[ファイトクラブ]アイスリボン235 引退!悔い無き人生へアラサー女子の決断

[週刊ファイト6月8日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

▼アイスリボン235 引退! 悔い無き人生へアラサー女子の決断! 涙の10カウント・感動の大団円詳報。
 by こもとめいこ♂
・土壇場で「卒業」撤回は何故?納得の「らしい」エピソード。
・〜一番早く辞めるだろう〜見込みを覆した4年5ヶ月の軌跡
・恒例Y字にセクシーアピール。最後も通常運転。
・惜別のダブルニー! 同期世羅りさ相手に懇願の誘い受け。
・後継者トトロに託したビッグサプライズとは?

 伊集院光氏がトークで使う「人生は第2志望」という概念がある。
噺家を志して芸能を始めた氏が、廃業したものの話芸を磨き芸人としては大成。今や「ラジオの神様」と称されるまでになった人生を振り返っての言葉である。
 ほとんどの人は第1志望の道を外れてしまうが、夢破れた時に前向きに生きることで結果、成功に結びつけることができるというもの。
かつての、新日、全日、全日本女子による3団体時代、プロレスラーはまさしく「第1志望」の狭き門。希望者の多くは夢破れ、第2志望を選んで社会へ出ていった。だからこそ、「プロレスに就職します」との故・ジャンボ鶴田の言葉が奇異に受け止められたのだ。
だが時は流れ、インディーでは兼業プロレスラーが当たり前。
女子に関していえば、アイドルやタレントが思いがけずならされたり、第2第3志望でなってしまうことも珍しくなくなった。むしろそういったレスラーの方が知名度から人気があって集客で きたりする時代だ。
そんな中、第1志望の女優業に専念するために、4年以上務めたレスラーを引退する決断をした女子選手がいた。
 アイスリボンの235(ふみこ)である。
 2017年5月31日水曜日。

 235のプロレス卒業マッチが行われた蕨アイスリボン道場の模様をレポートする。

 その日、埼玉は午後に降雨の予報だったが、「31日は泣きません。笑って卒業します」と宣言 していた235に合わせるように、蕨に雨は降らなかった。
 通常でも満員の続くアイスリボン道場マッチ、卒業興行とあって平日にも関わらず当日券のない超満員札止め。235の旅立ちを見送ろうと、まさに立錐の余地がないほど立ち見の部分までぎっしり客席が埋まる。

 そして運命の第3試合、235に憧れてアイスリボンの門を叩いたトトロ組に続き、宣言通り笑みをたたえ、同期の世羅の後から入場してきた 235は、しかし先発でゴングが鳴ると涙を浮かべていた。

 重量級の2人を相手に、得意技のクロスボディアタック連発、ブレーンバスター5連発、世羅に抱えられ、振り回されての攻撃と攻め立てると、客席からも235への大声援で後押し。

 10分過ぎ、トトロとエルボーを打ち合って一進一退の攻防になり、235が自らを慕う後輩相手に有終の美を飾るのを会場が待つ。


 だがトトロのフォーリング・トトロ(ダイビングセントーン)で235はまさかのフォール負けを喫し、会場に「トットロトトロ」のテーマが鳴り響くなか抱き合う2人。
 思いがけない幕切れに唖然となる客席に向かって、世羅に抱えられた235が「みんなと試合がしたかった」と激白。

「今からやります。考えて千春さんに渡してあります」と宣言すると当然客席は大歓迎。
 コールされたまる子が入場して、延長の15人掛けがスタート。


 3人目、レフェリーの姿でやってきたテキーラ沙弥が自ら高速カウントを入れるが認められないと、今度はムーンサルトでしっかり3カウント。

 ハム子、もち、くるみ、世羅と立て続けにフォール負けを喫した235が、最後もリング上で大の字になり、つかさに破れて終わるかと思われたが、コーナーに昇ったところで場外から選手が駆け上がってロープを揺さぶり体制を崩させる。
 その隙に立ち上がった235が渾身の「チャド共和国(変形オクラホマロール)」を見舞うと、全員が身体を預けて勝利をプレゼントした。


涙を堪えて10カウントのゴングを鳴らした千春

 セレモニーで経歴を読み上げるうちに千春が嗚咽を堪え、235も感極まって涙が溢れる。
「自分はベルトを穫った訳でも無いし、何も実績を残して無いから引退なんておこがましいので卒業という形にしました」と語っていた235だったが「アイスリボンで引退できることが本当に嬉しいです」といいきった。
 これは、
「後ろめたく卒業なんて言葉使わないで、ちゃんと胸張って引退しろよ」
と、デビュー戦をコールした「味方冬樹リングアナ」のアドバイスがあったとのこと。

 そしてトトロにテーマ曲をプレゼントすると「4年5ヶ月、長いようですごい短くて、世羅ちゃんがいて、本当に、本当に楽しくて、濃くて、プロレスラーとしてリングに立てて本当に幸せでした。本日はお集まりいただきまことにありがとうございました」と締めくくって10カウントを聴くと、トトロ、つかさ、世羅の騎馬に乗ってリングを一周して「引退」となった。
 

 人間、年を重ねるにしても、30歳は大きな転換期となる。
 まして三十路という言葉さえ用意されている女性。「10の位の変化は大きい」と、77歳でのヘソ出しミニスカバースデーライブを広言する水樹奈々さえも語っている。
 後戻りのできない領域に踏み込む節目であり、夢を諦め、第2志望の人生を全うする決断を迫られる年齢でもある。
「30歳になったから女優は断念」
 それが普通の発想だ。
 諦めずとも、兼業レスラーが珍しくない現状、女優でレスラーでもなんの問題もないはずだ。
 235は裏方の仕事を完璧にこなしてくれるので、居ないと支障が出そうで不安になるぐらい、アイスリボンにとっては欠かせない存在だったという。

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