[ファイトクラブ]8・4 灼熱の HATASHIAI 水道橋博士覚悟の壮絶玉砕の深淵 天才編集者に盛った「殺し」

[週刊ファイト8月23日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼8・4灼熱のHATASHIAI 水道橋博士覚悟の壮絶玉砕の深淵
 格闘技専門誌の視点でHATASHIAIの暗示を徹底レポート
 Photo & Text by こもとめいこ♂
・ホリエモン『堀江貴文イノベーション大学校(HIU)』から生まれた
・石井館長の御前でMUSASHI vs.MASATO実現!?
・セコンド青木真也の不可解な介入!?試合後に吐き捨てた言葉
・強烈なCMソングでお馴染みのホテルMr.KINJOもスポンサード
・『博士の異常な健康』から12年…水道橋博士はミスターXではなかった!!
・惨敗水道橋博士が明らかにしてみせたものとは!?
・水道橋博士が天才編集者に盛った「殺し」
・真の勝者は誰なのか。判定を書き込む用紙は我々の手元にある


 タブロイド誌時代の『週刊ファイト』I.Y初代編集長が生前、弁護士会会長を自認したのがアントニオ猪木。プロレスラー以前、少年期の極貧からブラジル移民時代の地獄の様な思い出にはじまって、猪木から何度も様々な話を直接聴いたI編集長はしかし、猪木と食事をした事は一度もなかった。ほとんどが会場の控え室や、せいぜいホテルのロビーでコーヒーを呑む程度の間柄だったという。
「一緒に飯を食ったりすると向こうも『車代です』とかいうじゃない」「それをもらったが最後、次から言いたいことも言えないし、書きたいことも書けなくなる」「猪木が『車代』として渡す金というのは少々の金じゃないからね」(エンターブレイン社追悼本『殺し』)
 だからこそ猪木の方もI編集長を
「ある線からは俺に近寄らないという、井上さん独特のスタンスがあった。でもその距離以上に親近感があったというかね」(前掲書)
と評している。無論、最近では少なくなった、団体からマスコミへ一律支給の「大入袋」「弁当代」ぐらいは懐中にしのばせる事はあっただろう。新人記者時代、力道山からの気紛れの小遣い欲しさにお追従を言っていたとの思い出を自嘲気味に記していた事もある。

 だが、そういう小遣い銭に近い様な常識的な額を越えた金銭を取材対象から受け取らない気質はファイト記者に受け継がれ、91年にSWSのハワイ合宿に同行した波々伯部記者(当時)は「弁当代」として渡された10万円の封筒を返す事を記者仲間に提案したという。
 これはプロレス・格闘技に限らず、およそ書き手でありメディアに席を置く者とすれば意識する矜持だろうと思う。
無論、マスメディアといっても人間がやっていく以上はなんらかの方法で禄を食む必要がある。完全に読み手からの投げ銭だけでそれが賄えるのが理想だが、それを実践できている例はほぼないだろう。インターネットが登場してそれが可能になるかと思われた頃もあったが、今やweb媒体でも商品紹介などダイレクトマーケティングが盛んになっている。
 そしてWeb媒体、とりわけSNSの隆盛に反比例して、朝読毎の三大紙が軒並み部数を激減させているのに象徴される様にメディアそのものの相対的地盤沈下は著しい。それを補うかの様に各社集金を行う事になりふり構わなくなった。時の総理大臣と一定の距離を置くべき筈のところが逆に親密で『メシとも』であるなど、メディアの人間として隠すべき恥だと思うが、それがむしろ誇らしく語られるのをみていると、唖然とせざるを得ない。
 テレビ朝日でコメンテーターとして出演する田崎史郎も安倍晋三のメシ友で、政権べったりの擁護を田﨑スシローと揶揄されるが、田﨑の弁護をするなら寿司を奢ってもらったぐらいで政権を弁護したりしないというところだろうし、当然オモテに出せない『お車代』のようなモノが動いている事は想像に難くない。

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