[週刊ファイト1月4日-11日合併号]収録 [ファイトクラブ]公開中
▼PRIDEで知識が途切れたプロレスファンが贈る、総合格闘技の今
photo text by こもとめいこ♂
・DEEP 81 IMPACT 全試合4枚以上の画像掲載レポート!
・女子アトム級王者黒部三奈、韓国の打撃屋パク・ジョンウンのラッシュに試合後思わず…
・PRIDEの遺伝子を持つ男・芦田崇宏王者奪取! RIZIN挑戦表明!!
・プロレスラー最強伝説崩壊も一昔、今再び出撃すべき根拠
12・23ディファ有明『DEEP 81 IMPACT』が終了した。メーンでは、判定の末の4-1で王座交代劇、ROADFCとDEEPの対抗戦は、4-0でDEEP側が勝ち越し、アッと云う間に世界展開するまでに急成長したROAD.FCに対し、一日の長をみせた。
こういった、当たり前に本誌に並ぶ「格闘技の記事」を、純プロレスファン読者の中には全く読まない方もいらっしゃるとの事だが、喰わず嫌いで観ないというのも勿体ない話だと思う。
晩年の故I.Y編集長の文章を読み返すと、勝負論から格闘技指向というものは感じられつつも、PRIDE、K-1の凋落を予見して、プロレスルールを大胆に取り入れた真剣勝負にも言及してらした。
永田、藤田の敗戦でプロレスファンが最強幻影から醒めてプロレスから離れていきつつあった時代にも関わらず、格闘技に裏切られて佐山サトルが辿り着いた『原点回帰』を10年以上前に先取りしていたともいえるもので、その慧眼には改めて舌を巻く。
今や飛ぶ鳥を堕とす勢いの新日本プロレスに牽引されるプロレス界が、一応は総合格闘技よりは隆盛をほこっていても、凋落の種は好調の時にこそ蒔かれるのが世の常。プロレスにないものが格闘技にある以上は、無視せずに、取り入れるべきこともあるはずだ。
なにしろRIZINは高田延彦が総括本部長を務め、今回お邪魔したDEEP佐伯代表は元はプロレス好きが高じてプロモーター、プロレスデビューまで果たしていてその原点はやはり猪木の異種格闘技やUWFでもあり、いずれにせよ総合格闘技は未だプロレスとは切り離せない。
DEEPは旗揚げ当時は鈴木みのる、ドスカラスJrがリングに上がったこともあるが、現在は基本的に各総合格闘技ジムで実力ある選手がデビューし、徐々にランクアップする形で、純粋に勝負論ある総合格闘技となっている。
そこは興行として考えるとやはり弱く、仮面女子デビューがあったJEWELESや、パンクラスとの対抗戦という解りやすいアピールポイントがあった24日の大阪に比べると、動員の面ではなかなか厳しくみえた。
最も、RIZINほどではないにせよ、14試合の長丁場、途中から来たり、ジムの生徒やその友人、知人など、お目当ての試合だけ観るスタイルのファンも多いようだ。
だが、実際観てみると、技術的な優劣の区別が付かないファンとしてはアンダーカードの方も秒殺あり、逆転劇ありと楽しめるはずで、第1試合から観るべきなのは悩ましいところ。
この辺りの総合格闘技の興行としての難しさは、K-1が再び盛り上がりつつあったり、同じプロレスファンだった木谷オーナーがKNCOK OUTというキックボクシングを旗揚げしたことは無関係ではないだろう。
ただ、運営側としても手をこまねいている訳ではなく、スタンディングでもケージ際で膠着しているとみればブレークになったり、ジャッジも引き分けをなるべく出さないように工夫されている点など、PRIDE時代で総合の知識が一旦途絶えた者としては新鮮な面も多かった。