シャーロットついに悪ターン!ロンダを滅多打ちサバイバー・シリーズRAW6-0SmackDown

photo by George Napolitano

■ WWE サバイバー・シリーズ
日時:11月18日(現地時間)
会場:カリフォルニア州ロサンジェルス ステイプル・センター 観衆16,200人(=主催者発表)

<第1試合 女子5対5エリミネーション戦>
○ナイア・ジャックス タミーナ・スヌーカ サーシャ・バンクス ベイリー ミッキー・ジェーム
 18分50秒 サモアンドロップ
●アスカ カーメラ ナオミ ソーニャ・デヴィル マンディ・ローズ

 会場に詰めかける客でも、この選手は馴染みがない、記憶にないとか、『205 LIVE』は見てないとかは仕方ないのだが、全員がわかっていたのはベッキーを負傷させたのは#Facebreakerナイア・ジャックスだと言うこと。出てきただけでもの凄いブーングというのは凄いというか、もう完全にリアルタイム進行でないとWWEはついていけない。わずか5日前のことも全員が知っているという・・・。感謝祭の伝統プロレス行事、『レッスルマニア』に続いて二番目に古いと言われても、ファン、視聴者を取り巻く環境は大きく変わっている。時代が違うという再認識からのPPV開始である。

 中身的な攻防では、サーシャ・バンクスvs.アスカの熟練攻防に時間が与えられた。あとから知って、ああ、そうだったっけと思ったが、当初はルビー・ライオットとナタリアがRAW軍発表も、kick offショー(本誌は見てない。そんなに早く起きれません)のアングルで、急遽サーシャとベイリーに当日変更とのこと。中身の質を考えれば、サーシャにして大正解であろう。
 ステイプル・センターの大観衆が”Let’s Go Asuka”を合唱したのはやはり嬉しい。なんかよくわからない大阪弁も、いつもと変わらずわめいていたゾ~。最後はThe MANベッキー・リンチに顔面パンチをぶち込んで大流血させたことで、売り出しにも拍車がかかったヒール転向の怪力ナイア・ジャックスに沈んだものの、軸となったサーシャ・バンクスとの名人芸は見ごたえ十分。ジャーマン・スープレックスは2度もREPLAYされた。

 北米のスマホ回線業者のCricketが大会スポンサー。家族向きともいえるが、なんとすべてかけ放題4本のラインで合計月額$100が、プリペイド・サービスとして提供されるようだ。「さっさと、わが社に乗り換えなさい!」という宣戦布告である。道理で、ソフトバンクが日本では株上場だが、米国では買収したスプリントが大苦戦中。プロレス番組でアメリカの今を知るというか、やはり日本のスマホは料金が高いのである。

<第2試合 インターコンチネンタル王者 vs. US王者>
○セス・ロリンズ
 21分50秒 カーブストンプ
●中邑真輔

 RAWで毎週、毎週、一番シンドイ激しくも中身のある試合をやってきた職人のセス・ロリンズと、アーティスト中邑真輔の一騎打ち。マニア層が注目するのは無理もない。
 専門筋の予想では、「今はディーン・アンブローズの裏切りで頭が一杯」と語るセス・ロリンズが、中邑に寝るというのがコンセンサスだったが・・・。2018年は圧倒的な割合で北米の媒体を出し抜き、アメプロ情報先行の読みではダントツの精度が活字に残され証明可能な本誌は、一言もそんなことは書いてない。この時点でRAW対SMackDownは3-0に。もしかして、対抗戦は今回はこうするんじゃないかという読み通りになっていくのであった。

 しかしまぁ、ケツはどうでもいいことであって、この二人に期待された役割は、今宵のベストマッチだったと専門筋に褒められることであり、期待通りのデリバリーが果たされた。実況も言っていたように、この二人はまた戦うでしょう、ということなのだ。
 但し、シャーロットvs.ロンダが、まさかあんな凄い試合になるとは、この時点では誰にもわからない。

