『プレバト!!』出演も夢じゃない!? 絵心のあるプロレスラー達

 かつてプロレスがゴールデン・タイムで定期放送をしていた頃、ファンは「プロレスラーって、いつ休んでいるんだろう?」と思っていたのではないだろうか。プロ野球なら冬の間は全く試合はないが、プロレスは1年中、毎週のように試合を放送していたからである。
 プロレス中継は録画放送が多かったため、1年中試合をやっているような錯覚に陥っていたのだが、実際には約1ヵ月のシリーズ後はまとまったオフがあった。現在のプロレスでは、当時よりも試合数は減っているので、オフはもっと多いだろう。

 それでは、プロレスラーはオフの間、何をやっているのだろうか。もちろん、体の手入れやトレーニングもある。しかし、それだけではレスラー稼業はやっていけない。レスラーとて人間なのだから、娯楽がないと息が詰まるだろう。
 レスラーの趣味は、体が資本なだけにゴルフや魚釣りといった健康的なものから、パチンコや麻雀などギャンブルに興じる者、様々だ。このあたりは一般的な趣味だが、中には芸術的で高尚な趣味を持つレスラーもいる。

 そんな中で今回は、絵心のあるプロレスラーを取り上げてみよう。MBS系の人気番組『プレバト!!』に出演しても『才能アリ』を貰えそうなレスラーもいるだろう。
 リング上の姿とは全く違う、プロレスラーの絵を追ってみた。


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武藤敬司が中学時代に描いた絵にネット騒然!

 今年の3月、インターネットを騒然とさせた絵があった。その絵はなんと、武藤敬司が中学時代に描いたというのである。
 事の発端は、武藤敬司の娘でタレントの武藤愛莉が呟いたツイッター。書道が得意な武藤愛莉は、自身が書いた見事な楷書と行書の写真をツイッターに投稿し、フォロワーから称賛された。

 それに黙ってなかったのが、父親である武藤敬司。娘を褒めちぎるのかと思いきや、自らのツイッターで呟いたのは自分の自慢話だった。中学時代に描いたジェームズ・ディーンの絵をツイッターに載せて「名作だろ??」と自画自賛したのだ。要するに、娘への対抗心から自慢しただけである(本人は対抗心ではないと言っているが)。

 それでも、武藤敬司のツイッターを見たファンは、「神レベル」「メチャメチャ絵心がある」「何をやっても天才」と大絶賛。ネットは大賑わいとなった。

▼武藤敬司が中学時代に描いたというジェームズ・ディーンの絵(Twitterより)

 絵の上手さは認めるが、やっている行為は大人げないというか、いかにも武藤らしいというか……。ただ、『プレバト!!』に出場してもらいたいレベルではある。

ジャイアント馬場の専門は油絵

 絵が上手いプロレスラーといって、真っ先に思い浮かぶのは故・ジャイアント馬場だ。馬場は日本プロレス時代、38歳でプロレスは引退して、あとはハワイで絵を描きながらノンビリ暮らしたい、と考えていた。しかし、自身が全日本プロレスを設立して、その夢は叶わなかったが……。

 馬場は子供の頃から絵を描くのが好きだったが、本格的に絵を習い出したのは高校に入学してから。美術部に入った馬場は油絵を教わった。本当は野球部に入りたかったのだが、馬場の足に合うスパイクがなかったため、やむなく美術部に入部したのである。
 しかし、野球部の顧問が特注のスパイクを作ってくれたので、美術部を辞めて念願の野球部に移籍した。結局、美術部に在籍したのは1年足らずである。

 その後の馬場は高校を中退してプロ野球の読売ジャイアンツに入団、野球では芽が出なかったためプロレスラーに転向したが、趣味として油絵は描き続けた。しかし、専門家に自分の絵を見せることは嫌がったという。
 プロレスラーとしての馬場は、初対決の相手でも組み合うと、一瞬で基礎ができているレスラーか否かわかる。言い換えれば、自分の絵だって専門家が見れば、基礎ができていないことがバレてしまうのを恐れたのだ。
 馬場が本格的に絵を習ったのは高校での1年足らず。とても画家には見せられないと謙遜する。

 しかし、馬場が描いた油絵を見た人は、誰もが称賛していた。ほとんどが海の絵で、これは馬場自身が海を眺めるのが好きだったからだ。海の絵は、波の動きや複雑な形の岩、そして同じ青色の海と空を違えて表現しなければならないので、非常に難しい。
 それでも馬場は、見事な海の油絵を描き続けた。馬場の死後、『お別れ会』では馬場の描いた海の油絵が、ポストカードとなって参列者に贈られたのである。

▼海の油絵を好んで描いていたジャイアント馬場

イラストレーターに陶芸家、“関節技の鬼”藤原喜明は多芸多才

 ジャイアント馬場以外で、絵が得意なレスラーといって思い浮かぶのは“関節技の鬼”藤原喜明だろう。藤原は絵だけではなく盆栽を嗜み、陶芸家でもあり、俳優や声優をこなすほど多芸多才だ。
 今回は絵だけに絞るが、藤原の絵は馬場の油絵と違ってイラスト。あの風貌からは想像できない、面白おかしいイラストを描く。

