[週刊ファイト06月25日]期間 [ファイトクラブ]公開中
▼ガッツ石松さん追悼「ガッツポーズをするたび思い出して」世界王者から国民的人気者へ
編集部編
・世界王者ガッツ石松誕生―日本ボクシング史を変えた男
・ガッツ石松が愛された理由-リングを降りて国民的人気者へ
・「親孝行してるかい」―ガッツ石松が最後まで貫いた人間らしさ
・「OK牧場!」は終わらない―ガッツ石松が残したもの
▼アントニオ猪木vs.モハメド・アリから50年、異種格闘技戦とケンカ幻想
by 安威川敏樹
・プロレスに造詣が深かったプロ・ボクサー、ガッツ石松さんが逝去
世界王者ガッツ石松誕生―日本ボクシング史を変えた男

2026年6月11日、日本中に衝撃が走った。
元WBC世界ライト級王者であり、タレントとしても長年親しまれたガッツ石松さん(本名・鈴木有二)が6月2日、肺炎のため76歳で亡くなっていたことが所属事務所から発表されたのである。
近年の若い世代にとっては「OK牧場!」のギャグや天然キャラクターの印象が強いかもしれない。しかし本来のガッツ石松は、日本ボクシング史に名を刻む本物のレジェンドだった。
1949年、栃木県鹿沼市に生まれたガッツ少年は中学卒業後に上京。貧しい生活の中でボクシングと出会い、1966年にプロデビューを果たした。
そして1974年4月11日、日本ボクシング史に残る快挙を達成する。WBC世界ライト級王者ロドルフォ・ゴンザレスを相手に8回KO勝ちを収め、日本人初となるライト級世界王座獲得を成し遂げたのである。
当時、軽量級が主流だった日本ボクシング界において、ライト級世界王者誕生は歴史的事件だった。後年、「幻の右」と呼ばれた強烈な右ストレートを武器に、決して恵まれた体格ではなかったが、闘志と執念で世界の頂点まで駆け上がった。
SNS上でも訃報後、「日本人初のライト級世界王者」「本物の世界チャンピオンだった」「お笑いの人だと思っていた若い世代にも試合映像を見てほしい」といった再評価の声が相次いだ。
ボクサーとしてのガッツ石松は、まさに時代を切り開いた開拓者だったのである。
ガッツ石松が愛された理由-リングを降りて国民的人気者へ

引退後の人生は、現役時代に負けないほどドラマチックだった。
世界王者が芸能界へ転身するケースは珍しくない。しかし、ガッツ石松ほど成功した例は多くないだろう。
天然発言、独特の間、そして人懐っこい笑顔。テレビに登場するたびに視聴者を笑わせ、いつしかボクシングファン以外にも広く親しまれる存在となった。
やがて「OK牧場!」は国民的ギャグとして定着し、「ガッツポーズ」という言葉も日本中に浸透した。もともとはボクシングの勝利後に見せた喜びの仕草が由来とされるが、その言葉が一般社会にまで広がった背景には、ガッツ石松という存在の大きさがあった。
さらに活動の場はバラエティ番組だけに留まらない。
映画『太陽の帝国』や『ブラック・レイン』、ドラマ『おしん』『北の国から』など数々の作品に出演。コミカルなキャラクターの印象が強い一方で、俳優としても独特の存在感を放ち、多くの作品に彩りを加えた。
SNSでは訃報後、
「子供の頃からテレビにいた人」
「気が付けばずっと見ていた」
「ガッツさんがいるのが当たり前だった」
といった声が数多く投稿された。
それは単に元ボクシング世界王者だったからではない。世代を超えてお茶の間に親しまれ、日本人の日常に溶け込んだ存在だったからこその反応である。