[週刊ファイト6月21日号]収録 [ファイトクラブ]公開中
▼メチャ面白い桜庭和志のチーム対抗戦 6・9 QUINTETディファ有明
photo & text by ケーシー w/編集部
・U好き=夕月堂本舗!Uスタイル:プロレスのような見せ方的な要素を
・殴りません、チョップしません、蹴りません:QUINTETの寝技極めっこ
・ZST4兄弟再集結!”東洋の神秘”48歳矢野卓見が洗濯バサミ披露
・スポンサーHALEO徳留一樹 金原正徳 ソウザ 小見川道大 宮田和幸
・対抗戦中堅最強論ホベルト・サトシ・ソウザと柔術カルペディエム地味
・UFCファイトパス世界配信V.V Meiジョシュ・バーネット英国人Sフルトン
・納得ルール「ヒールフックは禁止」、「ファールカップはつけない」
・やる側にとっての格闘技市場の底辺拡大~7・16『QUINTET.2』大田区
桜庭和志プロデュースによるグラップリングに特化したチーム勝ち抜き対抗戦のQUINTETが、メチャメチャ面白い。先鋒、次鋒・・・と5名の選抜メンバーが対抗戦をする。高校生だった頃、柔道や空手は、近郊の高校などとの競技会、大体こんな感じだった記憶がある。寝技だけのプロ大会なんか一般層には難しいという偏見にもかかわらず、余り熱心なMMAファンでなくとも、意外と見せたらすんなり入れるのではなかろうか。普通に見ていて楽しいのだ。
なにしろBJJの競技会だとポイント制で、点数差で勝ってしまうのがどうにも納得いかない場合がある。いや、五輪レスリングだって、勝敗の決まり方がわかりにくい。だから(日本女子の活躍はともかく)人気が大衆に広がってないと、改善命令をつきつけられた記憶が新しい。
その点QUINTETは、一発大逆転だろうが一本取った者が次の対戦相手に向かうのは無論のこと、圧倒的に仕掛けまくられようが8分間耐え忍んだら引分け、両軍ともに対戦相手交代となる。唯一、アグレッシブに戦おうとしてない素振りがあったら「指導」の警告ポイントが付くルールだ。
U好き=夕月堂本舗!Uスタイル:プロレスのような見せ方的な要素を
QUINTETの二回目となる大会が6月9日、ディファ有明で開催され、決勝はチームの大将同志となる金原正徳と世羅智茂の攻防に。時間切れとなり、チーム全体として指導ポイントが少なかったCARPE DIEMカルペディエムが、ルール上からの優勝となった。
形式が親しみやすいというだけでなく、一回戦を勝ち上がった場合、決勝戦では先鋒、次鋒から大将まで、どういう順番で臨むのかの作戦が必要になり、戦略ゲームの面白さもある。感情移入しやすいという観点なら、U系プロレスの経験者を集めたU-ZUKIDOであろう。なにしろ、桜庭和志が提唱して、ジョシュ・バーネットが賛同したという、いわゆる顔役がプロレスラーという決定的なキャラを前面に打ち出したQUINTETであることは強調しておく必要がある。
忘れてならないのが、着で闘う従来のアマ色になってしまいがちな柔道や柔術と違い、ラッシュガードとハーフパンツで闘うのが、新興の格闘技プロモーションのビジュアル面での大きな特色だ。U-ZUKIDOを漢字にしたら「夕月堂本舗」。なるほどU好き=「夕月」で青のラッシュガードに黄色で縦書きの”夕月堂本舗”がディファ有明のステージに並んだ絵は、ぐっと来たのではなかろうか。
ちなみに、中村大輔が主宰する北千住の町道場名が、夕月堂本舗である。そこには
「Uスタイル」の練習を行います。打撃や寝技一つ一つのかけ方、かわし方等が俗に言う総合格闘技のような勝ちに行くためのコンパクトなムーブよりプロレスのような見せ方的な要素があり、プロレスよりも動き方は総合格闘技のように実戦的なものになります。論理的よりもより、感覚的に身体を使っていくように練習を行います。
夕月堂の特徴:プロレスと総合格闘技の大体真ん中辺りの練習内容、と案内に大書してある。
殴りません、チョップしません、蹴りません:QUINTETの寝技極めっこ
チームHALLEOは、元パンクラス王者でUFC参戦経験のある徳留一樹が、同じくパンクラス古参兵にして、全日本プロレスなどにも参戦している佐藤光留をフロントチョークで秒殺したのを皮切りに、立て続けにビル・ロビンソンの直弟子・井上学を、ドクターストップに追い込むなど、鮮やかな印象を残した。また、次鋒の初代戦極フェザー級王者・金原正徳もまた、ジョシュ・バーネットの弟子ビクター・ヘンリーをアキレス腱固めで一本と、キックボクシングのKNOCK OUTにも参戦した格闘技の求道者ながら、やはり寝技は一流なんだと再確認させてくれた収穫もある。
本誌取材チームが口を揃えるだけでなく、概ね好評の大会となったことは間違いないが、主催者というか、スポンサーであるプロテインなどを販売するHALEOにしてみれば、ALL STARチームだと謳っているのに、決勝では、地味で、選抜選手も知られていない名前ばかりの柔術チームCARPE DIEMに、指導ポイントの差だけという微差だったにせよ、優勝を逃した反省はあろう。なにしろ、柔術の強豪ホベルト・サトシ・ソウザを、一回戦の中堅に配置。副将の小見川道大、大将の宮田和幸に出番の機会を与えないまま、U系プロレス軍に勝利している。
スポークスマン役が桜庭和志、ジョシュ・バーネットながら、ディファ有明規模の大会で試合が組まれるハズもなく、一回戦のカードの組み合わせは、残念ながらU系プロレス軍が、ALL STARチームのHALLEOにかませ犬になってもらう役割だ。プロ興行の観点からは致し方ない。格闘技のセオリーでは、大将、中堅、先鋒、副将、次鋒が強さの順とも言われるが、大将は師範代だったり、年長者という場合も多く、中堅の実力が勝ち抜き競技の肝なのは述べるまでもない。
但し、QUINTETのルールでは、決勝に進んだチームはまだ試合してない者から始める約束であり、小見川道大、宮田和幸、ホベルト・サトシ・ソウザ、徳留一樹、金原正徳の順番を組んできた。
元五輪レスリングで、ヘラクレスの肉体を誇る宮田和幸が、寝技でも強いというのを見せてくれた収穫はあったが、ここでもソウザが2選手をチョーク葬、3人目に粘られて両者退場と、きっちり役割を果たしている。それでも、無名の多い柔術軍CARPE DIEMは、本職というのか寝技ゲームには底力を発揮したことになろう。
▼格ヲタ似顔絵師 ケーシーの四コマ漫画劇場:ホベルト・サトシ・ソウザ
’18年06月14日号BOSJ総括Dominion展望 新日北米ROH CMパンクUFC ラウェイ 原点回帰