アスカ、オーティスMITB獲得、ストローマン、マッキンタイア王座防衛

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 PPV本戦は2時間半の尺と、昔のテレビPPV番組に戻ったような点こそ評価だが、それでもコネティカットのWWE本社収録のメインを除けばパフォーマンス・センターからのいつもの仕様の収録なので、CMがないためそれなりにカード数も詰め込むものの、長く感じてしまったのは課題だろうか。ユニバーサル王座戦はブレイ・ワイアットのマインド・ゲームをかわしてブラウン・ストローマンの防衛、WWE王座戦はセス・ロリンズとの一進一退の攻防を見せてのドリュー・マッキンタイアの防衛であった。


 そして映画仕様収録というか、またドルフ・ジグラー主演の映画『カウントダウン』が洋画専門チャンネルで流れていたが、WWEスタジオ制作作品のアクション&スリル用音楽もBGMに使っての、男女同時スタートのマネー・イン・ザ・バンク戦がメインである。ネタバレになると怒る方がいるから、強く滲ませる程度にしたものの、本誌定期購読者なら詳細拡大版収録なのでおわかりの通り、女子はRAWの横綱アスカ、男子はSmackDown主役のオーティスがブリーフ・ケースを手にするが、こういうのは予想が外れてくれた方が大騒ぎができてスラスラ書けるものであり、正確過ぎる読みになると誰も褒めてもくれないという・・・(トホホ)。だいたい映画製作側の目線としては、例えばわずか1秒に20枚もの絵コンテを準備とかもありえるのに、MTVのような音楽PVのカット割りになっておらず、行き当たりばったりで撮ったものを編集室で繋げているだけ。絵コンテによる綿密な演出プラン進行を事前に用意出来たとは思えない。どうしても映画作品としてはアマ採点になってしまうMITBなのであった。


 コマ割り数を多くしてスピードを感を高められれば、突っ込みどころ満載であったとしても次から次への展開で一般客は落とし穴に気が付かない効果も見込めるのだが、お約束で(恐らく今回の現場監督担当)赤いドーラン姿のBrotherly Loveブルース・プリチャードや、パイを投げつけられる役のジョニー・エース、御大ビンス・マクマホンの(本来のものではない)仕事部屋にAJスタイルズとダニエル・ブライアンが雪崩れ込んだ際は、「出ていけ!」のあと、ビンスが消毒液で手を拭うコントこそ時流にせよ、無理やりセグメント挟んだだけで脈略がない。いまいち、あっと驚く仕掛けなりがなかったのが悔やまれる。もちろん、話題のアンダーテイカーのドキュメンタリー『LAST RIDE』がPPV終了後に続き、こちらはお口直しとしても大変に充実内容だったのだが、そちらの解析は本誌収録とする。

■ WWE Money In The Bank
日時:5月10日(現地放送時間)
会場:米フロリダ州オーランド近郊 パフォーマンス・センター + コネティカット州WWE本社ビル

<第1試合 フェイタル4 way タッグ王座戦>
ニューデイ(コフィ・キングストン&○ビッグE)
 12分00秒 ビッグエンディング
ルチャ・ハウスパーティ(リンス・ドラド&●グラン・メタリック)
※他にミズ&ジョン・モリソン、フォゴットン・サンズ

 もう何回似たような組み合わせのを延々とやるのかという気もするが、ドラドは白タイツ、メタリックは赤タイツ、モリソンは緑と、専門媒体でもわからなくなりがちなので、わかりやすくしてくれたのは有難いことだ。それにしても、またメタリックがお仕事役なのは勘弁して欲しい。メタリックがモリソンにスパニッシュ・フライを決める他、めまぐるしい攻防で試合をイチバン面白くしてくれたのはルチャ組なのに。

