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タッグのトーナメントに、どっちを応援するではなく、「タッグ・チーム・レスリング」という大合唱が起きるのはNXTのフルセイル大学なのである。冒頭はピート・ダンにマット・リドルという、組んだ経験こそないが次世代を象徴する新鮮なコンビを結成したかと思えば、英国はウェールズでのWWE NXT UKテイクオーバー:カーディフでの地元の声援を受けたNXT UKタッグ王座戴冠の記憶も残るマーク・アンドリューズ&フラッシュ・モーガン・ウェブスター組の目まぐるしい高速の攻防から。入場の際のウェブスターはモッズの正装背広であり、背中にはIN MOD WE TRUSTとあり、THE WHOの新作も発売されてロックファンは歓喜にむせび泣くと。
試合展開なんか流れるようなspotが次から次へなので活字で追えるものではなく、いやはや、じっくり見て楽しんでくださいとしか評しようがない。この掴みはレスリングが見たいユニバースには強力であろう。ここは新鮮なピート・ダン&マット・リドル組がセミに駒を進めたのであった。
続いてはお待ちかねのタイム・スプリッターズである。驚いたのは情報の早いフルセイル常連客が、アレックス・シェリーを認知していて入場段階から歓声が飛んだことか。普通、先の試合がバカ受けになると、次の試合が萎むものなのだが、こちらも緊張感を持続したまま、お客さんにも大受けだったのは凄いこと。もちろんKUSHIDAにも、独特のイントネーションでのコールが巻き起こったことが全てである。思えば英国勢vs.米国勢のWORLDS COLLIDEが控えているんだから、先のブラケットで英国勢が負けたのでこっちはグリズルド・ヤング・ベテランズがoverとなるんだが、一回戦だけでタイム・スプリッターズが消えることはない。この沸き方からしても、また出てくることは間違いなだろう。
じっくり尺をとって見せる2時間番組だから、トリはバトルロイヤルとはいえ、挟まった3試合目はNXTクルーザー級王座挑戦権を賭けた3 way戦となったのだが、こちらも素晴らしい内容だったのでまったくダレないままに。なにしろタイラー・ブリーズ、アイゼア”Swerve”スコット、リオ・ラッシュなのだから、そりゃ悪くなるハズもない。
どうやら解説の英国人ナイジェル・マクギネスは、興奮の『NXT UK TakeOver: Blackpool Ⅱ』のあと、実家にでも戻っているのだと思われ、この試合にはチャンピオンのエンジェル・ガザが実況席入り。ただ、あえてスペイン語で話させて特に翻訳もせずにというのは、アスカやイオの日本語と同じなので国際色の観点からはこれでいいのだ。
ガザに王座を奪われたリオ・ラッシュとの再戦だと早すぎるし、205 LIVEにも出ているタイラー・ブリーズも職人に徹するとなれば、ここはアイゼア・スコットが次期挑戦者というのは順当なんだが、フィニッシュもWWE流3 wayのいつものではなく、ちゃんと説得力があって見ごたえ十分なのであった。
そして女子バトルロイヤルである。事前に発表されていたメンバーとは違って、もう全員が出てくるというか・・・。ユニバース諸氏にはわかっていることだが、NXTの女子部門がRAWやSmackDownにもAEWにも圧倒していて、ここが最充実陣容なのである。
さらには発表されてなかったシェイナ・ベイズラーまで出てきて壮観なのである。そのシェイナが、メルセデス・マルチネスと殴り合いを始めると、PRIDE英語版の実況でもあったマウロ・ラナートが「ヨシヒロ・タカヤマだぁ!」と絶叫するのだから、もうたまりません。
それでこういう多人数の場合、最後の4人が誰かも大人のファンには楽しみなのであるが、シェイナ、ティーガン・ノックス、紫雷イオ、ビアンカ・ブレアという順当に(と思った)。ただ、誰が出てないのかもツイストになるんだが、やはりというか、ダコタ・カイが因縁のティーガン・ノックスを邪魔するため私服で乱入してくると。ところがもう一人、ブラックハートは隠れていたということで、まだ場外には落ちてないとなって、背後からシェイナを落とすも、すぐにビアンカに落とされると。
