TNA世界ヘビー級王座移動!新王者は伏兵エリック・ヤング!

(C)TNA

WWEに次ぐ全米第二のメジャープロレス団体TNA。日本でも日テレG+で放送が開始された事と、武藤敬司率いるWRESTLE-1と提携した事により日本のプロレスファンにも知名度が増してきている。そんなTNAだが、なんと世界王座が通常の番組で移動するという事件が起こった。

2014年4月10日(日本時間11日)に放送された『Impact Wrestling』では、なんとTNA世界ヘビー級王座が移動した。しかも、新王者になったのは、伏兵であるエリック・ヤングだった。

エリック・ヤングは長くTNAに在籍しているものの、軽量級でXデビジョン戦線で活躍、その後はどちらかと言えばコミカルな役割を演じる事が多かった。近年は、猛烈女ODBとの熱愛ストーリーを演じており、大女のODBと小柄で髭面のヤングが下着一枚になって抱き合うという下品なラブストーリーを展開していた。

それが、盟友だったジョセフ・パークことアビスに裏切られ覚醒。女社長ディクシー・カーターからオーナー権を奪ったMVPに、自分も世界王座に挑戦させてくれと訴えていた。ヤングは世界王座以外のTNAのタイトルは獲っているので、世界王座戦のチャンスを与えて欲しいというのだ。

そして、今放送では、番組冒頭でのガントレット(時間差バトルロイヤル)で優勝。その実績を引っ提げての訴えにMVPも了承。メインイベントで王者マグナスへの挑戦を認めた。そして試合は、下馬評を覆し、なんとヤングがパイルドライバー(※WWEではPG指定の為、危険技として禁止されている。それ故、TNAではわざとブリー・レイやミスター・アンダーソンが使用している)で堂々のフォール勝ち。乱入や凶器攻撃、反則なしのクリーン決着で王座が移動するという、ある意味サプライズ的な事件となった。2013年7月にはヤングと同じく軽量級であるクリス・セイビンもひと月だけだが王座に輝いているが、ヤングはこのまま王座を守り続けられるのか?それともすぐに取り返されるのか?TNA世界ヘビー級王座戦線が混沌としてきた。

また、オーナー権を奪われた(※あくまでストーリー上。実際のオーナーはずっとディクシーの両親の会社・国際パンダエネルギー)女社長ディクシー・カーターが久しぶりに番組に復帰。オーナー権を賭けたロックダウン戦で裏切ったブリー・レイをリングに呼び出し、ヒステリックに罵った。それに対し、ブリー・レイは「TNAはお前(ディクシー)のモノではない!会場に集まっている、テレビで見てくれているファンのモノだ。そして所属しているプロレスラー、バックステージで支えているスタッフみんなのモノだ!」と絶叫。会場から大喝采を浴びていた。

かつては極悪軍団「Aces & 8s」を率いて悪の限りを尽くしてきたブリー・レイだが、ベビーフェイスに転向して大ブレイク。こちらも今後の展開が見逃せないだろう。

TNA インパクト・レスリング
“衝撃!”アメリカンプロレス『TNA』 | プロレス | CS放送 日テレG+
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■ Impact Wrestling
日時:2014年4月10日
場所:アメリカ・フロリダ州オーランド

<TNA世界ヘビー王座タイトルマッチ>
○エリック・ヤング(挑戦者)
 パイルドライバー⇒ピンフォール
●マグナス(王者)
※ヤングが新王者

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