<第2試合 シングルマッチ>
○R・トゥルース
 1分40秒 スピアー
●ボビー・ラシュリー

 スリムになったMVPの代わりにR・トゥルースがラシュリーをひっぱたくところからなんだが、結局は単なるスクワッシュマッチに。ただ、お客とのやりとりが身上のトゥルースが、あえて無観客を前にいつものルーティンを叫ぶが、なにも返ってこないというコントの出番があったから、それが今回の番組の禊の暗示なのだろう。

<第3試合 SD女子王座戦>
[王者]○ベイリー w/サーシャ・バンクス
 10分30秒 クルーシフィックス(十字架固め)
[挑戦者]●タミーナ

 なんかやたら化粧が濃すぎるサーシャとベイリーなんだが、ケツはアホでもわかること。尺は貰ってまともに攻防していた点は評価すべきか。

◆ストローマンがワイアットに心理戦を仕掛けて王座防衛
<第4試合 ユニバーサル王座戦>
○ブラウン・ストローマン
 10分55秒 パワースラム
●ブレイ・ワイアット w/リングサイド人形たち

 今回はフィーンドのキャラはなくブレイ・ワイアットは素顔。王者ブラウン・ストローマンがかつての師匠を破ってユニバーサル王座を防衛した。序盤、ストローマンがショルダータックルを放って“巨獣”と呼ばれるそのパワーを見せつけると、反撃をものともせず鉄製ステップやポストにワイアットを叩き付けて圧倒した。しかし、ストローマンがランニング・ショルダータックルを避けられて解説席に誤爆すると形勢逆転。ワイアットはDDTやセントーンから必殺のシスター・アビゲイルを決めるもカウント2。2発目のシスター・アビゲイルを狙うワイアットだったが、逆にストローマンがチョークスラムやランニング・ショルダータックルで反撃すると、突如かつてワイアットの手下として使用していた黒羊マスクをかぶってワイアットと対峙した。

 ワイアットは「この意味がわかるか? 今回はうまくいくぞ!」と高笑いと共に手下に戻ったストローマンと抱き合ったが、ストローマンは黒羊マスク踏みつけるとランニングパワースラムでワイアットを沈めて3カウント。ストローマンは心理戦を仕掛けてワイアットに勝利すると「自分の力でやれるんだ」と叫びながらベルトを掲げて王座防衛をアピールした。ただ、ゆっくりやり過ぎでこんなのに10分強の尺を与えるのはどうなのか! 要するに次はまだフィーンドが残っているということなのだろうが、まだお子様ランチ続けるんですかぁ?

◆マッキンタイアがロリンズ相手に王座防衛
<第5試合 WWE王座戦>
○ドリュー・マッキンタイア
 19分20秒 クレイモア
●セス・ロリンズ

 王者ドリュー・マッキンタイアとリーダーを主張する“月曜夜の救世主”セス・ロリンズがWWE王座をかけて激突した。ロリンズはトペ・スイシーダやスリング・ブレイドを決めると「俺の運命だ! 俺の王国だ!」と言いながらフライング・ハイニー3連打を放ってマッキンタイアに攻め込んだ。一方のマッキンタイアもベリー・トゥ・ベリーで捕まえたロリンズを解説席に叩き付けて反撃したが、ロリンズは攻撃の手を緩めずにスーパーキックやフロッグスプラッシュを決めるとパイプ椅子攻撃を狙った。しかし、レフェリーに注意されて思いとどまったロリンズはスーパープレックスやファルコンアローを決めるもカウント2。その後もマッキンタイアがフューチャーショックDDT、ロリンズがカーブ・ストンプを決めるもそれぞれカウント2で返して白熱のシーソー戦を展開すると、最後はマッキンタイアがスーパーキックを食らいながらも必殺のクレイモアでロリンズを沈めて3カウント。マッキンタイアは強豪ロリンズを相手に粘り勝ちしてWWE王座の防衛に成功した。これは激闘となり、20分弱の尺でも見ごたえがあった熱戦。無観客でこれが出来るということは、二人の技量は高レベルということになる。

 試合後、マッキンタイアは倒れ込んだロリンズに手を差し伸べると「ロリンズはリーダーであることを世界に示した。男らしく握手をしよう。ありがとう」と言って正々堂々と握手を交わして称え合った。これはマンデイナイト・メサイヤのベビーフェイス・ターンなのだろうか?