これで残ったのは怪力ビアンカとイオという二人であり、イオもヒールなのにお客さんはベビーフェイスとして大応援している図式になるのであった。
半年や1年後の競争数字が重要とはいえ、「水曜生TV戦争」は18から49歳という、広告スポンサーには最重要なデモグラフィックに支持されているAEWが平均視聴者で940,000、50歳以上のみについては頑固な固定ユニバースが多いWWEが毎回AEWを上回るのであるがNXT平均視聴者700,000なのであった。但し、専門媒体として公平に見比べるなら、AEWはイマイチな箇所も目につくのに対して、今回のNXTは4試合だけながらどれもがハイレベルであり、圧巻の内容だったとは記しておく。必見回なのだ。
■ WWE NXT
日時:1月15日(現地時間)
会場:米フロリダ州オーランド近郊 フルセイル大学スタジオ
◆KUSHIDA&シェリーがまさかのトーナメント1回戦敗退
KUSHIDAがアレックス・シェリーとタッグを組んでダスティ・ローデス・タッグチームクラシックに出場、1回戦でグリズルド・ヤング・ベテランズ(ザック・ギブソン&ジェームス・ドレイク)と激突した。KUSHIDAはダブルハンドスプリング・ニールキックでギブソン&ドレイク2人を蹴散らすと、シュリーとのダブルスープレックを決めて攻め込んだ。さらにKUSHIDAはギブソンにクローズラインやハンドスプリング・エルボー、ドレイクには”マサヒロタナカ”から腕十字固めを決めると、シェリーと連携したスタンディング・ムーンサルトプレスをドレイクに放って圧倒。しかし、コーナートップに上がって追撃を狙ったKUSHIDAがギブソンに落とされてバリケードに激突すると、最後は取り残されたシェリーがグリズルド・ヤング・ベテランズにチケット・トゥ・メイヘムを決められて3カウント。KUSHIDA&シェリーはまさかの1回戦敗退となり、グリズルド・ヤング・ベテランズは次週、ジ・アンディスピューテッド・エラと対戦することが決定した。
試合後、KUSHIDAは「(シェリーとのタッグは)いつでもウェルカムだ! また会いましょう」と敗戦したもののシェリーと共に前向きなメッセージを送った。
シェリーはNXTとの契約になったわけではない。所属ではないので今回のトーナメントはこうなったのだが、お客さんの反応からしてゲスト参戦は十分にあるだろう。
◆イオがバトルロイヤルで最後の2人に残るも王座挑戦権獲得ならず
紫雷イオがNXT女子王座挑戦者決定バトルロイヤルに出場した。女子18人が入り乱れる攻防の中で、イオはドロップキックでケイシー・カタンツァーロを脱落させると、前王者シェイナもMJジェンキンス、カタリーナ、サンタナ・ギャレットと次々と脱落させて大暴れ。イオ、シェイナ、ビアンカ・ブレアの3人が残ると、シェイナが必殺のキリフダ・クラッチでイオを追い込むも、場外に隠れていたショッツィ・ブラックハートが背後からシェイナを投げ飛ばして脱落。
さらにすかさずビアンカがショッツィを背後から捕まえて場外に落とすと、イオとビアンカの一騎打ちとなった。会場から“イオ”チャントが起こる中、イオはビアンカのパワーファイトに対して619やジャーマン・スープレックスからのダブル・ニーで攻め込んだが、最後はビアンカがイオを担ぎ上げるとそのまま場外に投げ飛ばしてバトルロイヤルを制した。これで王座挑戦権を獲得したビアンカはNXTテイクオーバー:ポートランドでNXT女子王座に挑戦することが決定した。
王者リア・リプリー対ビアンカのNXT女子王座戦がおこなわれる「NXTテイクオーバー:ポートランド」は日本時間2月17日にWWEネットワークでライブ配信される。
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’20年01月23日号AEW放送契約延長 桜田一男Rジョンソン追悼 英国NXT水曜 RISEラウェイ