ユーサップ・ラソフが王座統一!ロシアACB85

(C)Absolute Championship Berkut

 5月5日(現地時間)にロシア・モスクワで『ACB 85: Leone vs. Ginazov』が開催された。
 このアブソリュート・チャンピオンシップ・ベルクートはロシアの総合格闘技団体。団体名のベルクトはコーカサスで尊敬されている鷲の名前から取っている。2012年から精力的に大会を開催してきたMMA団体で、ロシア人同士だけではなく、ロシア勢が(ロシアから見て)海外勢と対戦するカードも多く組まれる国際的な大会だった。しかし、最近はチアゴ・シウバ、ポール・ブエンテロ、マイク・カイルという世界的に有名な元UFCファイターと契約し、ロシア対世界ではなく、ワールドワイドなMMA団体となり、世界各国での大会開催を発表。2017年1月には遂にアメリカ進出も果たした。そして現在、ACBはロシアを本拠地としながら、全世界で大会を開催している。
 今大会は本拠地ロシアに戻りモスクワのオリンピック・スタジアムという大会場で大会を開催した。オリンピック・スタジアム(Олимпийский)はロシア・モスクワにあるロシア最大の屋内競技場。オリンピスキ・スポーツ・コンプレックスの施設のひとつであるが、通常のオリンピック・スタジアムが屋外の陸上競技場であるのに対して、この施設は屋内競技場である。1980年のモスクワオリンピック開催のために建設され、同競技場ではボクシングとバスケットボールが行われた。また、1999年のFIBAユーロスターズ、2005年のユーロリーグファイナルフォー、2006年12月にはデビスカップ決勝やロシア初のボクシング・世界ヘビー級タイトルマッチ(オレグ・マスカエフ vs. MG・ピーター)が行われた。2009年のユーロビジョン・ソング・コンテスト、2010年には第50回世界卓球選手権団体戦会場にもなった。
 今大会は3階級の王座戦が開催され、メインはフェザー級の王座統一戦。正王者マラット・バラエフと暫定王者ユーサップ・ラソフという共にロシア人同士という、ビッグマッチにも関わらず、敢えて世界的に有名なMMA選手や他業種の有名人ではなく、ACBを主戦場にしている実力者同士のカードを組んできた。この両者は王座決定戦で対戦しており、その時はバラエフが判定勝ち。その後、バラエフが負傷欠場していた為、ラソフがアレクサンドル・ペドゥソンを下し暫定王者になった。そして王座統一戦を行う事となったのだった。下馬評は若いラゾフが有利となっている。試合は、バラエフがスタンドで追い込み足をとってテイクダウン狙い。ラソフはパンチで迎撃するが、しつこいバラエフは足をひっかけてテイクダウン。バラエフがこのまま仕留めると思われたが、ラゾフが体勢を入れ替え、逆にバックを奪ってチョーク。これががっちり極まって見事に一本勝ち。ラゾフが下馬評通り、勝利して新王者に輝いた。
 フライ級王座戦は王者アスカル・アルカロフがラスル・アルバスカノフの挑戦を受けた。MMA9戦全勝無敗という王者アルカロフが当然、下馬評では有利で、試合もその通りとなった。グランドでのめまぐるしい攻防の末、王者アルカロフがギロチンチョークで一本勝ち。見事に王座防衛を果たした。
 ライトヘビー級王座戦は王者バルタス・アグナエフがドブレジャン・ヤギュシュムラドフの挑戦を受けた。このアグナエフもMMA14戦全勝、しかもチアゴ・シウバ、マックス・ヌメスという世界的なファイターに勝利しており、当然、下馬評は王者が有利となっている。しかし、試合はなんとヤギュシュムラドフが圧倒。打撃、テイクダウンで王者アグナエフを追い込み、最後はマウントポジションを奪って、背を向けたアグナエフをチョークで仕留めたヤギュシュムラドフが一本勝ち。ヤギュシュムラドフは新王者に輝いた。

■ ACB 86: Raisov vs Balaev
日時:2018年5月5日(現地時間)
会場:ロシア・モスクワ オリンピック・スタジアム

<フェザー級王座統一戦>
○ユーサップ・ラソフ(暫定王者/ロシア)
 1R 2分49秒 リアネイキドチョーク
●マラット・バラエフ(正王者/ロシア)

<フライ級王座タイトルマッチ>
○アスカル・アスカロフ(王者/ロシア)
 2R 1分59秒 ギロチンチョーク
●ラスル・アルバスカノフ(挑戦者/ロシア)

<ライトヘビー級王座タイトルマッチ>
○ドブレジャン・ヤギュシュムラドフ(挑戦者/トルクメニスタン)
 2R 2分44秒 リアネイキドチョーク
●バルタス・アグナエフ(ロシア)

<ウェルター級>
○シロ・ホドリゲス(ブラジル)
 2R 0分25秒by KO
●ベスラン・イサエフ(ロシア)

<ライト級>
○アリ・バゴフ(ロシア)
1R 3分47秒 TKO
●トニーニョ・フリア(ブラジル)

<フェザー級>
○ムラッド・マカエフ(ロシア)
 判定 3-0
●ムハメド・ココフ(ロシア)

<フェザー級>
○ジョージ・カラキャニャン(米国)
 判定 3-0
●アレクセイ・パルプニコフ(ロシア)

<ウェルター級>
○ガジムラッド・ヒラマゴメドフ(ロシア)
 判定 3-0
●シャラフ・デフラトムロドフ(ロシア)

<ライトヘビー級>
○ムスリム・マゴメドフ(ロシア)
 2R 1分15秒 リアネイキドチョーク
●アシルザン・バジジャウリ(カザフスタン)

<フェザー級>
○アブドゥルラフマン・テミロフ(ロシア)
 1R 3分28秒 TKO
●デニス・シウバ(ブラジル)

<ライト級>
○デニス・カナコフ(ロシア)
 1R 4分04秒 TKO
●アブドゥルアジム・バデクシ(アフガニスタン)