[ファイトクラブ]5・6 巌流島 大会総括レポート 菊野克紀 無効試合もテーマはクリア!そして新たな課題とは?

[週刊ファイト5月18日号] 収録 [ファイトクラブ] 公開中
■  5・6 巌流島 大会総括レポート by  伊藤三世

5月6日 舞浜アンフィシアターで『巌流島 ニッポンの底力!ニッポンの未来!』が開催。

この日の巌流島では無差別級と言うテーマが掲げられ、メインとセミでは巌流島のエースとして定着した菊野克紀選手と、小見川道大選手による対ヘビー級の試合が大きな目玉となっていた。

結果的にはメインの菊野選手は1Rに、下段の蹴りが交錯した際に脛が割れてドクターストップ。
平直之レフェリーからは「傷口から骨が見えている為、試合続行不可能と判断した」と説明され、無効試合となる。
※後に菊野選手自身のブログで、骨までは見えておらず傷口も3針縫っただけの軽傷であったと発表
https://ameblo.jp/kikuno-katsunori/

菊野選手が「今日は小見川さんの日だった」と語る様に、小見川選手はヘビー級のキックボクサー楠ジャイロ選手を、得意の柔道技で試合を優位に進め、最後は「巴投げ」の場外転落による劇的なTKO勝利!
この日一番の盛り上がりを見せた。

まさか小見川選手が2017年になって、これ程迄に輝く姿を誰が予想しただろうか?

谷川氏が大会後のコメントで、巌流島は「MMA以外の可能性」があり「違う自分が発見できる場所」と位置付けた様に、MMAとは違うベクトルで選手が大きく輝く光景は「巌流島」の魅力や存在意義を明確に示したと言える。

現在は参戦を希望する日本人選手が増えて来ている様で、今後ますます日本人が感情移入できる新しい格闘技コンテンツとして、充実を見せて行くだろう。

因みに今回、無効試合で消化不良に終わった感のある菊野選手に「次の試合も対ヘビー級がテーマとなるのか?」
と質問したところ、「対ヘビー級のテーマは今回で終わり。ビビらずに向かって行けたのでもう大丈夫。」と語っており、対無差別級は自身のメンタルが最大の課題であり、それをクリアできた事でひと段落したようだ。

そして菊野選手は、次の試合でどんなテーマを掲げるのか?

もはや競技として次に誰と対戦するのか?と言う次元では無い。内面的な成長物語に俄然興味が湧いて来る。

そして、早くも新たな課題が生れた事を、試合後のブログで明かしている。
https://ameblo.jp/kikuno-katsunori/

新たな課題とは何なのか?そしてその先にはどんな変化がもたらされるのか?
そうした過程を追って行く事が、菊野克紀選手を楽しむ一つの醍醐味である。

また今回小見川選手は対無差別級をテーマに掲げて素晴らしい試合をしたが、それによって無差別級の試合だから良かったと言う結論には至らない。

谷川氏も「選手の感性を大切にしたい。その人に合う様な、活きる事であればルールも変わっても良い。」と語っている様に、選手それぞれのテーマによって道筋が生まれて行く意向を示しており、その柔軟性こそが巌流島の魅力につながっている。

肌感ではあるものの、今回MMAで実績のある選手が多く参戦した事や、青木真也選手も関心を示している事などから、ファンも選手もどこか完成されたMMAと言う競技にはマンネリを感じている様に思う。

そんな中で、新たな概念で強さのヒエラルキーを再構築する「巌流島」の様なコンテンツは、業界に新たな刺激と大きな熱を生み出す可能性を多分に秘めている。

しかし、ただ単に総合格闘技の強豪を引っ張り出すだけでは面白くはならないだろう。やはり菊野選手や小見川選手の様に、自の理想やテーマを持った選手を選ぶ事が重要だ。

それこそ今回の敗戦した鈴木信達選手の様に、40歳と言う年齢で限界を感じたから「引退」と言うのではなく、幾つになっても強さを追求し続けられる様な選手が理想的だ。つまり数十年後の「達人」を目指せる様な選手である。

また谷川氏は、閉会式で子供たちた大勢並んで集合写真を撮る光景を引き合いに出し「格闘技や武道のイメージを変えて行きたい」と語っている様に、巌流島にとっては「親が安心して子供に見せられる格闘技コンテンツ」にして行く事も課題となる。

世間を巻き込む新たな格闘技ブームを生み出し、それを長く持続させる為には、格闘技が世の中の役に立つコンテンツとして認識され、文化として定着させる事が重要になって来る。

