【“闘ふ神主” 櫻木崇浩×安本晴翔インタビュー】
第9試合 4大メインイベントI 57.2kg契約 3分3R
“闘ふ神主”櫻木崇浩(武勇会/INNOVATIONフェザー級王者)
安本晴翔(橋本道場/INNOVATIONバンタム級3位、 REBELS-MUAYTHAIスーパーフライ級王者)
“闘ふ神主”櫻木崇浩インタビュー
取材・文:JAPAN KICKBOXING INNOVATION広報部
解説:“闘ふ神主”櫻木崇浩は、晩成型の堅実一途なファイターだ。そのファイトスタイル通り、どっしりとリングに根を下ろし、豊富な練習量をうかがわせる豊かなフィジカル力で前半押されようと後半盛り返す。現役神主であることも加えてキャラクターは十分。そんな闘ふ神主に突拍子もない試合オファーが舞い込んだ——。
——今回、「アマチュア史上最強」と鳴り物入りで1年半前のプロデビュー時、フライ級(50.8kg)で半年前にスーパーフライ級(52.16kg)タイトルを獲得した安本晴翔選手が、ここにきてフェザー級(57.15kg)でINNOVATION王者である櫻木選手に挑むというサプライズマッチとなりました。
ビックリしました!(笑)
——リングネームに “闘ふ神主”と入れ込み、実際の神主(※1)である常に冷静沈着な櫻木選手がそこまで驚かれるのを初めて見ました。
まったく意識の外のオファーだったので。自分の階級の前後くらいの好選手は「そのうちやるかも」とチェックしますが、安本選手のことは「アマで凄い選手がプロになってどこまでいくのかなあ」ってボンヤリと注目していたくらいで。
——このマッチメイクには、安本選手本人も驚かれていたようです。
そうですか(笑)。なにしろ17歳ですから「高校卒業から進学するとかして、そのうち成長してきたらあるかも」くらいに薄く思っていなこともない程度でしたからね。
——それにしても危険な相手でもあり、勝っても「階級が」と言い訳が立つだけにオファーを受けるにも迷いがあったのでは?
いや、即答でOKですよ。ただし、お話をいただいた藤岡会長も「これはハイリスクノーリターンの試合」と断じられていました。僕も同じく思います(笑)。ただ、だからといって断れば「高校生のスーパーホープから逃げた」と思われそうで、ならばやりますと。
——勇断だと思います。逆にこれまでオファーを断ったことはありますか?
仕事や怪我の都合でならありますが、相手や試合条件ではありません。
——階級上の選手と戦ったことは?
3年前に、今、ニュージャパンキックボクシング連盟のスーパーライト(63.5kg)級ランカーで日本拳法出身のMA-SHI選手とキャッチウェイトの62kg契約で試合をして判定勝ちしました。
——フェザー級(57.15kgから約5kgアップとなるとスーパーフライ級からフェザー級にあげる安本選手とほぼ同じ3階級アップです。どんな試合内容で勝利を?
正面から打ち合うわけにいかないと徹底してサークリングなどで動いてヒットアンドアウェーでいきつつ、要所では打ち合ったのですが、その前に喰らって危険なほどのパワーは感じなかったので打ち勝つこともできました。
——そんな経験を交え、この試合、どんな展開になるでしょう?
安本選手の巧さを僕が消す。これがテーマとなります。
——巧さを消す?
スピードとテクニック、アマ経験を合わせたキャリアでは、向こうが圧倒的に上回っています。そこは認めつつ、確実にこちらが上のフィジカル面、パワーやプレッシャーをいかに有効活用するかと。その細かなせめぎあいに注目していただきたいです。
——櫻木選手から見て安本選手はどんなファイターですか?
