ケン・片谷『メシとワセダと時々プロレス』②47歳で早稲田大学入学

皆さんこんにちは。「メシとワセダと時々プロレス」の第2回です。

2015年4月1日。この日は、オイラの人生で最も忘れることのできない特別な日となりました。
この日オイラは、念願であった早稲田大学人間科学部に入学しました。御年47歳。高校3年生だった18歳の時、初めて早稲田大学を受験してから実に29年の年月が経っていました。
そう、早稲田大学29浪です(笑)!

もちろん、29年間毎年早稲田大学を受験していたわけではありません。その間普通に他大学を卒業し、社会人となり、プロレスラーにもなりました。
実は、早稲田大学はオイラにとって三校目の大学となります。ではなぜ今さら早稲田に?と思われる方も多いことでしょう。

いつの日からか、オイラは早稲田大学に強い憧れを抱くようになりました。日本の私学の雄であることは言うまでもありませんが、その自由な校風が故、多くの有名人・著名人を輩出しています。
オイラの尊敬する青島幸男さん(放送作家=元東京都知事)、タモリさん(タレント)、サンプラザ中野くんさん(ミュージシャン)、デーモン閣下(悪魔)、そして大好きな阪神タイガースの岡田彰布さんらもみんな早稲田大学のOB(中退含む)なんです!
ただ、ご存知の通り早稲田大学は誰でも簡単に入れる大学という訳ではありません。憧れだけでは到底合格なんて夢のまた夢。
勉強は大の苦手。偏差値50そこそこの県立高校出身で、スポーツでも特別抜きん出た成績を修めたわけでもないオイラが、天下の早稲田大学に受かるはずなどありません。
結局二浪まで頑張りましたが、早稲田大学合格の夢破れT洋大学に進むことになったのです。

普通なら、晴れて大学生になったのですから、サークルに合コン、アルバイトと目の前には華のキャンパスライフが待っているはずでした。ところが、オイラは全くそんな気分にはなれなかったのです。
それどころか、自分の成績の悪さを棚に上げ、家でもふてくされてばかりいました。家族で囲む食卓もまるでお通夜!みんなオイラに気を遣って会話も生まれません。この時は、家族には本当に申し訳ないことをしました。

大学生活をエンジョイするどころか、強い学歴コンプレックスは、卒業後もずっとずっとオイラの背中に重くのし掛かることになります。
今だから言えることなのですが、実はつい最近まで浪人時代に使っていた予備校のテキストとノートを押し入れに大事にしまっていました。
『いつかまたこれらを使う日が来るのではないか?』
そう考えるとどうしても捨てることができなかったのです。早稲田大学に合格することこそが受験のゴール地点。つまり、早稲田に入るまで自分の中ではまだ受験は終わっていなかったのです。

そんなこんなで三たび送ることとなった大学生活。それまで背負ってきた“学歴コンプレックス”をついに払拭するチャンスが訪れたのです!
夢にまで見た早大生。実年齢は47歳ですが、気持ちは18歳です!ここでオイラは、大きな目標を掲げました。それは、社会人学生ということは一切忘れ、全て一般学生と同じことをしようということです。


その一つが入学式です。初々しい新入生と一緒についに待ちに待った入学式の日を迎えました。
あらかじめ、大学生協の購買部で買った、早稲田大学のネクタイを着用し準備万端!喜びを押さえきれないオイラは、居ても立ってもいられず、予定よりもかなり早く大学についてしまいました。
目の前にそびえ立つ大隈講堂。これまで何度も目にした光景ですが、今日だけは特別に見えます。ここでついにオイラは、込み上げてくるものに素直に反応してしまいました。なんと、人目を憚らず大泣きしてしまったのです!
ようやく苦労は報われた。諦めなければ夢は必ず叶う!これまでの29年間の苦難の日々が走馬灯のように脳裏を駆け巡りました。間違いなく今日からオイラの人生は変わるのです!

逸る気持ちを抑えながら、入学式の会場である記念会堂に向かいました。まだ時間も早かったので人影もまばらです。少しでも早く入場したかったので、誘導係と思しき方に『どちらに並んだら良いですか?』と訊ねたところ、返ってきた答えに思わずズッコケそうになりました!

『お父さんは2階ですよ!』

周りにはたくさんの親御さんが、息子や娘の晴れ舞台をひと目見ようと来場しています。それらの方々は、ちょうどオイラと同世代。オイラが“お父さん”に間違われても無理はありません!
さすがにショックは隠せませんでしたが、ここまでは想定内のこと。こんなジェネレーションギャップは、むしろどんどん楽しんでいこうと思います!

早い時間から並んだ甲斐あって、オイラは二列目のど真ん中の席を確保しました。最高のポジショニングです!
余談ですが、動画投稿サイトに今もこの日の入学式の様子がアップされています。終始「引き」の映像ですが、よく見ると前列に頭一個分大きな人物が映っています。もうお分かりでしょうが、まさにそれがオイラなのです(笑)!興味と時間のある方は、ぜひ探して見てください。

厳粛なムードで始まるのかと思われた入学式ですが、新入生の緊張をほぐすためかオープニングは応援指導部の演舞からスタートしました。
野球の早慶戦でもお馴染み、早稲田大学オリジナルの“コンバットマーチ”に続いては、両隣りの新入生と肩組みながら唄う、早稲田大学第一応援歌“紺碧の空”と、早稲田が世界に誇る“都の西北”早稲田大学校歌を全員で大合唱しました。ここでオイラは、二度目の号泣です!
もちろん、紺碧の空は二番まで、校歌は三番まで間違えずに唄うことが出来ました。中学三年の時に小遣いで買った『早稲田大学応援歌集』というLPレコードを毎日聴きながら受験勉強していたので、覚えていて当然です。しかし、周りの新入生は手元の歌詞を見たり、全く唄わなかったりしています。
きっと、大声でスラスラと唄うオイラのことを『このおっさん一体何者?』という目で見ていたことでしょう(笑)!

振り返ると、一日中泣きっぱなしだったオイラ。それでも無事感動の入学式を終え、47歳にして晴れて早大生になることができました!
しかしながら、まだ実感が湧きません。
今日から始まる大学生活ではどんなことが待ち受けているのか?
次回をお楽しみに!

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