[ファイトクラブ]金本浩二は前座時代、『探偵!ナイトスクープ』に出演していた!

[週刊ファイト3月28日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼金本浩二は前座時代、『探偵!ナイトスクープ』に出演していた!
 by 安威川敏樹
・衝撃が走った、金本浩二の逮捕
・前座時代の金本浩二が出演した、オバケ視聴率番組の『探偵!ナイトスクープ』
・金本浩二が暮らしていた、新日本プロレスの合宿所に潜入
・『探偵手帳』を欲しがるプロレスラー、金本浩二
・前座時代の金本浩二、サザンの年越しライブで桑田佳祐と2ショット!
・コンセプトが不明の三代目タイガーマスクに変身


 3月に入って、プロレス界・格闘界には様々なニュースが飛び込んできた。ザ・デストロイヤー、キングコング・バンディ、ウォーリー山口氏の逝去に、獣神サンダー・ライガーやミルコ・クロコップの引退表明など、話題があまりにも多過ぎた感がある。
 デストロイヤーの死など、朝日新聞のスポーツ面および社会面でも報じ、NHKのニュースでも取り上げられていた。外国人レスラーの死を一般紙やNHKで報道するなんて、今までほとんどなかったのではないか。

 そんな中で、最も衝撃が走ったニュースと言えば、金本浩二の逮捕だろう。この件については、本誌で何度も報じたので、ここでは詳しくは書かない。

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 筆者が金本浩二というレスラーについて初めて知ったのは、プロレスの試合ではなく、バラエティー番組によってであった。まだ金本が前座レスラーだった頃である。
 その番組とは、ABC(朝日放送)の『探偵!ナイトスクープ』だ。『ナイトスクープ』は関西ローカルの深夜帯ながら、その頃には視聴率20%超えを果たし、間もなく30%を超えて『オバケ視聴率番組』とまで呼ばれるようになった。
 探偵局長は現在の西田敏行ではなく、上岡龍太郎の時代である。ちょうどバブル経済が崩壊した頃に、金本浩二は同番組に出演した。

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金本浩二が暮らしていた、新日本プロレスの合宿所に潜入

 関西人ならご存知の方も多いと思うが、『ナイトスクープ』の番組スタイルは、視聴者が解いてほしい謎や疑問について番組宛てに手紙を送って、採用されれば探偵に扮したお笑い芸人を派遣して調査に当たり、真相を追究するというものである。

 今から28年前の1991年10月11日、上岡探偵局に1通の手紙が舞い込んだ。プロレスラーとなった兄が、現在どんな生活をしているのか調査して欲しい、という依頼である。
『プロレスラーになった兄』とはもちろん金本浩二、依頼主は金本浩二の妹さんだ。ただし、調査すると言っても、妹が来るとわかれば金本浩二は心配させまいとして、お金もないのに無理していい物を食べに行ったりする可能性がある。そこで、妹だとバレないようにして欲しいという条件を付けた。

 調査に当たった探偵は清水圭。清水圭が金本浩二の実家を訪ねると、妹さんとお母さんが応対した。お母さんによると、金本は藤波辰爾に憧れて、プロレスラーを目指したという。大阪芸術大学を卒業後、同大学の教員となったがレスラーへの夢を捨て切れず、新日本プロレスの門を叩いた。お母さんは、金本が大阪芸大の教員を辞めて新日本プロレスに入門してからは、3ヵ月間ずっと泣きっ放しだったそうだ
 私事で恐縮ながら、筆者の実家は大阪芸大の近くにある。秋になると芸大祭が開催されて、プロレス研究会が学生プロレスをやっていたので、子供の頃はよく観に行っていたものだ。
 妹さんによると、前座時代の金本の得意技はローリング・ソバット。つまり若い頃から、タイガーマスクになれる要素はあったわけだ。

 清水圭と妹さんは上京し、新日本プロレスの合宿所を訪ねた。しかし、バレてはいけないので、妹さんはコアラの着ぐるみを着て『コアラでポン』というベタな名称のニセ番組をデッチ上げる。
 いきなり前座レスラーである金本にインタビューするのは変なので、藤波を取材するという名目だ。

