[ファイトクラブ]永遠のすれ違い 「天龍VS前田」の浪漫 ~その2 思考実験編~

[週刊ファイト12月7日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼永遠のすれ違い 「天龍VS前田」の浪漫 ~その2 思考実験編~
 by 立嶋 博
・マエ・タカはこうして、全日本マットと日本テレビの画面に登場する!
・ブッカーとして、経営者として。前田日明の「トリセツ」
・遂にゴング!熱戦をどこよりも早く実況リポート!(ファンタジーです)


 前号では、実際には行われなかった天龍源一郎と前田日明の対戦が、実現できるチャンスはなかったか、を検証した。
 そして第一次UWF崩壊後、SWS設立時、そしてリングス時代にも訪れたその機会を俯瞰し、状況を整理分析した。

 ただ、繰り返しとなるが、筆者は1986年前後、第一次UWF崩壊後に新日本との対抗戦を行っていた頃の前田日明こそ、肉体的な全盛期であったと考える。
 その時期は天龍源一郎にとっても、鶴龍コンビ、外敵・長州力との抗争、さらには龍原砲や天龍同盟結成を経て遂にその真価を発揮し、まさに日本を代表するレスラーに上り詰めた絶頂期に当たる。
 よって、もし天龍VS前田の架空戦記を娯楽作品として描くとしたら、SWS等のことは忘れ、舞台をこの時期だけに絞って推敲を進めるべきだろう。

 もしも、前田日明と高田伸彦(延彦)があの時、全日本に登場していたら……。
 以下、思考実験をしばし。

▼[ファイトクラブ]永遠のすれ違い 「天龍VS前田」の浪漫 ~その1 歴史検証編~

[ファイトクラブ]永遠のすれ違い 「天龍VS前田」の浪漫 ~その1 歴史検証編~

 マエ・タカはこうして、全日本マットと日本テレビの画面に登場する!

 当時の前田と高田にはテレビ局との契約はないから、馬場は移籍初日に二人をサプライズ登場させ、前田に得意のマイクパフォーマンス(滑舌は悪いけれども)をさせただろう。彼にスタン・ハンセンのような乱入アジテートは似合わない。

 タイミングはメイン前。この日のメインに「鶴田・天龍組VS長州・谷津組」という「俺たちの世代」的カードを組んでおき、四人の入場前に突然「UWFのテーマ」を流して高田、前田を呼び込む。
 二人のマイクの後、メインの試合中にいろいろとアングルの種を蒔いておき、ラッシャー木村、剛竜馬の「元UWF」勢も巻き込んで前フリ完了。
 祖国を失い、総難民化した日本人が曠野を走る貨車に積み込まれ、どことも知れぬ外国に送られていく、あまりにも悲惨な藤岡弘版「日本沈没」のラストシーンのように、根無し草となった前田・高田と国際血盟軍は、やがて心ならずも手を結び、強大な全日正規軍、ジャパン軍と三つ巴の抗争を展開していくのだ。

 ブッカーとして、経営者として。前田日明の「トリセツ」

 馬場がこの形を選んだのは、抗争の図式を単純化するためと、存在感が薄い国際血盟軍をジョバーとして今一度光らせるため、そして外様中の外様である前田、高田に、ひとまずは良いポジションを与えないためである。
 実際、メインは鶴田、天龍、外国人、長州、そして馬場で賄えているのだし、三沢タイガーやカブキも控えていてファイトスタイルが異なる前田を割り込ませる余地がない。見た目が良くて技も切れる高田は三沢の好敵手として小林邦昭と併用できるからアンダーカードの充実が図れるが、前田をいきなり上で使ってデビアスやウォリアーズ、馬場あたりをキックとサブミッションでガンガンに追い込んだりされると、彼らの商品価値がガタ落ちになって非常に困るのである。
 さりとて前田が十六文キックで大げさに吹っ飛んだりすれば、今度は前田の商品価値がなくなってしまう。序列と座標が明確な全日本的世界観では外様の扱いは慎重にならざるを得ないが、基本的にヒールができない前田にはポジションに特に気を遣わなくてはならない。

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