8月11日の後楽園ホール大会に来場し、征矢学たちとのやり取りの中でUWA世界6人タッグ王座に挑戦することになった火野裕士。その場にいたMAZADAを強制的にパートナーに選び、あと1人を探すということになっていたが、翌日には河野真幸がチームに加わることが発表されていた。唐突なUWA挑戦になった河野の心境はどのようなものなのか?話を聞いてみた。
──UWAの世界6人タッグ選手権を9.2横浜文体でやることが決まりました。火野選手とMAZADA選手とトリオで挑戦することになりましたけど、これは8.11後楽園大会のリング上で火野選手と征矢選手のやり取りでタイトルマッチをやることが決まってしまって、パートナーのいない火野選手が誰かを探すということになったんですよね。そして、リング上で強制的にMAZADA選手が決まり、あと1人をどうするかっていう話だったんですけど、結局河野選手になったんですね。
河野真幸選手
「いやあ、メインで負けたあとの控え室で火野くんに声をかけられたもんでね(笑)」
──まあ、大会まで日もないし、近藤選手はカズ選手と一緒にW-1タッグ王座に挑戦するっていうことがリング上で決定してしまったので、残る選手で実力的なことやキャリア的なことを考えると自ずと河野選手っていうことになったんですかね(笑)。
河野真幸選手
「それはあるでしょうね。あと、僕は岩石担当でしょ?」
──岩石担当?
河野真幸選手
「火野くんはいきなり挑戦してこいって言ってきた征矢の担当でしょ?で、MAZADAさんはNOSAWAさん。ということは、残る岩石を誰が担当するか?前の2つが五分だとすると、岩石を倒せば勝ちになるわけですからね」
──なるほど(笑)。そこで岩石選手を確実に倒せそうな人間をチョイスした結果、河野選手になったんですね。
河野真幸選手
「そうでしょう。と、僕は推測していますけどね(笑)。あくまで僕の推測です。実際に火野くんが何を考えているかは知りません。でも、僕的にも転がってきたチャンスを逃す手はないですからね。ここでベルトを獲ればまたW-1の最前線に行くチャンスだし。この間W-1タッグで失敗しましたから、UWA6人タッグでもう一度最前線にいけるようにがんばらないと」
──まだまだ最前線から引くつもりはないと。でも、タッグのタイトルマッチはいかがでしたか? 土肥熊とは3回目のタイトルマッチでしたよね。
河野真幸選手
「また調子に乗らせてしまいましたよね、彼らを。ただ、熊のセントーンはきついなあ。あれだけ俊敏に動くとは思わなかった。普段からあれぐらいは動けバカ野郎! って感じですけどね(笑)。いやあ、やられましたなあ。チームとしてちゃんと機能していましたからね。だから、戦前に思っていた若さゆえの悪いところではなく、いいところが出てしまいましたね。なんか勢いでいけるっていうのを感じちゃいましたね」
──勢いで押し切られたっていう感じなんですか?
河野真幸選手
「噛み合った時の爆発力は凄いなと思いましたね。土肥にしても熊にしても」
──でも、このままでは引き下がれないということですよね。
河野真幸選手
「若い世代の障害物としては彼らの手かせ足かせになっていかないといけないですよね。すんなりと世代交代してもおもしろくないですから。まあ、ちょっとここのところ負けてるんで、すぐには言えないですけど、引き下がりはしないですよ」
──まずは6人タッグのほうで実績を作っていこうと。
河野真幸選手
「そう。これは転がってきたチャンスなんで、もらえたチャンスに対して藁にもすがる思いでしがみついて努力しますよ」
──今回、火野選手とMAZADA選手のトリオですけど、これはどういうトリオですか?端から見るとかなり強力なトリオですよね。元W-1王者が2人いて、もう1人は元クルーザー王者というトリオですからね。
河野真幸選手
「うまくハマれば強いチームになりそうですけどね。MAZADAさんが司令塔になって、僕ら2匹の猛獣を使うというね。だから、MAZADAさんが黄門様なら、僕らは助さんと格さん」
──ああ、そういうイメージがありますか。
河野真幸選手
「なんとなくそういう感じになりそうじゃないですか?MAZADAさんは頭がいいし、司令塔となって指示を出してくれれば僕は動きます(笑)。勝てる戦略を与えてくれればね。MAZADAさんとは遡ればブードゥー・マーダーズで一緒でしたからね。当時はいろいろアドバイスももらったし、ヒールとしての仕事も教わりましたよ。そういう部分でも信頼しているんで」
──信頼して動けると。火野選手とはあまり組んでいるイメージがないですけど。
河野真幸選手
「特に接点はないですね」
──帰ってきたらリアル・デスペラードがなくなっていたとぼやいていましたね。
河野真幸選手
「あ、僕はデスペラードですからね。リアルのほうじゃないですから」
──ああ、河野選手がデスペラードから追放されて、それからリアル・デスペラードになったんですよね。
河野真幸選手
「でも、リアル・デスペラードさんもKAZMA SAKAMOTOが辞め、土肥が熊と組み始め、NOSAWAさんも東京愚連隊があるという状況で、呼ばれてきたけど火野くんもひとりぼっちということになっちゃいましたからね」
──なるほど。王者組に対してはどのようなイメージがありますか?
