WRESTLE-1 征矢&大森&AKIRA記者会見!ほか選手インタビュー

征矢&大森&AKIRAの新チーム名が 「Full Metal Wild」=「FMW」に決定! 虫食い特訓で結束力もアップ!

12月19日(木)、都内・GSPメディアセンターにて、W-1が記者会見を実施。会見には12月31日の『WONDER CARNIVAL』エディオンアリーナ大阪第1競技場大会で、大仁田厚&田中将斗&レザーフェイス組とストリートファイト・テキサストルネード・バンクハウス・電流爆破デスマッチを闘う征矢学、大森隆男、AKIRAが出席した。

会見は征矢が理由もなく遅刻するところから始まり、待たされた大森とAKIRAは「相変わらずのらりくらりで困るな」(大森)、「ワイルドに生きるっていうのと時間にルーズになるのは違う」(AKIRA)と開始早々からイライラモード。さらに征矢と大森、征矢とAKIRAと、なぜか2人ずつ別々に公開練習を行っていたことがわかり、大森とAKIRAは「なぜ来なかったんだ」と糾弾し合う始末だ。

この揉め事を収めようと、征矢はクリスマスシーズンにちなみ、不気味なサンタクロースを召喚。そのサンタよりクリスマスプレゼントが3人に渡されたが、そこには「Full Metal Wild」と書かれたカモフラ柄のTシャツが入っていた。3人のチーム名はこのTシャツに書かれた名前から、「Full Metal Wild」、略して「FMW」に決定したことを征矢が宣言。そして、そのまま強引に3人の結束を高めようと公開練習に突入して行った。

公開練習は征矢とAKIRA、征矢と大森、大森とAKIRAとそれぞれ2組ずつ実施。征矢の用意した意味不明のメニューをこなしていった。ちなみに練習メニューは下記の通り。

1、お互いに正面で腕立て伏せの状態で向き合い、片腕をそれぞれの肩に乗せて支え合うトレーニング。

2、網とイスの山を潜り抜ける匍匐前進。

3、横に並んで腕立て伏せの状態から内側の腕をお互いの肩に乗せて支え合うトレーニング。

4、一人を跳び箱の上に乗せてプッシュしながら前進するトレーニング。

5、お互いの額でボールを挟みながら歩くトレーニング。

6、障害物を越えていく二人三脚。

7、お互いに食用の虫を食べさせるトレーニング。

8、ロープワーク。

計8種類のメニューをこなしながら、道場を1周するというトレーニングだったが、中でも難関は7の虫食いだ。虫の味と臭いがえげつなかったらしく、3人ともえづきながら悶絶状態に陥る有様だった。それでもなんとか最後のロープワークまでこなすなど、ワイルドな根性を見せつける。

征矢の目論見通り、最終的に結束を高めた3人だったが、大森とAKIRAが公開練習で顔を揃えられなかった理由が、征矢がそれぞれ別の日に呼び出していたからということが最後の最後で判明。文句を言う大森とAKIRAに対しどこ吹く風の征矢は、試合時間を「2019秒1本勝負にするぞ! 元旦まで爆破を続けるぞ!」と吠え立てて、公開練習を終了したのだった。ちなみに2019秒は約34分。当初発表されていた30分1本勝負とほとんど変わらない。

会見でのやり取りは以下の通り。

【会見でのやり取り】

大森 何やってんですか、本当。

AKIRA ワイルドとルーズは違うからね。

大森 せっかくW-1の記者会見場に足を運んでんのにどういうことだよ。

AKIRA 本当にね。約束通り、予定の時間に来ないのは困っちゃうね。時間がもったいないな。始めちゃうの? 他に迷惑かかっちゃうからね。時間通りつうのは基本だよね。ええ、よろしくお願いします。電流爆破マッチということで、それ自体が初めての体験になるわけですけど、これが12月31日の大晦日ということで気合い入りまくっています。

※ここで征矢がようやく登場。

征矢 お疲れさまです。

AKIRA 時間通り来なきゃ!