 合宿所に入れてもらうと、ソファでくつろぐ金本を発見。清水圭が、彼女はいないのかと訊くと、金本は「1人います」と答えた。すると妹さん、もといコアラがお菓子の缶のフタで金本の頭を叩く。兄の恋人に対して嫉妬したのだろう。それでも金本は、妹だとは気付いていない。

 すると、本当に藤波が道場にやって来た。藤波と金本とのスパーリングが始まる。しかし、金本は藤波に歯が立たない。
 そこでなんと、コアラに扮した妹さんがリングに上がり、藤波の頭を缶のフタで叩いてしまった。怒った藤波は清水圭をフルボッコにする。ボコボコにされた後、清水圭は「今日はこれぐらいにしといたらぁ!」と、池乃めだかの定番ギャグを吐いた。

 清水圭はコアラの身代わりにされて、たまらず藤波にだけは本当のことを打ち明けた。「こういう方法しかなかったの!?」と呆れる藤波。
 しかし藤波は「格闘技のセンスが良くて、先輩の言うことをよく聞く」と金本のことを評価していた。

▼金本浩二は前座時代、藤波辰爾から高い評価を受けていただけに、今回の事件が残念だ
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『探偵手帳』を欲しがるプロレスラー、金本浩二

 新日本プロレスは大阪に遠征した。金本浩二にとって凱旋試合となる。
 会場の大阪府立体育会館(現:エディオンアリーナ大阪)に到着した、清水圭とコアラ姿の妹さん。ところが、体育館の玄関前にはコアラがもう1頭いた。
 清水圭がコアラの顔を外すと、正体は案の定お母さん。いかにも『ナイトスクープ』らしい、ベタベタな演出だ。息子の試合を観たくて、やって来たという。

 若手同士による金本の前座試合が始まった。一進一退の攻防を見せる金本。金本が攻め込むと、妹さんとお母さんは大歓声、攻め込まれると心配そうな顔付きになる。肉親のプロレス試合を見る気持ちとは、どういうものだろう。

 しかし、金本は見事ギブアップを奪い、凱旋試合を勝利で飾った。
 試合終了後、清水圭とコアラの妹さんが金本の元を訪ねる。「ほな脱いでみ」という清水圭の合図と共に、コアラの顔を外す妹さん。可愛い我が妹の顔を見て、金本は兄の顔になって笑い出した。
 清水圭が「これは『探偵!ナイトスクープ』という番組で、妹さんがお兄さんのことが心配で依頼したんです」と真相を語った。

「関西に行ったとき『ナイトスクープ』を見ていて、ずっと欲しかったんですよ。あの『探偵手帳(依頼者に贈られるプレゼント品)』って、まだあるんですか?」
 と訊く金本。
「こんなプロレスラー、いてるか!? 探偵手帳を欲しいって」
 と清水圭は呆れ返り、調査は終了した。

▼地元での試合をギブアップ勝ちで飾った金本浩二

前座時代の金本浩二、サザンの年越しライブで桑田佳祐と2ショット!

 金本浩二が『ナイトスクープ』に出演してから僅か2ヵ月半後、前座レスラーの身でありながら、またもや高視聴率番組に登場した。しかも今度は、年末年始に生放送された全国ネットの超人気番組である。
 それは、1991年の大晦日から翌1992年の年明けにかけて開催された、サザンオールスターズの年越しライブである。横浜アリーナで行われたサザンのコンサートを、TBS系列が生中継した。
 この件に関しては、以前に本誌でも触れている。馳浩と、金本浩二を含む新日本プロレスの若手レスラー達がライブに登場し、蝶野正洋もVTRで出演した。

 何しろ、サザンのライブ番組なのに、冒頭でいきなり出て来たのは実況の辻義就(現:よしなり)アナと、解説の山本小鉄。ライブのタイトルからして『闘魂ブラディ・ファイト』と、モロに新日本プロレスのシリーズ名だ。いかにもプロレス・ファンの桑田佳祐らしいネーミングである。

「山本さん! 凄いものになりそうですねえ」
「そうなんです、プロレスとロックが一つになるんです! サザンオールスターズ闘魂ブラディ・ファイト! これを見なければ、年は越せません!!」

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