[ファイトクラブ]極悪レスラーとは何か? ミスターポーゴと底が丸見えの底なし沼

[週刊ファイト7月6日号]収録 [ファイトクラブ] 公開中

▼極悪レスラーとは何か? ミスターポーゴと底が丸見えの底なし沼
 by タダシ☆タナカ
・記憶に残る凄いプロレスラーの定義
・ジャーナリスト裏取り取材の現場 日付間違いの修正作業から
・ミスターポーゴ3作目『醜いアヒルのワルツ』を毎週先行収録します

 記憶に残る凄いプロレスラーの定義として、怖い、恐怖を覚える選手というのがある。ミスターポーゴはそんなレスラーだった。会場に出向く子供のファンが、昭和プロレスの頃と比べてめっきり減ったとされる昨今のマット界ではあるが、特に貴方が幼少期においてミスターポーゴの試合を目撃したなら、夢にまで出てくる恐ろしい怪物の記憶が、永遠にインプットされたのではなかろうか。
 なにしろペイントした顔と太った佇まいを見ただけで異様である。その凝視されたら震えてしまう鬼畜な悪魔が、鎖鎌やノコギリで対戦相手の額や背中を切り刻み、チェーンを首に巻き付けてロープを使った絞首刑を実行するのみならず、火炎放射を浴びせる極悪非道の残虐さをリングで繰り広げるとなれば、子供のファンならトラウマになりかねない。いや、大人のファンだって、その強烈な個性に魅せられること間違いなし。だかこそ、海外でも、そして国内でも足掛け45年に渡りデスマッチの帝王であり続けた。

 力道山の時代、銀髪鬼フレッド・ブラッシーの噛みつき流血の惨劇がテレビ画面に大写しになると、老人のショック死が新聞紙上を賑わせた。昭和の時代にアブドーラ・ザ・ブッチャーがフォークを、ザ・シークが五寸釘をテリー・ファンクの腕や額に突き刺すと、ザ・ファンクスには女性ファンの親衛隊が結成された。平成プロレスにおいて、もっとも戦慄を植え付けた極悪ヒールはミスターポーゴである。凶器をタイツに隠し持つどころの騒ぎではない。ノコギリのような残忍な大型の武器が次々リングに持ち込まれ、大仁田厚を自称ギネス世界記録更新の千針縫う生傷を体中に刻むことにもっとも貢献したとなれば、ポーゴという大王様を語ることは、プロレスとは何かを探求する上で避けて通れない素材となろう。

 テレ朝の『プロレス総選挙』放送以来、紙媒体やネット上のブロガーなどは独自の投票ランキングに熱心のようであるが、やはり一般に知っているプロレスラーは誰かと尋ねれば、アントニオ猪木、ジャイアント馬場に次いで、バラエティー番組での露出も含めて大仁田厚がもっとも覚えられている名前なのではなかろうか。力道山という方もいるが、先駆者へのリスペクトは結構なことながら、日本のプロレスの底辺を大きく拡大したのは、やはりアントニオ猪木だと思う。そして一時、格闘技志向のUWFの出現含めて難しくなり過ぎたプロレスを、再び大衆路線に戻した意味合いからも、大仁田厚の功績を軽んじてはマット界の全体像が見えてないことになる。
 大仁田こそ平成プロレスの申し子だと定義するならば、プロレスは一人では出来ないのだから、宿命のライバルだったポーゴの「レスラーの生き様」を検証することは、底が丸見えの底なし沼を探求する「活字プロレス」継承者の使命とすら感じている。

ジャーナリスト裏取り取材の現場 日付間違いの修正作業から

 ミスターポーゴこと関川哲夫さんが、6月23日の昼過ぎに亡くなった。筆者とは、拙著『プロレス・格闘技、縦横無尽』(1995年、集英社)が出版された1995年春、確か週刊ポストだったと記憶するが、以下のグラビア特集で仕事させていただいたりはあったものの、懇意になったのはミルホンネットから2008年に『ある極悪レスラーの懺悔』を出版させていただいた頃からだ。これは山本ヤマモ雅俊さんから、「MIXIの日記が面白過ぎる。なんとかならないか」と、正式に紹介を受けてのことだった。これは翌年、講談社から『ある悪役レスラーの懺悔』として単行本になっている。
 以降、その2009年には『ブルーザー・ブロディ評伝』を上梓したが、現在も電子書籍のままなのは残念である。バーブラ未亡人名義の評伝は日本語訳も出版されているが、ブロディが日本人でもっとも親しく付き合っていたのは関川さんだった。
▼評伝ブルーザー・ブロディ 超獣の真実~暁に蘇れ

評伝ブルーザー・ブロディ 超獣の真実~暁に蘇れ


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