ポイントを取るのが非常に巧いと思います。攻撃が交錯する中、最後に一発乗せて印象を良くするとか、それが自然に身についている感じで。なんでもできるし、構えも変わる(スイッチヒッター)。本当にやっかいな相手だと思います。
——そんな相手の良さを消すと。
はい、例えば、僕が前に出ているとしても、そこの距離の取り方でどうプレッシャーをかけているかなど見てみてください。そして、例え前半にポイントを取られても最後に取り返して勝利するのは僕です。
——関係者評価の高い安本選手を破れば、その先もチャンスが広がりそうです。
WBCムエタイ日本王座、これがなんとしてもほしいです。この夏、WBCムエタイ日本スーパーフェザー級王座決定トーナメント準決勝戦で浅川大立選手に判定負けしてしまいましたが、やはり僕はフェザー級こそがホームなのだと確認もできました。そして、安本選手を倒せたら、是非、KNOCK OUTに注目していただきたいです!
——今回の取材は、恒例の神主エピソードがほとんど出ない具合となりましたが、そちらはいかがでしょうか?
年末年始は、最繁期なのでその準備に追われています(笑)。
——また、プライベートも充実されているとか。
昨年結婚して、今夏、娘が生まれました。今回が赤ちゃんを授かって初めての試合ですけど、はやり頑張ろうって気持ちがプラスアルファされる気がします。
——ハイリスクノーリターンと言われながらもモチベーションは高そうです。
我、フェザー級の守護神と為りてここは通さじ!
インタビュー後感想:常に冷静沈着な櫻木も驚くこのマッチメイク。確かに櫻木サイドから見れば、ハイリスクノーリターンのようだが、選手本人はそうと捉えておらず、むしろチャンスだと思っているように感じるほどモチベーションを高く感じた。「巧さを消す」宣言に沿った戦術にも注目したい。
※1 実際の神主 櫻木は、香川県高松市の廣田八幡神社に生まれ育ち、國學院大学神道文化学部神道文化学科を卒業し、明階(めいかい/神主の高階位)を得て、実家で宮司(ぐうじ/神社の長)の父の下、禰宜(ねぎ/宮司をサポートする役割)を務める正真正銘の神主である。
“闘ふ神主”櫻木崇浩のプロフィール
リングネーム:“闘ふ神主” 櫻木 崇浩
フリガナ:“タタカウ” サクラギ タカヒロ
所属:武勇会/JAPAN KICKBOXING INNOVATION
生年月日:1986年5月24日(31歳)
出身地:香川県高松市
身長:164cm
戦型:オーソドックス
デビュー年月日:2010年12月19日
戦績:23戦12勝(1KO)8敗3分
ステータス:INNOVATIONフェザー級王者、WBCムエタイ日本フェザー級5位
ブログ:https://ameblo.jp/takahiro0524/
Facebook:https://www.facebook.com/shrinefighter
Twitter:https://twitter.com/shrinefighter
“PLATINUM”安本晴翔インタビュー
取材・文:JAPAN KICKBOXING INNOVATION広報部
解説:アマチュア最強の実績を誇る安本は、中学卒業からすぐプロに転向し無敗を貫きエリート街道を突き進んでいる。約1年半前のデビュー時は、最軽量級のフライ級(50.8kg)だったものの、次の試合はフェザー級(57.15kg)。まるでボクシングの怪物“パックマン”マニー・パッキャオのような極端な成長ぶり。その体躯にあわせて夢も広がっていく——。
——今年6月11日、スーパーフライ級(52.16kg)のタイトルを獲得した安本選手が、まさかのフェザー級のINNOVATION王者と対戦。これには、驚きました!
自分もです!(笑)
——20kg台だった小学生のアマ時代から階級を上げながらあらゆるベルトを獲り続け“24冠王”鳴り物入りのフライ級(50.8kg)プロデビューが一昨年の6月1日。そこから1年で1階級アップは、17歳の成長盛りなだけに普通のことだと思いますが、次の半年で4階級アップとは、なんぼ何でも無茶な……しかし、身長は、相当、伸びて身体つきも厳つくなっているのは見て取れます。
もう、スーパーフライ級は、無理っす。バンタム級(53.52kg)も厳しいなぁ。55kgからスーパーバンタム級(55.34kg)がいい感じです。身長は、今、173cm位あると思います。このところ続けてきた筋トレの成果が出てきたのか、自分がデカくなってる自覚もあります。
——フェザー級で試合をするにあたって減量幅は?