大森 何やってんだよ。相変わらずのらりくらりで困るな。

征矢 すいません。

AKIRA 時間に遅れるっていうのはワイルドとは違うからね。ワイルドに生きるっていうのと時間にルーズになるのとは違うって話。わかる? ちゃんと予定通りやんなきゃ。

征矢 はい。まあ、今回、3人で組むにあたりまして、一度も揃うことがなかったので、こういう機会を設けさせていただきました。改めまして、12月31日、エディオンアリーナ大阪への意気込みを。今回電流爆破という、私、そしてAKIRAさん、大森さんも経験したことないような、そういったものに挑みますので、意気込みを皆様にお伝えできればと思い、こういう場を設けさせていただきました。私、12月31日、死ぬか生きるかの闘いを、2020年に生き残れるのか、それぐらいの気持ちで挑みたいと思いますので、全力で爆破に挑みます。

AKIRA ……先程の続きですけど、確かに死ぬか生きるかのデスマッチですけどいい年なんで、より気を引き締めてチャレンジしたいなと思っております。プロレス人生においてもこの機会をなんとか乗り越えて、この挑戦をうれしく思っております。ただ、そこに俺が生きる上で、ワイルドに生きるというその信念を貫いて、ぶつかっていきたいと思います。

大森 本日はお集まりいただきましてありがとうございます。電流爆破マッチ初めてですけどね、僕も小学校の時から少年野球やってますんで、素振りに関しては得意なんですよ。当日、バットを振るスイングしてぶっ潰しますんで、必ず我々ワイルド軍が勝ちます。本当に勝たなきゃいけない、進退懸けて臨まなきゃいけないんですけど、そのための公開練習、一番最初の公開練習にAKIRAさん、あんな来なかったじゃないか? 俺ら力合わせなきゃいけないっていう時に。 

AKIRA それだったら、この間、大森さんも来なかったじゃない? あれは遅れちゃったの?

大森 いやいや、聞いてないですよ、そんなの。全く聞いてない。一番最初にワイルドの約束の森っていう場所で俺ら2人で練習したんですよ。その時、AKIRAさんは来なかった。

AKIRA それはだって、俺は征矢から手紙をもらって、その時間に来てトレーニングしたわけだよ。大森さんは来なかったわけだよ。それはダメだろう。

征矢 いやいや、まだ試合じゃないんですよ。12月31日に向けて3人でこう……。

大森 いや、本当は力を合わせなきゃいけないんだよ? その1回目の練習にAKIRAさんは来てないんだよ。本当にこの試合に勝つつもりはあるのか? 相手を爆破する気があるのかどうか。

征矢 とりあえず、大森さんが野球っていう……。

大森 野球やってたよ。少年野球やってたよ。

征矢 初めて聞きましたよ。

大森 バットを思いっきりフルスイングするぞ。有刺鉄線バットをフルスイング!

征矢 それは大森さんの今の気持ちだと、AKIRAさんにフルスイングしそうな勢いじゃないですか? それだとダメなんですよ。仲間内で爆破してちゃ。

大森 俺もそう思っているよ。力合わせなきゃいけないんだよ、3人で。そのための練習なんだからさ。来ないじゃん。すっぽかしじゃん。

AKIRA それは1回目だろ? 大森さんだって来なかったろ?

大森 いやいや、2回目の練習は俺は聞いてないですね。

征矢 もうきりがないんで、とりあえず大人の対応しましょう。

AKIRA 大人の対応ってなんだよ(笑)。

征矢 質問ありますか?

大森 来てないのに質疑応答も……。

AKIRA 俺は勝手にワイルドやらせてもらうよ。2人、3人、関係ない。

征矢 じゃあ、大森さんがAKIRAさんに質疑応答でいいですか?

AKIRA はあ?

征矢 で、AKIRAさんが大森さんに質疑応答。

AKIRA 大森さんのところに手紙が行ってんだろ? それでなんで来なかったんだよ。

大森 いや、手紙なんか来てないですね。

征矢 とりあえず12月なんでサンタさん呼んでるんですよ。皆さんへの誕生日プレゼントです(本人発言ママ)。サンタさーん!

※ここで不気味なサンタが登場。

AKIRA もっとシャキッとした女の子ならうれしいけどよ。

征矢 女の子ですよ。見てください。裸じゃないですか?

AKIRA 誰だ、こいつは!