◆アスカがMs. MITBの快挙!ブリーフケースを奪取して女子MITBラダー戦を制す
<第6試合 コーポレイトMITB女子>
○アスカ
 同時開始から22分00秒
●キング・コービン
※他はまた豊胸手術でおっぱい大きくしてきたカーメラ、デイナ・ブルック、シェイナ・ベイズラー


 “明日の女帝”アスカがPPV「マネー・イン・ザ・バンク(MITB)」で行なわれた女子MITBラダー戦でブリーフケースを奪取してミスMITBとなる快挙を成し遂げた。今年は男女同時にWWE本社地上階からのスタートとなったMITBラダー戦でアスカはいきなりバルコニーの外側からダイブ攻撃して女子5人を蹴散らすと、その隙に1人エレベーターで移動して試合を有利に進めた。さらに最上階に到着したアスカは「どこにあるの?」と日本語で清掃員にわめき、「?」となるなど迷いながらも追いかけてくるシェイナ・ベイズラーにハイキックを決めると、ブリーフケースを吊るしたリングがある屋上に繋がる階段を駆け上がった。デイナ・ブルックは会議室に吊るされた札束が詰まった透明のブリーフケースをゲットするスキッドも挿入されたが、ステファニー・マクマホンに一括される見せ場があっただけでもマシか。ただ、その透明ケースのフォローはなかった。

 屋上ではアスカ、ナイア・ジャックス、レイシー・エバンスの3人による激しいブリーフケース争奪戦を展開。アスカはラダートップからレイシーをバックエルボーで叩き落すと、レイシーはそのまま下にいたナイアに激突して両者ダウン。1人残ったアスカは続けてラダーを登ってきたキング・コービンも蹴り落とすと吊るされたブリーフケースを奪取して女子MITBラダー戦を制した。

 この勝利でアスカはMs. MITBとしていつでもどこでも王座に挑戦できる権利を手に入れた。翌日のRAWでロサンジェルスから乗り込んでくるベッキーと対峙することになる。これでいいのだ。

◆オーティスは漁夫の利か!? ハシゴ登らずとも落ちてきたケースで優勝
<第6試合 コーポレイトMITB男子>
○オーティス
 同時開始から27分15秒
●バロン・コービン&AJスタイルズ
※他はレイ・ミステリオ、アリスター・ブラック、ダニエル・ブライアン

 男子MITBラダー戦はトレーニングジムからで、昔もやってた本社ビルとはロビーも変わったのだろうか。お約束でジムの鏡をバーベルの重しを投げつけて壊す他、廊下、会議室、食堂、ビンス・マクマホンの会長室と本社のいたるところで白熱の攻防を展開するも、このセグメントは不要だからカットとかもあったにせよ、あまり進行の脈略がなく、ポール・ヘイメンの前にごちそうが並べられているが、どうなるかは活字で拾うまでもないことだ。二選手間のフォローもされないまま屋上へ。女子の試合と同時進行の建前で、一部重なる場面もあったのだが、まぜこぜにはしていなかった。

 屋上のリングではオーティスがあまりの重さでラダーが壊れて登ることができないSmackDownの伏線に続くコントが発生。そこでAJスタイルズとキング・コービンがラダー上でブリーフケースの奪い合いを展開するが、突如現れたアライアスがギターショットでコービンを粉砕。その衝動でAJスタイルズがブリーフケースを落としてしまい、下にいたオーティスが幸運にもそのブリーフケースをキャッチして男子MITBラダー戦を制した。こうなるわなぁ。


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