河野真幸選手
「どこかのモロパクリで学ジャパンとか言ったり、無茶苦茶なチームですよね。3人が3人とも言っていることが無茶苦茶ですからね。分析しづらいですよ。僕としては征矢と会見をするだけで大変だから。あいつの言っていることはいちいちツッコミどころしかないし、横にいる岩石もよくわからない」
──岩石選手はそれほどしゃべる人ではないですけどね。
河野真幸選手
「吠えてるっていうイメージしかないから」
──床や木に頭を打ち付けて(笑)。
河野真幸選手
「そうそう。頭の細胞を自分で殺してね。あんなことしてたらバカになっちゃうよ。NOSAWAさんはNOSAWAさんで裏でいろいろ考えて動いてそうだし、一筋縄ではいかない曲者感があるじゃないですか?だから、3人が3人とも面倒臭い」
──だけど、その面倒臭い3人ですでに3度の防衛をしていますよ。
河野真幸選手
「だから、チームとしては強いんでしょうね。うまく機能しているっていうことですからね。ちゃんとそれぞれが役割を果たして、勝利につなげている。負けられないね」
──では、こちらのチームの強みはなんですか?
河野真幸選手
「寄せ集め(笑)。でも、みんなキャリアがありますから合わせられますよね。3人が3人とも普段通りやれば勝てるような気がしますけどね。火野vs征矢、MAZADAvsNOSAWAという図式がある中で、俺が岩石を相手にどれだけ貯金を作れるかによってチームの貯金も作れるから。頭突きだけには注意して。あとクルクル回ってやる関節技ね」
──岩石選手はブラジリアン柔術やってましたからね。でも、まだデビューして1年経ってないですけど、力をつけてきたという実感はありますか?
河野真幸選手
「あいつはちゃんと練習していますからね。僕の考えでは上手いとか下手とかよりも、練習をきちんとしていることが大事だと思うんで。きちんと練習している奴は下手くそでも僕は認めます。まあ、ACEの奴らも三富くんとかにいろいろ言われて大変らしいけど、練習はしっかりしています。だから、合同練習でも『お前らナメられんなよ!』って特訓中ですよ」
──なるほど。河野選手も若手の障害物になったり、教える立場になったり大変ですね。
河野真幸選手
「ただ、そうやって教えることによって昔、先輩に言われたことや師匠のケンドー・カシンさんに言われたことを思い出すんですよね。若手の奴らを見たり、あるいは闘ったりしている中で、忘れちゃいけないことを日々思い出している37歳ですよ」
──ただ、今回の文体は若い人たち同士のタイトルマッチも多いですけど、このUWAは岩石選手以外はベテラン勢が集まっているわけですから、一味違う試合を見せてほしいですね。
河野真幸選手
「オッサンにしかできない試合もありますからね。そこはがんばりますよ。文体で終わるお話もありますけど、文体から始まるお話もありますから。僕も文体からお話を始められるようにがんばります」
「爆発した稲葉大樹を出さないと僕が適当に手のひらで転がして終わる試合になります」9.2横浜文体で稲葉と因縁の決着戦!!芦野と結託した児玉裕輔の真意とは!?
8月11日の後楽園ホール大会で稲葉大樹と対戦した児玉裕輔は、元パートナーに対し、「お人好しにはプロレスラーは向かねえから辞めちまえ」「プロレスラー人生を懸けろ」などと辛辣な言葉を投げかけた。9.2横浜文体では稲葉の意向が受け入れられ、シングルマッチで対戦することが決定。児玉はなぜ稲葉とNEW ERAを裏切ったのか? そして、どのような気持ちで稲葉とのシングルマッチに挑むのか? 話を聞いた。
──児玉選手が芦野選手と結託したのは7月12日の後楽園大会でしたけど、あの行動は以前から考えていたことなんですか?
