[週刊ファイト06月11日]期間 [ファイトクラブ]公開中
▼木谷高明が救った新日本プロレス “5億円の賭け”から始まった奇跡の14年
編集部編
・新日本プロレスに激震!ブシロードが全株式譲渡 テレ朝へ大政奉還・
・新日本に手を差し伸べたのがブシロードの木谷高明
・ブシロード体制終了にファン感謝「今の新日本があるのは木谷さんのおかげ」
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新日本プロレスに激震!ブシロードが全株式譲渡 テレ朝へ大政奉還

プロレス界に大きな衝撃が走った。
5月27日、ブシロードは保有する新日本プロレスリング株式会社の全株式を、テレビ朝日およびサイバーエージェントへ譲渡すると発表した。譲渡総額は約36億円。2012年から約14年間続いた“ブシロード体制”に終止符が打たれることになる。
発表によると、ブシロードが保有する10,500,400株(議決権割合70%)すべてを譲渡。テレビ朝日が3,550,200株、サイバーエージェントが6,950,200株を取得する。譲渡実行日は6月30日の予定だ。
これによりテレビ朝日は議決権比率を従来の22.7%から46.3%まで引き上げ、新日本プロレスはテレビ朝日の連結子会社となる見通しである。一方、サイバーエージェントも主要株主として経営に関与することになる。
突然の発表ではあったが、現時点で大会運営や興行スケジュール、各種事業に大きな変更は予定されていない。新日本プロレス側も従来通り事業を継続しながら、新体制でさらなる成長を目指す方針を示している。
ブシロードの木谷高明社長は今回の決断について、新日本プロレスが今後もグローバル市場で飛躍し続けるためには、映像資産の最大活用と配信プラットフォームを軸とした新たな収益モデルが不可欠だと説明。その上で、テレビ朝日とサイバーエージェントという組み合わせこそが、未来を託すにふさわしいパートナーであるとの考えを明らかにした。
振り返れば2012年、ブシロードはユークスから新日本プロレスを約5億円で取得。当時は経営的にも厳しい時期だったが、その後はオカダ・カズチカ、内藤哲也、棚橋弘至らを中心とした黄金期を築き上げ、国内外でブランド価値を大きく向上させた。
海外進出も積極的に推進され、アメリカ市場への進出や動画配信サービスの拡充など、新日本プロレスは世界的な団体へと成長した。その意味では、今回の株式譲渡は“手放す”というより、“次の成長段階へ引き継ぐ”という意味合いが強い。
棚橋弘至社長も公式コメントを発表し、長年支えてきたブシロードへの感謝を表明。「世界一のプロレスリングカンパニーを目指すという思いを引き継ぎ、テレビ朝日、サイバーエージェント両社と共にさらなる発展を目指す」と決意を語った。
今回の動きを受けて業界関係者が注目しているのは、やはり映像と配信の強化である。
テレビ朝日は長年ワールドプロレスリングを通じて新日本プロレスを支えてきた存在であり、豊富な映像アーカイブを保有している。一方のサイバーエージェントはABEMAを中心としたインターネット配信分野で国内トップクラスの実績を持つ。
近年のスポーツビジネスでは、チケット収入だけでなく映像コンテンツの価値が急速に高まっている。新日本プロレスも過去数十年分に及ぶ膨大な試合映像を保有しており、それらをどう活用するかは大きなテーマとなっていた。
ファンの反応も比較的冷静だ。「突然で驚いた」「ブシロード時代が終わるのは感慨深い」という声がある一方、「テレビ朝日とサイバーエージェントなら安心感がある」「配信強化に期待したい」「海外戦略がさらに進みそう」と前向きな意見も少なくない。
また、今回の発表によってブシロードが今後どこへ経営資源を集中させるのかにも注目が集まっている。業界内では女子プロレス団体スターダムへの注力が進むとの見方もあり、新日本とスターダム、それぞれが別の形で成長を目指す新たな時代が始まろうとしている。
2012年の買収から14年。ブシロード体制が築いた基盤の上で、新日本プロレスはテレビ朝日とサイバーエージェントという新たなパートナーを迎えることになった。世界進出、映像事業、配信戦略――。日本最大のプロレス団体は今、大きな転換点を迎えている。
新日本に手を差し伸べたのがブシロードの木谷高明

今回の新日本プロレス株式譲渡発表で、多くのファンが改めて振り返っているのが、2012年に始まったブシロード体制の功績である。
現在の新日本プロレスしか知らない若いファンには想像しづらいかもしれないが、14年前の新日本は今とはまったく違う状況に置かれていた。2011年時点の新日本プロレスは、興行面でも経営面でも厳しい状態が続いていた。ユークス傘下で運営されていたものの、業績は低迷。報道によれば10億円を超える債務超過に陥り、会社の将来そのものが危ぶまれていた時期でもあった。かつて東京ドームを超満員にした日本最大のプロレス団体が、存続すら心配される状況にあったのである。
そんな新日本に手を差し伸べたのがブシロードの木谷高明氏だった。2012年1月、ブシロードはユークスから新日本プロレスの全株式を約5億円で取得。当時はカードゲーム会社によるプロレス団体買収という前例の少ない挑戦であり、業界内でも「本当に大丈夫なのか」という見方が少なくなかった。しかし木谷氏はプロレスファンとして、新日本プロレスが持つ可能性を信じていた。後に木谷氏は「プロレスにはまだ埋もれた魅力がある」と語っている。単なるスポンサーではなく、一人の熱狂的なファンとして新日本再建に乗り出したのだった。
ブシロード体制になってからの変化は劇的だった。積極的な広告展開、SNS活用、グッズ戦略の強化、映像コンテンツの拡充、海外進出など、それまでのプロレス界にはなかった発想が次々と導入された。棚橋弘至、中邑真輔、オカダ・カズチカ、内藤哲也らが団体を牽引し、新日本は再び大舞台へと返り咲く。
女性ファンも急増し、プロレス会場の客層は大きく変化した。かつて“男性中心の娯楽”だったプロレスが、若い世代や女性にも支持されるエンターテインメントへと変貌したのである。
そして海外市場への挑戦も本格化した。アメリカ大会の開催、英語実況の強化、動画配信サービスの拡充などを通じて、新日本は世界的なブランドへと成長。日本国内だけでなく海外のファンからも注目される存在になった。
その成果を象徴するのが2026年1月4日の東京ドーム大会だろう。観衆46,913人。実に28年ぶりとなる超満員札止めを記録し、新日本プロレスは再び黄金期を迎えた。
さらに近年は世代交代にも成功しつつある。若手選手たちが台頭し、新たなスター候補が続々と誕生している。木谷氏が理想としていた“持続可能な団体経営”は、ひとつの完成形に近づいていると言える。
そして今回、ブシロードは保有する全株式を約36億円で譲渡することになった。5億円で取得した会社が14年後には36億円規模の価値を持つまでに成長したことになる。単純な投資回収という話ではなく、新日本プロレスというブランドそのものを再生させた結果と言えるだろう。