8・4HATASHIAI 水道橋博士覚悟の壮絶玉砕! 出版界の革命児の性根を満天下に知らしめる

 20キロのウェイト差と22歳の年齢差、「やる前から負けることしか考えられない」筈のリングに挑んだ水道橋博士が轟沈した。

石井館長


 ホリエモンと石井館長による素人の格闘技イベント8・4『HATASHIAI』。生涯最初の格闘技のリング、しかもメインイベント。プロレス・格闘技ファンなら心躍る舞台の筈だが、水道橋博士の横顔にその感慨は無かった。
 何度もテレビから、客席から聴いた田中秀和リングアナのコールさえ、或いは耳に届いてはいなかったか。

 本来対角線にいるべき相手は姿を見せていなかった。代わりに立つのが『天才編集者』と持て囃される無礼なネット弁慶では心躍らせろという方が無理であろう。
 ましてや体重差20キロ。年齢差、リーチも違い過ぎる。プロレスでもなければ、マッチメークの俎上にも上らないであろう。『素人同士の果たし合い』でなければあり得ない対戦。
「買って当たり前」
 それは試合後に、相手のセコンドに着いていた青木真也が俯いて吐き捨てた
「クソだな」
という言葉が如実に物語る。
 
 だから筆者はうかつにも、果たして真剣勝負で行われるのか疑念を抱いていた。
 ブローディーよろしく控え室を急襲するか、ゴング前に矢野通ばりに急所を攻めるか、或いは椅子で滅多打ちにするか、いや、セコンドの乱入も考えられる…
 はたまた青木真也が
「こんなもん試合になんねえよ」
といいながら後ろから締め落とすオチか。

 だが、水道橋博士は愚直なまでに必敗の相手に立ち向かい、そして倒れた。
 昔、殿が窮地の記者会見で涙ぐんだなべおさみ氏に向けて放った
「芸人であることを忘れちゃってる」
という箴言が頭をよぎる。

 「愚直な」とさっきいった。だが、水道橋博士は一つだけ策を施していた。
 ゴルゴダの丘へ向けて花道を歩く水道橋博士が身に着けたTシャツにアリの顔がプリントされていたのがそれだ。
 プロレス者がアリの顔から連想する事、それは猪木との壮絶なフルタイムドロー。決して斬りつけてはいけない真剣を携え、リングで死に物狂いに向かい合った6・26日本武道館。
「お前、俺に勝ったら恥なんだぞ」
 そう、水道橋博士は、勝って当たり前の相手に、引き分けという勝利を提案していた。
 だが、セコンドに控える青木真也の本を編集した筈の男には、その温情を察する感受性はなかったようだ。
 取り巻きとシンパに煽られ、コーナーに登って大ハシャギしてのけた。
 I・Y編集長が噛み締めた、猪木の脚を折れなかった藤原の人の好さ。そういう温もりは微塵も感じられはしなかった。
 日が暮れて、なお30度を越える酷暑の東京・芝。“灼熱の”と銘打たれたその会場で、しかし心底冷える心の荒廃を感じた夜だった。

 かくして水道橋博士は負けた。薄っぺらいスコアシートにはそう記された。
 だがそれと引き換えに、出版界の革命児と持て囃され、総理大臣と懇意にしてフィクサーを気取る男と、子飼いの編集者と、その取り巻きがどんな性根の持ち主かを満天下に知らしめた。
 控え室を訪ねた水道橋博士を前にうなだれた青木真也の顔が、その証。
 真の勝者は誰なのか。判定を書き込む用紙は我々の手元にある。 

 

■ 瀬口屋のカレーp灼熱のHATASHIAI
日時:8月4日(土) 開始19:00
会場:東京タワーメディアセンター内スタジオアース

●水道橋博士
 TKO


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▼8・4 灼熱の HATASHIAI 水道橋博士覚悟の壮絶玉砕の深淵 天才編集者に盛った「殺し」

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’18年08月23日号G1 HATASHIAI カッキー パンクラスRIZIN Nexus ラウェイ新日キック