(C)GLORY
6月2日(現地時間)にイギリス・バーミンガムで『GLORY 54: Birmingham』が開催された。
グローリーは、ヨーロッパのキックボクシング団体。2011年のFEGの経営悪化によるK-1の活動休止に伴い、世界的に大規模なキックボクシング団体がなくなったため、ピーター・アーツやクリス・ナギンビ、ムラット・ディレッキーらは引退、タイロン・スポーンやグーカン・サキらは総合格闘技またはプロボクシングへの転向を表明するなど、キックボクシング界の人材流出が顕著になっていった。そこで、K-1を買収するつもりだったバス・ブーンと、ブーンに協力していた大手独立系スポーツ・マーケティング広告代理店トータル・スポーツ・アジア(TSA)、石油系ヘッジファンド『BlueGold』の運営で財を成した投資家のピエール・アンデュランド(Pierre Andurand)らが改めて結託し、ピエールとTSAが合わせて総額3000万ドル(約23億円)以上の出資をして、ゴールデン・グローリージムとは独立した興行の運営母体としてグローリー・スポーツ・インターナショナル(Glory Sports International Pte LTD.)を設立(略称はGSI)。2012年3月23日のモスクワ大会で事実上旗揚げした。但し、巨額の損失からバス・ブーンらは追われてしまう。何度かの組織変更の末、北米を照準にして2016年2月、UFCファイトパスでの配信を開始した。
今大会のメインはヘビー級王座戦で、グローリーの絶対王者と化しているリコ・ヴァーホーベンが、“スコーピオンスティング”の異名を持つムラデン・ブレストバッチの挑戦を受けた。グローリーのエースとして現在9連勝中というヴァーホーベンとブレストバッチは2016年に一度、王座戦で対戦しており、その時はヴァーホーベンが判定勝ちしている。しかし、その後ブレストバッチも連勝を重ね、大物ヘスディ・ゲルゲスにKO勝ちした事により、再び王座挑戦となった。試合は、手堅くポイントを稼いだヴァーホーベンが今回も判定勝ちして王座防衛を果たした。
またウェルター級王座戦も組まれ、王者ハルト・グレゴリアンがアリム・ナビエフを迎え撃った。宿命のライバル、マーセル・グローエンハートをKOして新王者に輝いたグレゴリアンだが、セドリック・ドゥンベとの挑戦者決定戦を勝ち上がってきたナビエフも強敵だ。試合は、グレゴリアンがペースを掴み判定勝ちで王座防衛を果たした。
■ GLORY 54: Birmingham
日時:2018年6月2日(現地時間)
会場:イギリス・バーミンガム
<ヘビー級王座タイトルマッチ>
○リコ・ヴァーホーベン(オランダ/王者)
判定
●ムラデン・ブレストバッチ(クロアチア/挑戦者)
<ウェルター級王座タイトルマッチ>
○ハルト・グレゴリアン(アルメニア/王者)
判定
●アリム・ナビエフ(アゼルバイジャン/挑戦者)