[週刊ファイト1月18日号]収録 [ファイトクラブ]公開中
▼今、甦る東京スポーツ伝説!東スポを含むマスコミとプロレスの関係とは?
by 安威川敏樹
・人気絶頂の女性アイドルが東スポに激怒!でも見出しは……
・東スポが虚偽報道で訴えられるも、裁判で勝った!?
・東スポを信用する唯一の業界
・日本プロレスから取材拒否を受けていた東スポ
・業界とマスコミは一心同体、のはずだが……
・プロレス界とマスコミとの異常な関係
お笑い芸人のエスパー伊東が東京スポーツに対して糾弾したというのは、既に本紙でお伝えしたとおりだ。
▼東スポを糾弾したエスパー伊東をバースデーイベントで直撃!!
東スポと言えば上記記事でも書いているとおり『日付以外は全て誤報』と呼ばれている新聞である。『聖子輪姦』『マドンナが痔』『UFOが電線に止まる』『人面木が出現』『カッパ発見』など、誤報(というよりはガセネタ)には枚挙にいとまがない。
稀に東スポのスクープが真実となることがあるが、誰も東スポの記事を信用していないので、スッパ抜いた時点では話題にもならない。まさしくオオカミ少年である。
人気絶頂の女性アイドルが東スポに激怒!でも見出しは……
東スポの飛ばし記事に対して、80年代に人気絶頂の女性アイドルだったA・Nは完全に頭に来ていた。交際中と噂されていた男性アイドルのM・Kとの仲を、あることないこと好き放題に書かれていたからである(※A・NとM・Kの名前は、記事の最後の方に出てきます)。
そこで、東スポ記者がA・Nの家に行ってインタビュー取材するというドキュメンタリー番組が企画された。
東スポ記者がA・Nの家のインターホンを押す。インターホンに出たA・Nに対し、「すみません、東京スポーツですけど……」と言うと、無言でインターホンを切るA・N。
やむなく東スポ記者が何度もインターホンを鳴らすと、遂にA・Nがインターホンに出た。
「しつこく鳴らすんじゃないわよ!さっさと帰りなさいよ!」
「いや、そのインタビューを……」
「天下の東スポでしょ!?どうせウソばっかり書くに決まってるじゃない!ちゃんと読んでるんだから、知ってるわよ!」
そう言って、A・Nは一方的にインターホンを切った。東スポ記者はテレビ・スタッフに「参りましたねえ……」と苦笑いで語っていたが、ちっとも参ってなかった。
翌日の東スポの見出しは、こうだった。
『A・Nは東スポの愛読者だった!』
記事の内容はこちら。
『A・Nが本紙記者のインタビューで語った。「天下の東スポさんでしょ。知ってますよ。いつも読んでますから」』
まあ、完全な誤報とも言い切れない。
東スポが虚偽報道で訴えられるも、裁判で勝った!?
やはり80年代、『ロス疑惑』で世間を賑わせた故・三浦和義氏が、各マスコミに対して民事訴訟を起こしたことがある。当時のマスコミ報道はかなり過激で、人権侵害となることも多々あったからだ。
驚くべきことに、三浦氏は弁護士も立てず、単独で民事裁判に挑んだのである。しかも、その8割に勝訴したのだから、見事という他はない。三浦氏は、弁護士以上に法律が詳しかったか、あるいは弁護士以上に弁が立ったか……。
当然、東スポも三浦氏に訴えられた。相手は8割の勝率を誇る三浦氏。一方、こちらは飛ばし記事を書きまくっていた東スポ。どう考えても、東スポに勝ち目はない。
ところが、東スポは思ってもみなかった主張で対抗した。
「東京スポーツの記事を信じている読者なんて1人もいません。ですから三浦氏に関する記事も、読者はデタラメと思っているわけで、三浦氏に対する名誉毀損には当たりません」
この大胆な主張に対し、東京地方裁判所は「確かにそうだ」と受け入れ、一審でまさかの勝訴。東スポは勝率8割の三浦氏に勝ったのだ。
しかし、こんな判決を三浦氏が納得するはずもなく控訴した。二審の東京高等裁判所では「東京スポーツの主張は報道機関とは思えない」と東スポに説教し、三浦氏が勝訴。
東スポは最高裁判所に上告するかと思われたが「そら、あんな主張が通るわけ、ないわなあ」と上告をアッサリ断念、三浦氏の勝訴が確定した。東スポにも一応の常識はあったようである。せっかくなのだから、二審で敗訴したときに『不当判決』と書いた紙を持って、東京高裁の周りを走ってもらいたかったが……。
それにしても、自らが「ウチの記事を信じている読者などいない」と認める東スポ、確信犯とはこのことだろう。
東スポを信用する唯一の業界
読者どころか本人(擬人法です)すら信用していない東スポだが、たった一つだけ信じ切っている業界がある。言わずと知れたプロレス界だ。
かつて、長州力は言った。
「(プロレスの)マスコミは東スポだけでいい!」
と。つまり、長州は東スポを信用しているのだ。というよりも、この言葉を額面どおりに受け取れば、東スポ以外のマスコミは信用していない、ということになる。
ご存知のとおり、東スポは『プロレス新聞』とも呼べる存在だ。プロレス冬の時代と呼ばれたときでも、欠かさず報道を続けていたプロレス・マスコミの重鎮である。とはいえ、東スポも営利事業である以上は売れる記事を書く必要があるわけで、ガセネタ報道が中心となったきらいがあるが……。