3kgくらいですかね。「明日試合だ」と言われても簡単に落とせます(笑)。
——そして何より相手はINNOVATIONフェザー級王者の“闘ふ神主” 櫻木崇浩です。
仲のいい岡山ジムの翔貴選手と2度やっているのを見ています。問題ありません。
——どんな試合になりそうですか?
パワーやプレッシャーは未知数なので、そこに気を付けながら圧倒的に勝ちます。
——その未知数の部分に不安は?
普段、町田さん(町田光/スーパーフェザー~ライト級)、悟さん(橋本悟/スーパーライト~ウェルター級)などと練習しているから階級上の相手の感じは解ってはいるつもりですけど、本番の試合とはまた別の部分があるので気持ち引き締めます。
——それにしてもアマでこれ以上ないほどの実績を上げて無敗街道を突き進む安本選手が55kgから上の舞台に乗り込んでくるとなると、ファンは、あらゆる夢の対決を想像してしまいます。
強い人とドンドンやりたいです!
——気になる選手はおられますか?
この前(11月23日)、RISEのDOAトーナメント(57kgで開催された8選手によるワンデイトーナメント)で優勝した内藤大樹(SB日本スーパーバンタム級王者)選手とか。
——非常に興味ある一戦ですが、内藤選手は、ホームリングがシュートボクシングなだけに敵地に乗り込んで投げ技や絞め技がOKのSBルールでやらなくてはならないかもしれません。
大丈夫です。アマSBには出ていましたから経験はあります。
——ルールに関しては、ヒジ打ちありのムエタイ系から首相撲制限ありのK-1ルール系まで幅広くこなされている印象があります。
どっちでも問題ないです。
——そうなると日本を代表するスーパースター、那須川天心選手や武尊選手との試合まで想像してしまいます。
恐れ多いけど、やりたいです。ただ、口には出すのは簡単だけど、そんな資格はまだないと思っているので、自然と声をかけられるまで認められれば。武尊選手、スゴいやりたいです。天心選手は、今は敵わないかな。でも、いつかは。
——ルールお構いなしというと色々な展望が出てきますが、無限に強豪が渦巻くムエタイについてはいかがでしょう?
スゴくやりたいです。今年、友人の馬木愛里君の応援でルンピニースタジアムに行ったんですけど、あの雰囲気、とんでもない圧がある空気の中、あのリングに上がりたいなってめちゃめちゃ思いました。
——ムエタイの無間地獄にまで足を踏み入れる覚悟があるなら、極端な想像ですが、“日本ムエタイ界の至宝”梅野源治との一戦まで想い馳せてしまいます。
あ、やってみたいです! 身体が大きくなって、その資格があるなら是非!
——梅野選手は、今やライト級(61.23kg)を超える中量級の雄ですが、そこまで行く間に、一体、どれだけのベルトを巻いていることか。
機会をいただけるならどんなタイトルマッチにも挑みたいですけど、チャンピオンベルトを巻くことが目的ではないので、とにかく強い人とやれて、結果、ついてくるならなんでもほしいって感じです。将来は、MMAだってやってみたいし。
——MMA!? 那須川選手のようにそれを見越して練習しているのですか?
いや、全然(笑)。かなり先々の話ではありますけど、いつかはやってみたいなって。けど、まずは櫻木戦。ここでしっかりいい勝ち方を見せて次につなげます!