児玉裕輔選手
「考えていましたね。だから、あの時に芦野が言ったように、僕は稲葉のことを好きでもなんでもなかったということですね」
──好きじゃなかった(笑)。いつ頃から考えていたんですか?
児玉裕輔選手
「まあ、芦野が復帰して自己主張を始めた時からおもしろいなとは思っていましたね」
──芦野選手が復帰したのは昨年の12月ですよね。だから、結構早い段階で頭にあったということですよね。ということは、稲葉選手に対してストーカー的な行動を取っていろいろと頭を悩ませるようなことをしていたのも計画的だったということですか?
児玉裕輔選手
「なんか普通に芦野に合流してもおもしろくないし、ちょっとNEW ERAを荒らして出ていこうかなと思って」
──相当荒らされたと思います。ただ、稲葉選手やNEW ERAに対しては割りと早い段階で見切りをつけていたということになりますよね。
児玉裕輔選手
「最初は良かったんですけど、途中からテーマがぼやけたじゃないですか? それが一番おもしろくなかったというか、いてもこれ以上おもしろいことはないなと思ったんですよね」
──W-1を若い力で良くしていこうというテーマが児玉選手に響かなくなってしまったと。
児玉裕輔選手
「響かなくなったというよりは、NEW ERA自体が目標に向かって突き進んでいく感じが見えなくなっていたんですよね、僕の中では」
──でも、一時期、みんなでベルトを獲ったりしたわけじゃないですか?
児玉裕輔選手
「そこだけですよね。目標に向かっていたのはあそこまでだったと思います。あとは比較的若い世代の集団? ただそれだけの集団になってしまった感じがしたので、このままいてもおもしろくないなというのはありましたね」
──まあベルトを獲ったことによって、各々が先に見据えるものがバラバラになってしまった感じなんですかね?
児玉裕輔選手
「まとまってなかったですよ。そうなったら、いてもしょうがないじゃないですか?」
──なるほど。それで、そうなった責任はリーダーである稲葉選手にあるということになるんですかね?
児玉裕輔選手
「もちろんそうですよね。リーダーなんですから。最初は『しっかりしろよ』って思っていたんですけど、途中から『もういいや』ってなっちゃったんですよ。だから、『俺がわからせてやる!』っていう気持ちになりましたね」
──中を引っ掻き回していたのは『お前じゃまとまらないよ』っていうのを思い知らせるための行動だったということですか?
児玉裕輔選手
「そうです。児玉裕輔1人抑えられなくて、何がリーダーだっていうことですよね」
──それは稲葉選手のリーダーシップを試していたところもあったんですか?
児玉裕輔選手
「はい。どう動くのかなって思いながらやっていたところもあるんですけど、結局どうにもならないんで見切りをつけたという感じですよね」
──なるほど。逆に芦野選手のどういう部分に共感したんですか?
児玉裕輔選手
「いいか悪いか、善か悪か、正しいか正しくないかということは関係なしに自分の信じていることに対してブレていないのを感じたんですよね。『彼が言っていることは正しい』とか、そういうことには僕は興味はないんです。自分が持っている信念に対して、ブレないっていうのが一番重要なんじゃないかなと思うんですよ。そういう芯の強さが芦野からヒシヒシと伝わってきたっていうことですよね」
──自分の目標に対してまっすぐ向かっている姿勢に共感したと。
児玉裕輔選手
「そうです。あの感じはしびれますね。年下だし後輩ですけど、だからこそしびれるというか、おもしろい存在だなと思いましたね。まあ、一緒に試合に出る時とかはどっちかっていうと自分は後ろから支えたいっていう思いがありますよね。今、芦野がベルトを持っているっていうのもありますけど、彼はこれからさらにW-1の中心になる人物だと思うんで、自分の信念に対してブレない姿をお客さんにも見せてあげたい。それを後ろから支えたいし、そっちのほうが僕にとってもおいしいんじゃないかなって」
──稲葉選手とはだいぶ性格が違いますもんね。
児玉裕輔選手
「違いますね。やっぱりベルトを巻いたり、W-1の中心になっていく人間っていうのはああいう感じなんじゃないかなと思いますね」
──稲葉選手のようなお人好しでは務まらないということですか?
