[週刊ファイト5月7日期間] [ファイトクラブ]公開中
▼銃撃騒動の影響下でUFC進行:スターリング完勝と揺らぐ安全の前提
Photo:(C)Zuffa LLC /UFC+Reuters by 野村友梨乃
・非日常と現実が交錯した一夜:銃撃騒動の余波の中で迎えたUFC開催
・銃撃すら“エンタメ”か:トランプ銃撃騒動とUFCトップの危機感の欠如
・ペース掌握の5R:スターリング、終盤失速のザラルを攻略し判定完勝
・手数と圧力で接戦制す:エドワース、上位ドゥモン撃破でトップ戦線浮上
・殴り合い上等:グラント、カーフで削りマルティネッティの連勝止める
・勝者たちの裏で浮かぶ課題:揺らぐホワイトハウス大会の“安全面”
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■ UFC Fight Night: Sterling vs. Zalal
日時:2026年4月25日(日本時間26日)
会場:米国ネバダ州ラスベガス META APEX
<メインイベント フェザー級 5分5R>
○アルジャメイン・スターリング(米国)
判定 3-0
●ユーセフ・ザラル(モロッコ)
<コメインイベント 女子バンタム級 5分3R>
○ヨセリン・エドワース(パナマ)
判定 3-0
●ノルマ・ドゥモン(ブラジル)
<ライト級 5分3R>
○ハファ・ガルシア(メキシコ)
判定 3-0
●アレクサンダー・ヘルナンデス(米国)
<バンタム級 5分3R>
○デイビー・グラント(英国)
判定 3-0
●アドリアン・ルナ・マルティネッティ(エクアドル)
<バンタム級 5分3R>
○ハオニ・バルセロシュ(ブラジル)
判定 2-1
●モンテル・ジャクソン(米国)
<ヘビー級 5分3R>
○ライアン・スパン(米国)
2R 2分10秒 右ストレート⇒KO
●マーカス・ブシェシャ(ブラジル)
<ミドル級 5分3R>
○エリック・マコーニコ(米国)
判定 3-0
●ホドルフォ・ヴィエイラ(ブラジル)
<ミドル級 5分3R>
○ジャクソン・マクヴェイ(米国)
1R 2分14秒 ダースチョーク
●セドリクエス・ドゥマス(米国)
<女子バンタム級 5分3R>
○ミシェル・モンタギュー(ニュージーランド)
判定 3-0
●マイラ・ブエノ・シウヴァ(ブラジル)
<フライ級 5分3R>
○コーディ・ダーデン(米国)
判定 3-0
●ジャフェル・フィーリョ(ブラジル)
<ライト級 5分3R>
○フランシス・マーシャル(米国)
判定 3-0
●ルーカス・ブレナン(米国)
<ウェルター級 5分3R>
○ヴィクトル・ヴァレンズエラ(チリ)
判定 3-0
●マックス・グリフィン(米国)
<女子ストロー級 5分3R>
○タリタ・アレンカー(ブラジル)
判定 3-0
●ジュリア・ポライシュトリ(ブラジル)
非日常と現実が交錯した一夜:銃撃騒動の余波の中で迎えたUFC開催
2026年4月25日(日本時間26日)、アメリカ・ネバダ州ラスベガスのAPEXで開催された『UFC Fight Night: Sterling vs. Zalal』。本来であれば、フェザー級戦線の行方を占う一戦を中心に語られるべき大会だった。
しかし、その前に飛び込んできたのは、あまりにも現実離れしたニュースだった。ワシントンで発生した発砲事件、そしてその場に居合わせたUFCトップの軽率とも取れる発言。非日常であるはずの“戦い”と、現実の暴力が奇妙に交錯する空気の中で、大会は幕を開けることとなった。
だからこそ、この日の試合が持つ意味は単なる勝敗にとどまらない。冷静に戦いを制した者、勢いで食らいついた者、そして経験でねじ伏せた者。それぞれのファイトの中に、いまのUFCが抱える“現実との距離感”が浮かび上がる一夜となった。
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銃撃すら“エンタメ”か:トランプ銃撃騒動とUFCトップの危機感の欠如
2026年4月25日(日本時間26日)、ワシントンで行われたホワイトハウス記者会の夕食会で発砲事件が発生し、ドナルド・トランプ大統領が緊急退避する事態となった。武装した男が会場に突入を試み、現場は一時騒然。銃社会アメリカの現実が、最も安全であるはずの場でむき出しになった瞬間だった。

だが、その緊張感を一瞬で吹き飛ばしたのが、同席していたUFC代表ダナ・ホワイトのコメントだ。「クレイジーでユニークな体験で最高だった」と。正直に言ってしまえば、その発言の方がよほどクレイジーである。
銃を持った男が突入し、人が伏せる中で「全部味わった」と語るトップ。その姿勢からは、危機管理という言葉は一切感じられない。エンタメの世界に生きる人間だとしても、これは“演出”ではなく現実だ。
さらに違和感を覚えるのは、この状況下でもなお進められようとしているホワイトハウス大会構想である。国際情勢は依然として不安定、今回の事件の動機も不透明。その中であえて火種の近くに人を集める意味はどこにあるのか。
話題性か、政治的な関係性か。それとも単なる自己満足か。どんな理由であれ、選手や観客を巻き込むリスクを軽く見ていいはずがない。ケージの中で命を懸けるのは彼らの仕事だが、会場の外でまでその覚悟を強いられる筋合いはない。
UFCは今や世界最大の総合格闘技団体だ。その影響力の大きさを考えれば、トップの一言、一つの判断が与える影響もまた大きい。
それでもなお、この温度感で突き進むのであれば、いつか本当に取り返しのつかない事態を招くことになるのではないか。そう感じてしまうのは、決して大げさな話ではない。
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ペース掌握の5R:スターリング、終盤失速のザラルを攻略し判定完勝
<メインイベント フェザー級 5分5R>
○アルジャメイン・スターリング(米国)
判定 3-0
●ユーセフ・ザラル(モロッコ)
フェザー級5分5Rで行われたアルジャメイン・スターリングとユーセフ・ザラルの一戦は、元バンタム級王者スターリングが試合全体をコントロールし続ける形で幕を閉じた。

UFC再契約後、サブミッションでのフィニッシュを重ね勢いに乗るザラルに対し、スターリングは立ち上がりから冷静な試合運びを展開。距離と展開を巧みに管理し、打撃と組みを織り交ぜながら主導権を握る。

中盤の3Rにはザラルが前に出て流れを引き寄せる場面も見られたが、それも長くは続かなかった。4R以降、ザラルの動きは明らかに落ち、スタミナ面での差が顕在化。スターリングはその隙を見逃さず、再びペースを引き戻すと、最後まで攻めの姿勢を崩さず試合を締めた。判定は49-45が3者並ぶ3-0。内容、展開ともにスターリングが上回る完勝だった。
試合後、ザラルは「楽しかった。神に感謝している。もう一度しっかり練習して戻ってくる」と前向きにコメント。一方のスターリングは「作戦通り戦えた。少しジャブをもらいすぎたが、まだまだいける。ベルトまでたどり着く」と語り、フェザー級王座戦線への本格参入を強く印象づけた。
36歳となったスターリングだが、その完成度の高さと試合運びの巧さは健在。終盤に差を広げる展開は、王座を狙う上での“地力”を感じさせる内容だった。