菊野選手や小見川選手の様に、礼儀正しく強い武道精神を持った選手がエースとして立つ巌流島であれば、そんな理想を実現できると信じている。


[ファイトクリエイター] 伊藤三世


▼5・6 巌流島 各試合レポート
・オープニング 忍者ショー 吉野和剛さんの黙祷から開始
・第1試合 吉田善行が判定勝利もクンタップも驚異の粘り
・チームドラゴン崖っぷち 引きこもり空手 原翔大が総合力で圧勝!
・関根シュレック秀樹 快勝!バル・ハーンは巌流島での存在意義が問われる
・レロ兄 ヴィニシアスがシャパ・ジ・コスタでKO勝利!鈴木信達 引退表明!
・シビサイ頌真 試合は圧勝するも内容には不満 もっと派手な試合をしたい
・小見川道大が柔道で小よく大を制す!巴投げで魅せた!!
・菊野克紀 脛割れ無効試合も対無差別級のテーマはクリア!そして新たな課題とは?


■ オープニングは黙祷から開始

大会のオープニング前に谷川貞治氏が闘技場に立ち、前回大会のオープニングで忍者ショーを行ったパフォーマー吉野和剛さんが、4月10日にリハーサル中の転落事故により亡くなった事が告げられた。

谷川氏は「巌流島を盛り上げようと誓い合った仲でまさに身内でした」と説明し、観客も起立して1分間の黙祷を行った。

メインイベントでの試合を控えていた菊野選手はこれに対し、SNSで以下の様に書き込みをしており、試合に対するメンタルの部分で影響を受けた事を明かした。

「今回試合までにいろんな想いが巡って心がグラグラしてたけど忍者ショーで亡くなった方への黙祷で覚悟が決まった。どんなに幸せを感じていても次の瞬間に生きてる保証はどこにもない。じゃあ今を全力で生きたい。生きなきゃ損だ。試合中、全力で今を生きることは出来た。結果は残念だけど悔いは無い。」

そして、いよいよオープニング演出開始。 今回は侍の殺陣を主軸としたアクロバティックなパフォーマンスで観客を魅了した。
今回はシンプルかつコンパクトにまとめられていた印象で、全体を通してみても前回大会の様に1試合毎の演武演目などは無くなっており、必要最小限の演出に洗練された印象であった。

前回大会後のファンの意見の中には「1試合毎に演目を挟むのはテンポが悪い」と言う意見も見られ、それに配慮した形であろうか。


■吉田善行が判定勝利もクンタップも驚異の粘り
<第1試合 75kg契約 3分3R>
○吉田善行(RIGHT THING ACADEMY/HALEO TOP TEAM/元ケージフォース・ウェルター級王者/柔道)
判定3-0
●クンタップ・チャロンチャイ(タイ/元WMC世界ウェルター級王者/ムエタイ)
第1試合は、柔道をバックボーンに総合格闘技の実績も豊富な吉田善行選手と、ムエタイ王者のクンタップ・チャイロンチャイの試合。
吉田選手が得意の投げ技とグラウンドの攻撃で優位に試合を運ぶも、クンタップも気迫で耐えしのぎ決定打を許さなかった。

結果は吉田が確かな実力を見せつけて判定勝利!
クンタップも驚異の粘りで気持ちを見せた事で、次への期待を感じさせる戦いぶりであった。

谷川氏は大会後のコメントで、クンタップは「もっと完敗すると思った」とその本音を明かすと共に「理想的な試合をちゃんとやってくれる良い選手」であると高く評価し「こういう選手は大切にしたい」と今後の大会にも出して行きたい意向を示した。

入場時の立ち振る舞いなどを見ても、プロ格闘家としてのオーラや色気がある選手なので、今後の活躍に期待したい。


■チームドラゴン崖っぷち 引きこもり空手 原翔大が総合力で圧勝!
<第2試合 63kg契約 3分3R>
●北井智大(チームドラゴン/RISEライト級(63kg)9位/キックボクシング)
3R 0分15秒 一本 グラウンドパンチ⇒レフェリーストップ
○原 翔大(リバーサルジム川口REDIPS/空手/極真館’13全日本ウェイト制65kg級優勝)
北井選手は投げやグラウンドに対応し切れず判定敗け。
主力選手が抜けた崖っぷちのチームドラゴンにあえて残留した北井智大選手と、出直しを図る前田憲作会長には涙を誘うものがあったが、どん底から更にどん底に突き落とされる様な厳しい結果に終わった。

谷川氏は「そこから這い上がって来るチームドラゴンを観たい」と、同じ様にどん底を経験した立場からエールを送る。

また原選手が巌流島に出場を直訴して来たエピソードも明かすと、「引きこもり」をしきりに強調しながら「良いキャラに出来ますよ」と期待を寄せた。

【巌流島公式サイト】

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