児玉裕輔選手
「僕はそう思います。もちろん稲葉についていく人はいると思いますけど、僕の性には合ってないということですね」
──なるほど。9.2横浜文体では一騎打ちが決定しましたけど、凄く辛辣な言葉を投げかけているじゃないですか? 「負けたらレスラーを辞めろ」とか。これはどういう気持で発しているんですか?
児玉裕輔選手
「横浜文体の大会はW-1の最大のビッグマッチじゃないですか? このまま普通に仲違いした2人が闘いますっていうだけじゃおもしろくないし、お客さんにも響かないですよ。こっちは本気なんで、稲葉にもそれ相応の覚悟をもって文体に来いという意味も込めて、ああいうことを言ったんですけどね。まあ、それだけの覚悟がなければ僕が普通に勝つと思いますし、その覚悟で来るなら、凄い試合になると思うし」
──8.11後楽園大会で対戦した時のような感じだと、物足りないということですよね。
児玉裕輔選手
「もっと自分を剥き出しにして向かってきてほしいですよね。やっぱりいい子ちゃんでまとまっちゃってるというか、無難な感じで試合をしてますよ。何を気にしているのかわからないけど、周りから何か言われることを恐れたり、周りの顔色を伺っているような感じがしますよね。それじゃあ普通の人と一緒ですよ。プロレスラーは人目に触れる職業なんだし、自分の主張を周りに納得させるだけの説得力がないといけないと思うんですよ。簡単に言っちゃうと気合いみたいなもんですよね」
──稲葉選手にはその部分が欠けているんじゃないかということですか。
児玉裕輔選手
「ないですよね。だから、それが心の弱さだったり、お人好しな部分だと思うんですけど、そこを取っ払って自分を剥き出しにしてガーッと向かってきてほしいなって思いますね。稲葉は過去に無差別のベルトを巻いてましたし、W-1の中心人物にならなきゃいけないし、なるべき人間だと思っているんですよ。でも、今のままだとそうはならないですよね」
──なるほど。辛辣な言葉を投げかけるのも、実力的な部分は認めているからこそということですね。
児玉裕輔選手
「弱いとは思ってないですから。でも、鍛えた身体とか技がどうとかっていうより、もっと大事な部分がプロレスにはあると思うんですよね。それが芦野のような自己主張だったり、ブレない姿勢だと思うんですけど、それこそがお客さんの心を動かすんだと思うんですけど、稲葉のプロレスはお客さんの心に届いてないんだと思います」
──それはW-1がこれからさらに良くなるためには稲葉選手が覚醒しないといけないという気持ちもお持ちなんですか?
児玉裕輔選手
「それはちょっとありますね。ただ、それができないのであれば、僕が稲葉大樹をさっさと倒して、芦野たちと一緒に新しいW-1を作っていこうかなと思います。だから、文体は稲葉大樹の覚悟を図る試合になるんじゃないですか?」
──それがないなら文体で終わらせてやるということですね。
児玉裕輔選手
「W-1に必要ないですから。そういう意味も込めての『辞めちまえ』ですからね。だから、稲葉は僕よりも身体もデカイし、身体能力でいったらあっちのほうが上ですけど、今のままなら勝つのは僕です」
──稲葉選手は児玉選手のことを理詰めで曲者的なプロレスをしてくるって言ってたんですけど、そういう児玉選手から見て、今の稲葉選手は攻略しやすいですか?
児玉裕輔選手
「攻略しやすいですね。NEW ERAを出ていく時にも簡単に手のひらで転がしてましたからね。試合もああいう感じになるんじゃないかなと思います。お人好しじゃないところっていうか、爆発した稲葉大樹を出さないと僕が適当に手のひらで転がして終わる試合になりますよ。そういう試合にする自信もあります」
──今のお人好しのままではまったくやりがいがないと。
児玉裕輔選手
「闘牛士のようにひらひらと操って終わりです」
──わかりました。あと一つ、8.11後楽園大会のリザルトチャンピオンシップが反則絡みの荒れた試合になったので、Enfants Terriblesが他の試合でもあのようなことをしてくるんじゃないかという憶測もあるんですけど、それについてはどうですか?
児玉裕輔選手
「ああ、それは絶対にやらないですよ。稲葉戦ではそんなことは絶対にやらない。以上です」
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