 藤原の絵の上手さは、新弟子の頃から有名。周りからは「プロレスを辞めても食っていける」と太鼓判を押されていた。
 ブレイク前には、新日本プロレスのパンフレットで、選手写真の代わりに藤原がレスラーのイラストを描いており、高い評判だったほどである。

 そんな藤原も、馬場と違い子供の頃は絵が嫌いだったという。正確には、嫌いになった、と言うべきか。
 というのも、小学校時代に図画の先生から絵についてあれこれ言われ、好きなように描けなかったので嫌いになったということだ。学校教育の典型的な悪い面だろう。写実主義を求める美術大学ならともかく、子供のうちに絵を嫌いにさせるなんて、教育から掛け離れている。
 幸い、藤原の場合は大人になってから絵の才能を発揮した。

 人物像のイラストは、写実的に描くよりも、特徴を捉えてデフォルメすることが何よりも重要だ。藤原のイラストが上手いのは、藤原が観察眼に優れていることに他ならない。小学校の図画の先生は、そんな藤原の才能を見抜けなかったのだろう。
 もっとも、この先生に人を見る目があったのなら、藤原はイラストレーターの道を突き進んで、“関節技の鬼”藤原組長は誕生しなかったのかも知れないが……。

▼小学校時代の図画の先生に見る目があれば“関節技の鬼”藤原喜明は誕生しなかった?
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WWEのスター、中邑真輔の芸術的なイラストと絵

 今やWWEのスターになった中邑真輔のイラストや絵も評判が高い。海外では中邑のレスリングは『芸術的』と称されるが、本当の芸術でも実力を発揮する。

「絵を描くときは自分を解放する」と自身が語るように、中邑のイラストや絵は独創的。漫画のようなイラストから、ピカソやダリなど超現実主義を思わせる個性的な絵を描く。
 ちなみに、ジャイアント馬場は超現実主義が苦手だったそうで、生前は「ピカソの絵を上手いと思ったことはないし、どこが凄いのかわからん。単にメチャクチャ描いているように思える。俺も絵の基礎を身につけていれば、ピカソの絵を理解できただろうか」と言っていた。実際には、ピカソは写実的な絵でも素晴らしい作品を描いていたのだが、有名なのは超現実主義の絵だろう。

 中邑は他人の本のイラストや絵を担当しているのだから、もはやプロだ。大学時代はレスリング部と美術部を掛け持ちしていたぐらいである。馬場も高校3年間で野球部と美術部を掛け持ちしていれば、ピカソの超現実主義の絵を凄いと思っていたかも知れない。
 プロレスラーとして有名になってから、中邑は全国の小学校を廻り、子供たちの感性や想像力を伸ばす絵を教えている。もし藤原組長が小学校のときに、中邑のような先生に出会えていれば、どんなイラストレーターになっただろう。

▼漫画のようなイラストから超現実主義まで、多彩な絵の才能を発揮する中邑真輔

“ピカソ”こと兼平大介のイラストは可愛い猫

 5月19日(日)、プロレスリングHEAT-UPでHEAT-UPユニバーサルタッグ選手権が行われ、兼平大介&大谷譲二の“ヤマネコ宅急便”が王者チームの藤波辰爾&TAMURAを破り、3代目王者チームに輝いたのは先週、本誌でお伝えした通りだ。

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 “ヤマネコ宅急便”のうち、シングルのHEAT-UPユニバーサル王座と合わせて二冠王となった兼平大介は、イラストの実力もなかなかのもの。と言っても藤原組長のような似顔絵ではなく、“Peach cat”と呼ばれる猫を描いたものだ。
 中邑真輔の項でピカソの名前が出たが、兼平自身はイラストレーターとしては“ピカソ兼平”と自称している。ピカソと言っても超現実主義ではなく、いかつい本人には似つかわしくないほど可愛いイラストを描く。

▼いかつい風貌からは想像できない、可愛い猫のイラストを描く“ピカソ”兼平大介

 横断幕も可愛いと評判で、“Peach cat”が印刷されたTシャツも若い女性を中心に大人気だ。ただ、男性がこのTシャツを着るのは、少々勇気が必要かも知れないが……。

▼ピカソ兼平がデザインした“Peach cat”のTシャツ

 また、兼平を通してHEAT-UPのチケットを予約すると、ピカソ兼平が描いた“Peach cat”の色紙が付いてくるというのだから、ファンはもちろんファンでなくても是非ゲットしたいところである。
 ピカソ兼平こそ『プレバト!!』に出演して、知名度を上げるべきだろう。

▼ピカソ兼平からチケットを予約すると貰える“Peach cat”の色紙

 他にも絵心のあるレスラーは大勢いるだろうが、今回はここまでにする。天は二物を与えずと言うが、二物を持つレスラーをもっと見てみたいものだ。


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