほうが偉いのだ。
そして番組のトリがマット・ハーディなんだが、今回のジェリコの♪Judas入場は、リングサイドの撮影カメラマンに重い機材とマイクが交換となって歌わされていた。そしてしゃべりだけで銭の取れるジェリコは、先週から登場のドローンに向かって真剣にインナーサークル入りを演説するという、しかし人間のようにドローンが反応して飛び立っていくのであった。
対峙してからのスキッドは「インナーサークルとエリートのどっちと組むのか?」というお約束に。当然マットはジェリコをぶってdelete, delete(削除)であり、サミー・ゲバラが飛びこんできてもという・・・。花道に逃げ帰るサミーとクリスに、マットが手を挙げると火柱があがる魔術が再び。狂人マットのキャラではあるが、やや漫画になってしまったかも。最後の絵はまたdelete, delete(削除)のポーズを繰り返すのであった。
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