<第3試合 RAW vs. SDタッグ王者戦>
○A.O.P.
 9分 合体パワーボム
●ザ・バー

<第4試合 クルーザー級王座戦>
○[王者]バディー・マーフィー
 12分20秒 マーフィーズ・ロウ
●[挑戦者]ムスタファ・アリ

 リングでなく、実況アナウンサー・テーブルからのスパニッシュ・フライのスポットの時に、”205″”205″の合唱が起きたが、会場全体ではなく、リングサイドのマニア層というのが認知度の現実であろうか。但し、最後には全体で”This is AWSOME”がこだましたんだから、良しとするしかない。ただまぁ、『NXT』『205 LIVE』は生中継ではないから編集ができるという最大の違いがあるにせよ、『205 LIVE』でやってる方がもっと凄い試合だったのに、みたいに感じてしまうWWEフォロアーは仕方ない。求められているのは尺に異常にうるさいPPV大会用の試合組み立てなのだから。

<第5試合 男子5対5エリミネーション戦>
SD ミズ ●シェイン・マクマホン レイ・ミステリオ ボビー・ラシュリー ジェフ・ハーディ
 24分 ランニング・パワースラム
RAW ○ブラウン・ストローマン ドルフ・ジグラー ドリュー・マッキンタイア フィン・ベイラー サモア・ジョー w/バロン・コービンGM代行

<第6試合 SD女子代表 vs. RAW女子王者>
●シャーロット・フレアー
 14分40秒 反則
○ロンダ・ラウジー

 この試合中に限らず、もう始まった時から、「ベッキー!ベッキー!」の合唱が起こる会場であり、本誌の予想が外れた点も書くなら、SmackDown速報の見出しでも「欠場」とは書かずに、「負傷」「変更」だけにしていた。チケット買った客のためにも、少なくともマイクで出てくるとか、場合によっては途中から試合に介入しても十分ありだと踏んでいたから。しかし、これは良くも悪くもも見事に外れた。というのは、やはりまだまだロンダはプロレスに慣れておらず、あんなに凄かったベッキーvs.シャーロット戦の記憶が冷めやらない時点で、そうでもしないと無理があると思ったこともある。しかし、予想が外れてSell, Sell, Sellと、一部にはロンダは最強の女なんだから、あんまりSaleはやらないほうがいい、一方的に勝つんで今は正解なんだという意見も根強いのに、見事にプロレスラーになっていたのだ。これは嬉しいサプライズである。また、現場でも、このカードはいけると判断して、変に絡ませない方がよい、ベッキーは(現地時間)火曜夜のSmackDownまで温存して、お客さんに「もう一回ステイプル・センターに来てください」ということなのだろう。

 いくつか、うまくいかないスポットもあったんだが、恐らく一般にはわからなかったと思うし、日本的と評するのは乱暴なのだが、スポーツのような白熱戦だったのは間違いない。まして、コーナーポストに駆け上がりとか、UFCを見てきた者なら「ええええ!」と声を上げたに違いない。まぁ、ファンだけでなく、選手にもベッキー戦のインパクトと観客へのoverぶりを目の当たりにして、触発された面も大きいと思うが、こんなもの凄い試合になるなんて、誰が予想してであろうか。

 どうしてもいちゃもんをつけたい方面には、ニューヨーク近郊とはまた違うメイクさん担当にせよ、またも目の周りを今夜のテーマに合わせて赤く塗った濃いお化けメイクで出てきて、なんでこんなのがイイのかという不満からの入場だったこと。大会場の天井桟敷席にもわかりやすくするには、濃いメイクで正解なんだと諭されたら黙るしかないのだが・・・。まぁ露出度の高い新しいコスチュームには拍手喝采である。
 ところがそれが、シャーロットのエルボーで口を切ってしまい、またも流血戦になるというエージェントからしても想定外の展開になり、目のメイクと併せて、朱に染まったロンダというのが絵になるという、オマケの効果も生んでしまうのだから、わからないモンである。これはバレエでも演劇でもないプロレスという唯一無比の崇高なスポーツ芸術なのだ。
 まして、これまで目立たなくしてたのに、この激しい戦いからロンダ様の耳はぎょうざ耳であり、そこからも出血するというリアルがあって、いやはや一本取られました。