インタビュー後感想:17歳のプラチナホープは、無口でシャイなことで取材者泣かせなことが多い中、今回、非常に雄弁に機嫌良く語ってくれたのは、過酷な減量から解き放たれたストレスフリーによるものではないかと思われる。所属の橋本道場関係者から聞くだにスーパーフライ級あたりの減量はあまりに酷で、安本選手本来のパフォーマンスが全開になった試合がまだないに等しいとのこと。ならば、極端な今回のフェザー級でどんな動きが飛び出すのか? 相手は、苦労人かついぶし銀の王者、櫻木だけにその進化を問うに十分なサプライズマッチとなった。
安本晴翔のプロフィール
リングネーム:安本 晴翔
フリガナ:ヤスモト ハルト
所属:橋本道場/JAPAN KICKBOXING INNOVATION
生年月日:2000年5月27日(17歳)
出身地;東京都東大和市
身長:173cm
戦型:スイッチ
プロデビュー:2016年6月1日
戦績:9戦8勝(2KO)1分
ステータス:REBELS-MUAYTHAIスーパーフライ級王者
Facebook:https://www.facebook.com/profile.php?id=100006005472177
Twitter:https://twitter.com/kick__777
■ Champions Carnival 2017 III
主催:JAPAN KICKBOXING INNOVATION
日時:2017年12月17日(日) 開場16:00 開始16:30
会場:東京・ディファ有明
<第12試合 4大メインイベントIV INNOVATIONライト級王座決定戦 3分5R(延長1R)>
櫻井 健(習志野ジム/同級1位)
vs.
翔・センチャイジム(センチャイムエタイジム/同級2位、WMC日本&ムエタイオープン同級王者)
<第11試合 4大メインイベントIII 65.5kg契約 3分3R>
健太(E.S.G/WBCムエタイ日本統一ウェルター級王者)
vs.
前田 将貴(RIKIX/ルンピニージャパン・スーパーライト級王者)
<第10試合 4大メインイベントII 53kg契約 3分3R>
岩浪 悠弥(橋本道場/INNOVATIONバンタム級王者)
vs.
山田 航暉(キング・ムエ/WMC日本スーパーフライ級王者)
<第9試合 4大メインイベントI 57.20kg契約 3分3R>
“闘ふ神主”櫻木 崇浩(武勇会/INNOVATIONフェザー級王者)
vs.
安本 晴翔(橋本道場/INNOVATIONバンタム級3位、 REBELS-MUAYTHAIスーパーフライ級王者)
<第8試合 フェザー級 3分3R>
アトム 山田(武勇会/INNOVATION同級5位)
vs.
真沙希(VERTEX/NJKF同級6位)
<第7試合 フェザー級 3分3R>
タイガ(HOSOKAWAジム/INNOVATION同級6位)
vs.
髙石 楽(マスターズピット/INNOVATION同級7位)
<第6試合 ライト級 3分3R>
MIDORI(習志野ジム/INNOVATIONスーパーライト級7位)
vs.
JOKER(花澤ジム/INNOVATIONライト級8位)
<第5試合 WBCムエタイ日本統一ランキング査定マッチ 65kg契約 3分3R>
マリモー(キングジム/NJKFスーパーライト級9位)
vs.
加藤 剛士(Axspear池袋/元WPMF日本スーパーライト級王者)
<第4試合 2017年INNOVATION新人王トーナメント・フェザー級決勝戦 3分3R(延長1R)>
ギャラクシー 黒川(武勇会)
vs.
ユウト(拳鬼会)
<第3試合 スーパーライト級 3分3R>
宮本 佳典(橋本道場)
vs.
森 昌典(Club TOSHI)
<第2試合 フェザー級 3分3R>
鈴木 孝則(総合格闘技TRIAL)
vs.
吉田 凛汰朗(VERTEX)
<第1試合 59kg契約 3分3R>
海登(光ジム)
vs.
清水 佑太郎(Club TOSHI)
チケット料金:SRS席12,000円、RS席10,000円、S席7,000円、A席5,000円 ※当日券は各席500円増し。 ※当日アマチュア出場小中学生はプロ観戦チケット(自由席)を2,000円でお求めいただけます。
チケット販売所:チケットぴあ(http://t.pia.jp)、参加各ジム、各選手
お問い合わせ:JAPAN KICKBOXING INNOVATION興行本部 TEL 043-247-0112
公式サイト:http://kick-innovation.com
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