[ファイトクラブ]ビンス・マクマホンの黒歴史!一度失敗したXFLは成功するのか!?

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[週刊ファイト2月22日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼ビンス・マクマホンの黒歴史!一度失敗したXFLは成功するのか!?
 by 安威川敏樹
・プロレスラーにはアメフト出身者が多い?
・プロレスラーに向くのは地味なポジション
・マイナー・リーグの文化がないアメリカン・フットボール
・マクマホンにXFLの勝算はあるのか?


 平昌オリンピックが開幕したり、プロ野球では春季キャンプが始まったりと、いよいよスポーツ観戦にも熱を帯びる季節となった。
 そんな中、プロレス界とあまり関係がないようで、実は大きな影響を受ける出来事があった。WWEの総帥であるビンス・マクマホンが、2020年からアメリカン・フットボールの独立リーグ、XFLを発足させると発表したのである。

▼ビンス・マクマホンが2020年にXFLフットボールリーグ再興を宣言!

ビンス・マクマホンが2020年にXFLフットボールリーグ再興を宣言!

 アメリカン・フットボールの最高峰プロ・リーグと言えばNFL。その優勝決定戦であるスーパーボウルは全米一の大人気イベントとなっており、先日2月4日(現地時間)に行われたスーパーボウルも大盛況だった。マクマホンは、そんなNFLにケンカを売ったのだ。

 実は21世紀に入ったばかりの2001年、マクマホンは既に一度、XFLを立ち上げている。当時のWWEはまだWWFという名称だった。
 しかし初代XFLは話題にはなったものの集客力が伸び悩み、また視聴率も低迷して僅か1年で破綻している。いわばマクマホンによってXFLは黒歴史というわけだ。

 それを19年後に復活させようというのである。普通、黒歴史は触れられたくない過去だが、マクマホンにとっては黒歴史のまま終わらせるわけにはいかない、と考えているのだろうか。

プロレスラーにはアメフト出身者が多い?

 有名プロレスラーの過去をたぐると――やはり、まずアマレス出身者が多い!(ボブ・バックランド、ビル・ロビンソン) アメリカン・フットボール出身者も多い!(ザ・ファンクス、スタン・ハンセン) 相撲、柔道など他の格闘技からも!(坂口征二、力道山、バッドニュース・アレン) 木コリなど力仕事の出身も!(アンドレ・ザ・ジャイアント) プロ野球、陸上競技から転向も!(ジャイアント馬場、アントニオ猪木) そして、なんと、われらの『超人一番!』ハルク・ホーガンは?ロック・ミュージシャン出身である!!(GYAAAN)

 と、漫画『プロレススーパースター列伝(原作:梶原一騎、作画:原田久仁信)』には描かれているが、やはりプロレスラーにはアメフト出身者が多いようだ(ちなみに、アンドレが木コリ出身というのは大ウソ)。
 また『プロレススーパースター列伝』によると、ドリー・ファンク・シニアは息子のドリー・ファンク・ジュニアとテリー・ファンクに『プロレスのパワーづくりに最高』とアメフトを勧めたことになっている。
 最近ではボディビルダー出身のプロレスラーが多いだろうが、アメフトでは全身のパワーを満遍なく鍛えられるのがプロレス向きなのだろう。

▼アメリカン・フットボール出身の名レスラー、ドリー・ファンク・ジュニア

 まあ、アメリカの学校ではシーズン制でスポーツを行うので、多くのアメリカ人プロレスラーはアメフトを経験していると思われる。春から秋は野球、秋から冬はアメフト、冬から春はバスケットボールなどとなっているため、たとえばメジャー・リーガーでも高校時代などではアメフトをやっていた選手は多い。

プロレスラーに向くのは地味なポジション

 しかし、アメフトがプロレス向きと言っても、ポジションによって向き、不向きがある。たとえば花形ポジションであるクォーターバック(QB)の選手は、あまりプロレス向きとは言えないだろう。
 もちろん、中にはQB出身のプロレスラーはいるが、あくまで向き、不向きの問題だ。

 QBは司令塔と呼ばれるポジション。攻撃では必ずボールに触り、タッチダウンに直接かかわることが多い。バンドでいえばヴォーカルのような存在で、アメフトではスーパースターの多くがQBであり、夢のような大金を稼ぐことができる。
 しかしオフェンスの中心であるQBは、敵にターンオーバーされた場合は別にしてタックルに行くことはまずない。アメフトはラグビーとは違い、オフェンス(攻撃)とディフェンス(守備)などでハッキリ選手が分かれる。野球でいえば、全員にDH制を適用しているようなものだ。
 つまりタックルなど殆ど必要ないQBは、パワーよりもパス能力やランニング・スピード、司令塔としての一瞬の判断力が問われるポジションなのである。

 それに対し、同じオフェンスでもオフェンス・ライン(OL)の選手はプロレスラー向きだと言える。オフェンスで11人中5人いるOLは、基本的にルール上ボールを触ってはいけないポジション。したがって、オフェンスでありながらOLがタッチダウンを奪うのは不可能だ。
 OLの役目は、味方が前進できるように体を張って、タックルに来る敵ディフェンスをブロックすること。つまり、縁の下の力持ちなのだ。オフェンスなのにディフェンス的だと言える。
 当然、体が大きくてパワーがなければ務まらない。スターになりづらく、報われないポジションだが、QBよりも遥かに地味なOLの方がプロレスラー向きなのである。

 同じ理由で、ディフェンスの選手たちもプロレスラー向きと言えよう。ディフェンスの選手は、敵のパスをインターセプトでもしない限りタッチダウンはできない。OLほどではないにせよ、地味なポジションだ。もちろん、タックルが強くて体が大きな選手に適している。

▼青チームの黒丸で囲った5人がオフェンス・ライン(OL)。赤チームがディフェンス

 ちなみに、スタン・ハンセンのアメフトでのポジションは、ディフェンスのラインバッカー(LB)。ディフェンスの中でも、最も運動能力が問われるポジションだ。
 ハンセンの大きな体とパワー、そして身体能力がディフェンスに活かされていた。そのタックルの強さは、大学時代から定評があったという。
 ただ、プロの選手として活躍するにはスピードが足りなかった。ハンセンはNFLのチームに入団するも、夢は諦めて手堅い職業である教職の道へ進み、さらにプロレスラーに転向することとなる。

 なお『プロレススーパースター列伝』では、大学時代のアメフトでの試合で、ハンセンとブルーザー・ブロディが「またもや、おれたちのコンビで勝負をきめたな!」と言ってタッチダウンを決めるシーンがあったが、ポジションから言って多分こんなことは殆ど無かっただろう。それにハンセンよりもブロディの方が3歳年上で、ブロディの4年時ではハンセンは1年生だった。

▼ラインバッカー(LB)だったスタン・ハンセンは、スピード不足のためNFLを断念した

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