征矢 クリスマス誕生日です(本人発言ママ)。

大森 サンタさんなのか? かわいそうなことさせるなよ。

征矢 あまり見せるな。帰れ! もう帰れよ!

大森 一波乱起こさないんだ?

征矢 これ以上いると一波乱起こすでしょう。

大森 一言もしゃべらねえな。

征矢 とりあえずプレゼントですよ。チーム名の話ししてたでしょ?

AKIRA この前、決まったじゃねえかよ。2人で練習やってて大森さんが来ないから、このままnew Wild Orderって。

大森 いやいや、俺と征矢選手が入ってるんだから、GET WILDでしょう。当然、そりゃ。

AKIRA 昔に戻ることないじゃん。

征矢 両方とも昔になっちゃいますよ。そもそもワイルドにこだわりすぎていると思うんですよ。結局、ワイルドを追求するにあたって……。

大森 チーム名からワイルドを外すんだな?

征矢 名乗ってもしょうがないですよ。ワイルドは心の中にあればそれでいいと思うんですよね。

AKIRA お前、今までそんなことを言ってるけどさ……。何回も聞いたことがある。

征矢 ということは、新しいチーム名は(プレゼントの袋の)中を開けてみてください。

大森 なんだこれ?

征矢 Tシャツですよ。

大森 カモフラ柄じゃねえか。

征矢 そうです。

大森 なんか書いてあんな。

征矢 我々の新しいチーム、見てください! Full Metal Wild! これで行きます。略してFMWですよ!

大森 どっかで聞いたことあんな、それ! FMW!

征矢 Full Metal Wildだ!

AKIRA FMWは聞いたことあるし、ワイルドが入ってんじゃねえか!

征矢 でも、FMWなんですよ。俺たちの3人がやるチームは、Full Metal Wildで決定ですよ! new Wild Order、GET WILDを超越したフルメタルで行きましょうよ!

大森 なるほど! なるほどな。

征矢 コスチュームも用意してあるんですよ。

大森 FMWってあんま縁起が良くねえな。

征矢 なんでですか?

大森 だけど、シャツはカッコいいじゃねえか!

AKIRA (さらに中身を取り出して)これアーミーパンツ?

征矢 12月31日、俺たちは死ぬかもしんねえけどよ。

大森 ぶっ潰すよ!

AKIRA なるほど、わかった。12月31日、戦場だな、これは。

征矢 もう始まってますから。生きるか死ぬかの闘いがもう始まってるんですよ。

大森 でも、そんなこと言ったってさ、約束を破って来なかったAKIRAさんはやっぱり白黒つけようよ。カモフラ柄だけに白黒つけなきゃ!

AKIRA 白と黒入ってねえよ!

征矢 緑しかはいってねえじゃねえか。まあ、とにかくせっかく3人集まったんで練習しましょう。公開練習。このままうやむやでもダメだと思うんですよ。3人が同じ方向を向かないと。AKIRAさんが一人でワイルドをやるとか言ってましたけど、ダメですよ。3人でしょ?

大森 3人の足並み揃えるのは大変だぞ。2人でもうまくいかないのに。

征矢 でも、ダチョウ倶楽部だって3人でやってるじゃないですか、「ヤー!」って。じゃあ、行きますか!

大森 サンタクロースの行方が気になるな。まだいるんじゃねえか?


「もうエンジン全開で行っちゃいますよ!」 田中稔戦で2019年を良い締めくくりに! ペガソ・イルミナルインタビュー

12月26日(木)の後楽園ホール大会で田中稔と試練の5番勝負第4戦を闘うことになったペガソ・イルミナル。チャンスを与えられながらも、思うような結果を残せずにもがいた1年だったが、2020年を飛躍の年にするために、田中稔戦に燃えている!

──12.26後楽園大会で試練の5番勝負の第4戦が決定しました。今回は田中稔選手との試合になるんですが、その前に第3戦のヒート戦を振り返ってみていかがでしたか?

ペガソ 自分の中では今までやった5番勝負の中でも一番手応えはありましたね。

──最初のTAJIRI選手、2戦目のディック東郷選手に比べると手応えはあったと。

ペガソ その2戦よりは自分の力を出し切れたような気がするんですよ。いつもはお客さんにあまり応援されないんですけど(笑)、この試合はちょっと応援されたかなという感覚がありましたからね。

──それだけ以前よりもお客さんの心をつかめたのかなと感じられたわけですね。試合前は「内容にこだわる」とおっしゃっていましたけど、こだわった内容は残せたと思いますか?

