[ファイトクラブ]6月はベラトールNY大会でヒョードル、シウバがそろい踏みほか、 日本ファン注目の大会多数!

[週刊ファイト6月8日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

6月は、日本の総合格闘技ファンにとって注目の大会が多い。NYのMSGでのベラトールには、“皇帝”ヒョードル、ヴァンダレイ・シウバも参戦。元PRIDEヘビー級王者とミドル級王者がそろい踏み。UFCのNZ大会では元K-1王者ハントが“ロンダの婚約者”ブラウンをKOしたルイスと激突。同シンガポール大会ではロンダをKOしたホーリー・ホルムや、元PRIDEライト級王者・五味隆典も参戦する。

▼6月はベラトールNY大会でヒョードル、シウバがそろい踏みほか、日本ファン注目の大会多数!
 by 稲垣 收
・ヒョードルの相手は“復帰後最強の敵”ミトリオン
・ライアン・ベイダーがフィル・デイヴィスのベラトールLH王座に挑戦
・選手のUFC離脱の理由は?
・UFCのNZ大会ではハントvs“KOマシン”ルイス。廣田、国本も参戦!
・UFCシンガポール大会に元女王ホーリー、アルロフスキー、ドス・アンジョスら元王者と五味、憂流迦も出場


まずはニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンで6月24日(現地時間)に開催されるベラトール180を見ていこう。

この大会では元“PRIDEミドル級絶対王者”ヴァンダレイ・シウバvs“毒舌王”チェール・サネンの遺恨マッチが行われる。

両者はUFCに参戦していた当時から仲が悪く、UFCの登竜門的リアリティー番組『ジ・アルティメット・ファイター』(TUF)のブラジル版、『ジ・アルティメット・ファイター・ブラジル』シーズン3(2014年放送)でコーチを務めたが、番組収録中も激しく罵り合い、乱闘事件まで起こしていた。

そしてUFCで対戦が予定されていたが、シウバのケガなどで延期され、結局シウバがネバダ州アスレティック・コミッションのランダムなドーピング検査を受けることを拒否したため、「生涯出場禁止」処分が下された。これに対し、シウバは引退を宣言。

一方、2014年の夏、サネンもドーピング検査に失格し、2年間の試合出場停止処分となった。

シウバの「生涯出場禁止処分」は翌2015年、裁判で取り消しとなり、出場停止処分は3年に短縮された。その後シウバはUFCとの契約が解除され、2016年3月にベラトールと複数試合契約を結んだ。

シウバは2017年5月25日からアメリカで試合ができることになったわけだが、ネバダ州コミッションの出場停止処分は、日本での試合に関しては効力が及ばないので、シウバは2016年、RIZINの無差別級トーナメントに出場することにした。

このRIZINのトーナメントでミルコ・クロコップとの3度目の対戦が期待されたが、結局シウバの負傷のため、RIZIN出場はならなかった。

そして今回、ようやくアメリカでの出場停止期間も終わったので、晴れてベラトールに出場できることになったわけだ。

サネンの方も出場停止期間が終わり、2016年9月にベラトールと複数試合契約を結び、2017年1月のベラトール170のメインイベントで、元UFCライトヘビー級王者ティト・オーティズと対戦した。この試合でサネンはティトにわずか123秒で、チョーク・スリーパーによって一本負けしている。サネンにとって、この試合は、2013年11月のUFC167でのラシャード・エバンス戦以来、3年2か月ぶりの試合だった。

一方シウバも、前回の試合は2013年3月のUFC Japanでのブライアン・スタン戦(2R TKO勝ち)なので、4年3か月ぶりの復帰戦だ。

はたしてUFC Japanでブライアン・スタンと見せたような大激闘をシウバは見せてくれるのか?
あるいは、サネンが前回のティト戦のように、あっさりと負け、“毒舌王”ならぬ、“口だけ男“に成り下がるのか?
長年の遺恨がこもった一戦だ。


ヴァンダレイがInstagramにアップしたベラトールのポスター
https://www.instagram.com/p/BUkm1uZh-g6/?taken-by=wandfc

ヒョードルの相手は“復帰後最強の敵”ミトリオン

“ロシアン・ラスト・エンペラー”ヒョードルも、ベラトールと複数試合契約を交わした。

ヒョードルは2012年6月にロシアで開催されたM-1グローバルでペドロ・ヒーゾ(ブラジル)と引退試合を行い、約2年間試合をしていなかったヒーゾに1R TKO勝ちして引退したが、2015年大晦日のRIZINで復帰し、シング・心・ジャディブ(インド)に1R TKO勝ちした。

