[ファイトクラブ]史上最大のスキャンダル~新日カップ~レッスルマニア~K-1さいたまSA満杯

[週刊ファイト3月29月号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼史上最大のスキャンダル~新日カップ~レッスルマニア~K-1さいたまSA満杯
 タダシ☆タナカ+シュート活字委員会編
・映画『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』と究極のヒール論
・月曜にビッグ・バン・ベイダーが心臓手術!「タフなものになる」と予告
・マッチメイク考察ニュージャパン・カップ:ザック・セイバーJr.優勝
・レッスルマニアの鍵シェイン・マクマホン出陣~AJスタイルズが負傷
・女子ランブル「ファビュラス・ムーラ杯」不可!~2020年XFLにライバル
・武尊優勝!3・21K-1さいたまスーパーアリーナ『K’FESTA1』15000人


 映画『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』は、1994年リレハンメル冬季五輪フィギュアスケートの米国内予選で、トーニャ・ハーディングがライバルのナンシー・ケリガンを襲撃という、世界中の語り草になった事件、実話を軸に、暴力的でねじの外れた母親、当時の夫、襲撃を実行指示したとされるボディーガード、コーチなど、当事者の実際に行われたインタビューをもとにドラマ化した作品だ。

 当然ながら、それぞれの証言は微妙に食い違う。映画はどちらの言い分が正しいと導いたりはしない。展開上でもナレーションされている通り、当時お茶の間でビル・クリントンに次いで二番目に記憶された超有名人であるトーニャ・ハーディングの実像と真実をあぶり出していく。邦題は『史上最大のスキャンダル』だが、より内容を表すなら『史上最高のヒール』に違いないも、それだとプロレス者しかピンとこない。よって無難な『スキャンダル』となっているが、「襲撃を指示したのは貴方ではないのか?」の追求にも関わらず、ハーディングは米国代表として五輪に出場する。しかし、演技の途中で「靴ひもがほどけた」と審査員の前に足を投げ出し泣くという、歴史に残る名演技が繰り返しテレビで流され、全世界で記憶される究極のヒールとなった。
 五輪後法廷で裁かれ、競技のフィギュアスケート界から追放処分に。唯一無比の絶頂だった全日本女子プロレスが、こんな美味しいヒールはいないと、プロレス参戦をオファーしたことでも知られる悪名の権化だ。結局は格闘家に転向、ボクシングなどを2年やっているから、マット界名鑑にも記録されている。週刊ファイトが取り上げないわけにはいかない。

 平昌五輪でもフィギュアスケートで羽生結弦が金メダル二連覇の偉業を成したばかりだが、1994年冬季五輪がリアルタイムだった方には、トーニャ・ハーディングとナンシー・ケリガン(銀メダル)の強烈なインパクトは忘れられない。そして映画は、さらに実際はどうだったのか、希代のヒールの家庭環境や事件の深淵に迫るのだから、各方面で絶賛の嵐となった。ゴールデン・グローブ賞、アカデミー賞他、数々のノミネーションを得たのみならず、狂気の母親ラヴォナを演じたアリソン・ジャニーが助演女優賞を獲得している。また、主役のハーディングを演じたマーゴット・ロビーは、自身が製作者にも名を連ねてヒールの本性を見事に演じ、あちこちで主演女優賞候補として高評価されていた。

 貧しい白人家庭で育った、自らをレッドネック(保守的な貧困白人層を指し、侮蔑的意味を含む)と称するハーディングだからこそ、ここまでの究極のヒール足りえたというのが納得させられる内容であり、プロレスのキャラクターを考える上ではお手本でもある。実際当時、襲撃事件や泣いて審査員にアピールする名場面は、『Saturday Night Live』等のコメディ・スキットにも、プロレスのアングルにも何度も何度も応用されていた。
 女子プロレスに転向してくれなかったのは非常に残念だが、映画のエンディングをボクシングにしたオーストラリア人監督のクレイグ・ガレスピー監督のBlu-ray版コメンタリー音声を聞いても、ハーディングは殴られ屋になってもガチ志向だったことも納得できよう。
 日本公開は5月4日から。アカデミー賞作品賞はご時世も味方してメキシコ人監督によるファンタジー怪獣映画の『シェイプ・オブ・ウォーター』だったが、筆者は文句なくこちらを昨年度制作のベスト映画だと推薦しておきたい。スティーヴン・ロジャースのち密な脚本と、芸達者な助演陣のアンサンブルはピカ一である。

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