ペガソ 前の2戦よりは良かったと思うんですよ。ただ、これで満足はしてないですね。もうちょっとやれたのかなという思いはありますし、その反省を第4戦に活かしていければなと思っていますね。

──なるほど。その反省を活かしたい第4戦ですけど、まず田中稔選手との試合と聞いてどのように思われましたか?

ペガソ やっぱりIWGPジュニアを11回も防衛した最多防衛記録保持者ですからね。そんな凄い人と試合できることは素直に光栄だと思っていますね。

──IWGPジュニアはもちろんですけど、全日本プロレスの世界ジュニア、ノアのGHCジュニアと主要な団体のジュニアのベルトは総なめにしている人ですし、W-1の初代クルーザー王者という肩書きもありますからね。

ペガソ はい。改めて聞くと凄いタイトル歴ですよね。ただ、それだけキャリアを重ねても年齢を感じさせないのがまた凄いと思うんですよ。最近の試合を見ていても、全く年齢を感じさせないですからね。コンディションはめちゃくちゃいいんじゃないですか?

──ちなみに前回のヒート戦は参考になりますか?

ペガソ まあ、別人相手になるんですけど、対策を練ることはできるんじゃないですか? 例えば、ヒート選手は一点集中攻撃が凄かったんですよ。僕は腹責めを食らったんですけど、そういう試合をしたことは今までなかったですからね。ずっと同じところを狙われるのって、思っていたよりも凄くしんどいというのがわかりました。田中稔さんの試合を見ていても、一点集中の動きが凄く多いんですよ。

──ミノルスペシャルという関節技を必殺技にしていますからね。

ペガソ はい。足だったり、腕だったり、自由自在に一点集中攻撃をしてきますよね。僕の場合、特に足を狙われると後半になって動けなくなってしまうので、とても警戒していますね。十分に注意して、試合に臨みたいと思っています。

──わかりました。前回の後楽園から5番勝負が再開されましたけど、自分の中で新しく目標だったりは見えてきたりしているんですか? タッグリーグも全敗に終わってしまったので、ここから仕切り直しという意味もあると思うんですけど。

ペガソ タッグリーグが全敗に終わったことで、自分自身どうしていいかわからなくなってしまったんですよ。だから、5番勝負を何かのきっかけにしたいと思ってハヤシさんにお願いしたんで、まだ自分でどうしたいとかどうなりたいかっていうのは明確には見えていないです。それを見つけるための5番勝負だと思っているし、これが終わる頃には新しい目標ができていたらいいなと思っていますね。

──新たな目標を作るための5番勝負再開だと。

ペガソ はい。5番勝負をやることによって、毎回試合にテーマが出てきますからね。シングルが組まれることはなかなかないですから、とてもありがたいことだと思っています。

──それも会社からの期待の表れだと思います。大晦日もドラゴンゲートのKzy選手と堀口元気選手との大一番が組まれてますからね。

ペガソ 何しろ僕と頓所さんのタッグはタッグリーグ全敗ですからね。そこで味わった屈辱を晴らすためにも、2019年最後の試合でドラゴンゲートの選手に勝って、いい締めくくりをしたいなと思っています。終わり良ければ全て良しという言葉もありますから。

──いい終わり方をして、2020年に向けて勢いをつけたいということですね!

ペガソ もうエンジン全開で行っちゃいますよ! この1年でだいぶ試合慣れはしてきたんですけど、やっぱりプロレスって難しくて、試合をするたびに課題が出てくるんですよ。学ぶこともたくさんありますし、やらなきゃいけないことはたくさんあると思います。でも、2020年は見た目ももう少し大きくして、僕よりも身体の大きい人とも対等に闘えるようにしたいなと思います。そのためにもまずは後楽園の田中稔さんとの試合で結果も内容も残します。

──田中稔戦も大晦日のドラゴンゲートとの対抗戦も飛躍のきっかけになればいいですよね。

ペガソ 任せてください! 