ただジャディブはキックボクシングこそ50戦のキャリアがあるものの、総合はヒョードル戦が3戦目という“新人”だった。だからこの一戦はヒョードルにとって、引退期間のサビを取るものでしかなかった。

その後、ヒョードルは昨年6月にロシアで開催されたEFNに参戦し、母国のファンの前でファビオ・マルドナドと5Rを戦い、2-0で判定勝ちした。

しかし、マルドナドはもともとヒョードルより一階級下のライトヘビー級の選手であり、UFCで2連敗してリリースされた男だ。そんな相手に、あわやKO寸前まで追い詰められ、関係者や目の肥えたファンからは「引き分けかマルドナドの勝ち」だという声が多く聞かれた、非常に厳しい試合だった。

その試合から1年。ヒョードルがどこまで全盛期の状態に近づけているかが、見どころと言っていいだろう。2001年から2009年まで10年間無敗だったころの自分を、40歳になった“皇帝”は取り戻せるのか?

相手のミトリオンは、元プロのアメフト選手で、TUF10に出場したハードパンチャーである。ショーン・ジョーダン、デリック・ルイス、ガブリエル・“ナオパオン”・ゴンザーガ、キンボ・スライスらにKO勝ちしている。ナパオンは柔術世界王者でありながらミルコをハイキックでKOした男だし、キンボはyoutubeに自分のストリートファイト映像をアップして名を売った“世界一有名なケンカ屋”だった。

ベン・ロスウェルと“ロンダ・ラウジーの婚約者”トラヴィス・ブラウンに2連敗してUFCを離れているが、ロスウェルはアリスター・オーフレイムに1R TKO勝ち、ジョシュ・バーネットにも一本勝ちしている選手だし、ブラウンもアリスター、ジョシュをKOしている強豪だから、彼らに負けたからといって、ミトリオンがイージーな相手というわけではない。

ミトリオンはUFC離脱後、ベラトールで2連続KO勝ちして波に乗っている。
ヒョードルの復帰後の相手の中では、“最強の敵”と言えるだろう。

ベイダーがフィル・デイヴィスのベラトールLH王座に挑戦

 

ベイダー(右)のInstagramより。 https://www.instagram.com/p/BUvKHXmgh9l/?taken-by=ryanbader

 

このベラトールNY大会には、UFC Japan 2012でクイントン・“ランペイジ”・ジャクソンを破ったライアン・ベイダーも出場する。ベイダーは、UFCで連敗してリリースされたわけでなく、“柔術マジシャン”アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラの弟、アントニオ・ホジェリオ・ノゲイラに2016年11月にTKOで勝った試合を最後に、自らUFCを離れたのだ。

ベイダーは、ベラトールとの正式契約前に、
「ベラトールからのオファーよりいい条件をUFCが出してくれるなら、UFCと再契約する」
と語っていたが、けっきょくベラトールよりいい条件をUFCが出さなかったため、UFCを離れ、ベラトールに移籍することになった。

UFCはPRIDEを買収後、最大のライバルだったストライクフォースも買収し、完全に“一強”状態がしばらく続いていたが、ここに来て、離脱する選手が出始めている。RIZINに移籍した堀口恭司もそうだ。

今回のベラトールNY大会でベイダーと対戦するフィル・デイヴィスも、UFCで連敗した訳ではなく、2015年1月のUFC on Foxでベイダーに1敗した試合がちょうど契約試合の最後だったので、UFCと計約更改をすることなく、ベラトールと契約したのだ。

ベラトール参戦後、デイヴィスはライトヘビー級GPで優勝し、その後、王座挑戦権をかけたキング・モーとの試合にも勝利して、王者リアム・マッギリーに挑戦。判定勝利して王座を奪取した。

今回はディヴィスの初防衛戦であり、前回UFCで敗れているベイダーにリベンジするチャンスでもある。

アレクサンダー・グスタフソン(左)とも練習仲間のデイヴィス(右)。デイヴィスのInstagramより。https://www.instagram.com/p/BTZKPGhholl/?taken-by=philmrw

選手のUFC離脱の理由は?

このようにベイダーやデイヴィスのほか、ローリー・マクドナルド、元UFCライト級王者ベンソン・ヘンダーソンなど、多くのUFC選手がベラトールに移籍している。

その原因は何か?

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