 それにしても、ここでシャーロットがヒールターンという、WWEのCreativeやってくれました。お膳立てしても、それをちゃんとこなせるかどうかは、パフォマーの技量が伴わないと客にストーリーが伝わらないリスク度の高いカードだったが、最強の女ロンダの胸上をフレアー・チョップで腫れあがらせ、竹刀が壊れるまでぶっ叩き、チェアをどうするのかと見ていたら、ベッキー戦とかと同じようには使わないとばかり、(位置が間違ってやり直したのはあるにせよ)ロンダの顔を挟んでナチュラルセレクションでバーンとか、ついに、ついに父親の血が本性を現したシャーロット。ベッキー戦は「なんでここでダブルターンにしないのか」と専門筋に叩かれたものだが、2回連続でトンデモ試合をやってのけたことに加え、アスカとの『レッスルマニア』戦を思い起こせば、ここにきて2018年MVPにシャーロットが躍り出たと書き残さざるを得ない。ヒールターンしたことで、野生児のDNAが躍ったのだ。

<第7試合 RAW王者 vs. SD王者>
○ブロック・レスナー
 18分50秒 F5
●ダニエル・ブライアン

 前の試合の余韻が凄すぎる、やる側にしてみれば大変なプレッシャーの中で始まったトリ。オフレコで関係者には、イメージトレーニング出来ている、そればっかり考えていると漏らしていたように、寝る側のブライアン作の試合展開であり、最初はもう、ボロボロにスープレックス・シティで何度も投げ飛ばされて、痛めていることが周知の首がさらにやられるという構成に。
 何度目かのF5で軽量ブラインを担いで回そうとした際、レフェリーにぶつかり転倒。見てないスキにローブローをお見舞いして、カムバックが始まるという・・・。場外へのニープラスも完璧にレスナーの顔面にヒットした。それでも最後はF5に沈みましたとさ。非常によくできていたとは思う。また、会場客が嫌がる展開の、レスナーが一方的に痛めつけるだけの内容でもなかった。ただ、重ねて前の試合が凄すぎて・・・は偽りざる心境だろうか。

 結果、RAW6-0SmackDownとなり、明日からのRAW、SmackDownでは、恐らくシェイン・マクマホンが責任とっての辞任とか、そういう展開が予想されるが、まぁそれは見てからのお楽しみ。
 背景には、来年のこの時期には、地上波FOXネットワークで金曜8時-10時のプライムタイム(日本表記ゴールデン)にSmackDownがチャンネル変わっているから、あの異常な株価の根拠になるが、SmackDownの方が視聴者数でも凄いことになるという、本当にそうなるかどうかは別にして推定があるから、今回は反則負け含めて全敗でイイんだと。無理に対等の星取りは必要ないんだろう。
 もっともちゃんと全部見ているなら、SmackDownの方がRAWより面白いことは周知のことであって、RAWこそメンバーの入れ替えが必要というのが、裏メッセージとも読み取れる。そこの分析は、本誌をご購入下さい。

◆AJタイルズのドキュメンタリー『355』が続けて放送

 昨日NXT終了後のディーン・アンブローズ回に続いて、本日はAJスタイルズの一年を追いかけたドキュメンタリーが、『サバイバー・シリーズ』を見ていたら、自分から切らない限りそのまま間髪入れずに続けて放送されたが、本来は「早く、写真の整理やってアップしろ」と怒られそうだけど、見入ってしまったのはWWEネットワーク初日からの加入者としては無理もないだろう。
 当然、ライバル中邑真輔のことや、前回の両国公演、リベラ・ステーキに行った模様など第二の故郷・日本のこともふんだんに出てくる。驚きはこれまで、そんな団体あったのかと、存在自体を否定していたTNAのことも出てきており、ジェフ・ジャレットがまたWWEに裏方で入ったから、映像使っても文句ないということなのか否か。また、闘ったばかりのフィン・ベイラーと、終わって裏では・・・もカメラに収めてあり、WWEネットワークでやるオリジナル番組は最初からそうだが、ケーフェイもお構いなしである。日本のように、数年ですぐに卒業させるサイクルで使い捨てビジネスになり下がっている現状を思えば、やはり教育が間違っていると、今の規模の余りにも巨大な格差を調べるにつけ、そう判定せざるを得ない。ここではタブーはないのだ。
 実際、抗争しているサモア・ジョーとのインディー時代からの友情にも触れられている。番組上で、「ウェンディィィー」とやっているのだが、4児を抱えるファミリーマンのAJとは、高校からのスイートハートなんだそうだ。おそらく、家族ぐるみの付き合いをしているから、番組上は「お前のパパになってやる」と、末っ子のアニーちゃんに言えるのであろう。必見作だと推薦しておきたい。


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