「大晦日は時期的な闘いでもあり、世間との闘い」 12.31『WONDER CARNIVAL』で羆嵐と一騎打ち! 崔領二インタビュー(ランズエンド)

12月31日にエディオンアリーナ大阪第1競技場で開催される『WONDER CARNIVAL』。かつてデスペラードの一員として参戦していたランズエンドの崔領二が同大会で、羆嵐とシングルマッチを行うことになった。一国一城の主として、プロレス界でも独特の地位を築きつつある崔はこの大晦日という特別な日の大会をどのように捉えているのか? そして、羆嵐戦への意気込みとは? 話を聞いてみた。

──崔選手は以前、W-1に参戦されていたと思うんですけど、最近はご覧になったり、耳にしたりすることってあるんですか?

崔 僕が参戦していた時って本当に旗揚げの旗揚げなんですよ。旗揚げのXで参戦しているので、言ったらW-1=自分が関わっているみたいなところがあるんですよね。要するに今回の対戦相手の羆嵐もそうだし、芦野みたいに今は上でやっている選手もそうなんですけど、その当時は彼らは練習生だったんですよ。

──まだ、デビュー前だったんですね。

崔 実際よく知っているんですよ。だから、他の団体にいる選手よりは愛情を持っているというか、彼らの活躍はうれしいですよね。その後もいろんな選手が順調に世に出てきている印象がありますよね。そのスピード感は凄いなと思います。

──崔選手が参戦していた当時とは活躍している選手のメンツも大幅に変わりましたからね。

崔 だから、W-1を語る時に避けて通れないのが、僕がいた時期にガンガンやっていた選手のほぼ全員が辞めているっていうところですよね。旗揚げしてたかが6年ぐらいなんですけど、景色が大きく変わっている。これは悪い意味じゃなくて、プロレスっぽいなって凄く思いますね。

──まあ、良く言えば新陳代謝がいいというか(笑)。

崔 知らない選手も多いんですけど、うまく育ててきているんだろうなと思っています。僕もランズエンドという団体をやっているので、参考に見させてもらっているっていうのはありますよね。

──わかりました。今回久々の参戦が、大晦日という特別な日の大会になったんですけど、これについてはどのように思われているんですか?

崔 まずは、キャリアを重ねて、この時期に必要としてもらえるということでオファーをもらえたということ、そしてランズエンドという団体から他の選手やレフェリーも呼んでいただいて凄く光栄です。興行が難しい時期だと思うんですけど、本当にたくましいですよね。

──たくましい! 大晦日というと格闘技が毎年ビッグイベントを開催している中、プロレスでビッグマッチというとなかなかないですからね。

崔 やっぱり、今プロレスというものが世間で知られなくなったという現実があると思うんですよ。ラグビーのほうが世間に知られていたり、時代の変わり目だと思うんですよね。生き残れない奴は消えていくし、それを僕らの世代がどうしていくかっていうことだと思うんです。実際、W-1もその問題を抱えているんだろうなと思うんですね。例えば若い子がシングルのチャンピオンになっても、プロレス界的には凄いんだよってなるけど、現実は村社会の中での出来事でしかないんです。だから、大晦日の大会というのは時期的な闘いでもあり、世間との闘いでもあり、個人商店同士や個々の選手同士の闘いとしても大きいんじゃないのかなと思いますね。参戦する選手にしても、お祭り気分で参戦してお祭り気分で帰るのか? 今後を見据えて帰るのか? この差は凄く大きいと思います。マスコミの方、裏方の方、全選手、関係者、スタッフ含めて、モチベーションの差は凄くあると思いますね。ただ、表現を競う競技ですから、プロレスは。そこでモチベーションの高い選手がハッパをかけて抗争が起きたり、感情のぶつけ合いがあったり、そういうぶつかり合いは個人的に見たいなと思いますね。「何もない」が一番の悪ですから。

──大晦日の興行を「これは大ごとだ」と捉えている人もいるでしょうし、「面倒くさいな」と思っている人もいるでしょうからね。

崔 絶対面倒くさいと思っている人のほうが多いです。でも、プロレス界ってかなりまずい状況ですよ。焦らないといけない状況だと思うんですよ。

──業界全体で焦らなきゃいけないと。

崔 でも、プロレスの怖いところって絶対になくならないんですよ。のらりくらりなら一生やれるところが怖いんですよね。だから、W-1が今回の大会で何を残すのか? そこで僕らがどう関わっていくのか? 今までやってきたことと、これからの未来といろんなものが見える大会になると思います。

──わかりました。では、試合についてお聞きしますけど、対戦相手の羆嵐選手にはどのような印象を持たれていますか?

崔 今まで試合で関わったことはないんですよ。ただ、凄くいい形で伸びてきたなという印象があります。技もダイナミックだし、自分に任されたキャラクターとかポジションとかをちゃんとこなせる選手ですよね。やっぱりW-1がちゃんと育てたんだなと凄く感じますね。ただ、こっからが一番難しいっていうのを感じていると思うんですよね。

──レスラーとして難しい時期に差し掛かっているということですか?

崔 言い方悪いですけど、デビューなんて誰でもできるんですよ。デビューして、ファーストステップ、セカンドステップまでは取れたと。でも、それ以降なんですよね。地位、名誉、お金、自分が描きたいと思ったことが実現できているのか? そういう部分で悩んでいると思いますし、僕がちょっとしたきっかけになれればなとは思っていますけど。

──デビューしてしばらくは得られたものはわかりやすいと思うんですけど、そこから先で満たされないものを感じ始めるかもしれないですよね。

崔 悩むところって絶対にみんな一緒なんですよ。デビューしました、いい試合しました、歓声をもらいました。誰でもできるんですよ。メインイベントなんて、順番に回ってきたりするものですからね。だから、団子状態なんです。羆嵐なんてプロレスの技量で言えば高いし、一緒にやっている芦野や児玉もみんな高いんですよ。例えば、「自分のほうがあの選手より技のキレは上だから、自分のほうが上だ」って思っている選手ってたくさんいると思うんです。ただ、そのマインドに入った時点で村社会の住人でしかないんですよ。そんなのお金にもならない。業界誌にたくさん載ったら給料も増えて飯も食えて幸せになる……みんなこのマインドになるんですよ。それじゃダメなんですよ。プロレスを知らない人が見て、憧れてこの業界に入ってくるようにしないとダメだと思います。

──崔選手はそこを求めたからこそ、独立されたんですね?

崔 そうです。僕が大成功例だとは思わないですけど、引退してゴールを考えても、他の成功しているスポーツ選手に対して一切見劣りしないことをやっているんですよ。自社ビルを建てたりとか、収入面で団体の人間が生活に困ることがないようなシステムを構築したりとか、そういうことって本当に大事ですよね。選手として胸を張ることって、リングの上のことだけじゃないはずなんですよ。だから、みんながこの大晦日に向けてどういうインタビューを答えるのか凄く楽しみです。もし、ユニットがどうこうとか、どういう選手になりたいとか、夢物語だけ語っている奴がいたら凄く残念ですね。そういうのって「いつかは宇宙飛行士になりたい」とか、そんなのと同じレベルの話ですからね。

──厳しいですね。

崔 多分なれないと思って語ってるんですよ。そういうのは誰も期待していませんから。大きな夢でもそこにたどり着くための具体的なアプローチであったりを語れれば、「叶えられそうだな」と思って、読んでくれた人は感動するんです。世の中で挫折したり、苦労したり、コンプレックスと闘っている人は山ほどいる。でも、そういう人たちがプロレスを見た時に夢を実現させたりする姿に惹かれて応援してくれるわけじゃないですか? 僕はそこに近づくべきだと思うんですよ。そして、羆嵐もW-1の選手たちもそれができると思ってますから。あとはタイミング待ちです。そのタイミングで遭遇したいですよね。

──今回の羆嵐選手がそういう状態だったらベストだということですよね。

崔 そうですね。ほとんどのW-1の選手が伸び悩んでいると思うし、僕はその答えを知っているんですよ。それを導く鍵を手渡す役割だということもわかってるんで、凄く楽しみですね。

──ということは、羆嵐選手から見ると、崔選手との試合はチャンスということになりますね。

崔 僕から何かを教えてあげるだけじゃなくて僕も何かをもらうだろうしね。この試合がきっかけで彼が変わるのか、何か感じてもらえることがあるなら凄くうれしいですね。


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