[ファイトクラブ]UFC女子フライ級新設か? 中井りん参戦なら初のUFC日本人王者誕生も

[週刊ファイト5月11日号]収録 [ファイトクラブ]公開中

UFCが女子フライ級(125ポンド=57㎏以下)を新設し、TUFトーナメントで初代王者を決定、というリリースUFCからメディアに送られた。中井りんが参戦すれば初の日本人UFC王者誕生の可能性も。
ストロー級王者ヨアンナは今月の防衛戦後、マクレガーに続き同時二階級制覇を目指すか?

文:稲垣收

・セクシーなコスプレで注目集める中井りんだが、現在世界ランク3位で実力は本物!
・日本でデビューした“アニヲタ・ファイター”ロクサンは5位。
・“氷の女王”ヨアンナはマクレガーに続きUFC同時二階級王者になる?

日本のRIZINでも、ジョシカクの熱い戦いが繰り広げられているが、世界最高峰の総合格闘技大会UFCでも、女子部門がさらにヒートアップしそうだ。

これまでUFCの女子部門はバンタム級(135ポンド=61㎏以下)、ストロー級(115ポンド=52㎏以下)、そして今年2月に新設されたフェザー級(145ポンド=66㎏以下)の3階級のみだった。

(昨年6月のUFCファイトナイトで一度だけ、ジョアンヌ・カルダーウッドvsヴァレリー・レトゥルノーのフライ級マッチが行われたが、これはオファーが試合の7週間前だったため、カルダーウッドの希望でフライ級で行われることになっただけで、その後UFCで女子フライ級マッチはなかった。)

バンタム級とストロー級の間は9㎏も差があるため、この2つの中間であるフライ級の新設が多くの女子選手から望まれていたのだが、UFC側は慎重で、なかなか実現されなかった。そのためストロー級でヨアンナの王座に挑戦したこともあるレトゥルノーは、フライ級のあるベラトールとの移籍契約に4月24日にサインしてしまった。

そうしたことも考慮したのか、UFCは女子フライ級を新設、UFCの登竜門番組である「ジ・アルティメット・ファイター」(TUF)のシーズン26でトーナメントを行い、優勝者を初代王者とする、というリリースを発表した。

この「TUFのトーナメントで初代王者を決める」という方式は、2014年にTUF 20で行われ、同シーズンで優勝したカーラ・エスパルザが女子ストロー級初代王者になった。

(そのカーラを初防衛戦で破って第2代女子ストロー級王者となったのが“氷の女王”ことヨアンナ・イエンジェイチックだ。アーネスト・ホーストの弟子のキック元世界王者ヨアンナは、凄まじい打撃の連打を武器とし、現在4連続防衛中だ。)

UFCは、TUF 26のトライアウトを5月23日にラスベガスで行うというプレス・リリースをメディアに送った。応募資格は21歳から34歳までの女子で、プロで3勝以上しているのが条件。現在UFCで他の階級で試合している女子選手も参加可能だ。TUF 26は、もともと女子ストロー級とバンタム級、そして男子ミドル級でのトーナメントが行われる予定だったが、これはキャンセルとなったという。

ところが、このリリースは「誤って送ってしまったもので、最終決定ではない」という発表が、UFCからなされた。しかし、流れから見て、UFCに女子フライ級が新設されるのは間違いなさそうだ。

ちなみにTUFは、2005年にシーズン1が米スパイクTVで放送されて以来、長年人気を誇るリアリティ番組だ。若手選手たちをラスベガスの豪邸で2ヵ月ほど合宿させ、UFC王者クラスの有名ファイター2人がコーチとして2チームに分けてUFCトレーニング・センターで特訓させ、トーナメントを行う。そして優勝した者がUFCと6ケタ(総額10万ドル)近い契約を結び、UFCに出場できる、というもの。

UFCのナンバー大会と違い、無料視聴できるチャンネルで放送されるため、コアな格闘技ファンだけでなく、ライト層のファンにも人気となり、出場選手たちもキャラが立っていれば人気者となり、たとえ優勝できなくても、UFCに出場できるケースが多い。

現在「シーズン25」が米のフォックス・スポーツ1で放送中で、TUF25決勝大会は7月7日(現地時間)にラスベガスで行われる。

TUF26は7月ごろから撮影が開始される予定だ。

中井りんやロクサンが参戦すれば面白い!

現在、女子フライ級のユニファイド・ランキングは、以下の通り。

1位 ジェニファー・マイア (ブラジル、14勝4敗1分) Invictaフライ級王者
2位 ヴァネッサ・ポルト (ブラジル、18勝7敗) Invicta
3位 中井りん(19勝2敗1分)
4位 サラ・“ザ・モンスター”・ダレリオ (米、11勝6敗) – ベラトール
5位 ロクサン・モダフェリ (米、19勝13敗) – Invicta
6位 アグニエスカ・ニェジヴィェッチ(ポーランド、9戦全勝) – Invicta FC
7位 アリアーネ・リプスキ (ブラジル、8勝3敗) – ブラジル国内大会
8位 ジンジャン・ション(熊竞楠)、(中国、9勝1敗) – クンルン・ファイト
9位 マリーラ・“ショコラーテ”・サントス (ブラジル、8勝1敗) – クンルン・ファイト他
10位 ジュリエット・“ジュ・ピットブル”・ジ・ソウザ・シウヴァ (ブラジル、7勝2敗)

RIZINの計量での中井りん。注目を集めるためのセクシー・コスプレのためにイロモノに見られがちだが、後のUFCバンタム級王者ミーシャとの激闘や村田夏南子への一本勝ちで示した実力は折り紙つきだ。

3位にランクされた中井りんは、2014年9月のUFC日本大会でミーシャ・テイト(後の第3代UFC女子バンタム級王者)と戦い善戦した実績を持つ。レスリー・スミスに敗れてUFC離脱後は、PANCRASEでライカ、シャーリーン・ワットに連続TKO勝利し、昨年12月29日にはRIZINにも参戦して、“吉田沙保里のライバル”村田夏南子に一本勝ちしている。

だが、今年2月には、体調不調を訴え、中井りんとしての活動を休止したい、と自身のブログに書いた。PANCRASEではバンタム級王座を保持していたが、その返上を求められてモメているようで、しばらく試合から遠ざかっているのが気になるところだが、フライ級の世界トップを狙える実力を持っている選手なので、TUF26で女子フライ級初代王者決定トーナメントが行われるなら、ぜひ参戦してほしい。

TUFには、昨年のシーズン24に扇久保博正(おうぎくぼ ひろまさ)が参戦し、準優勝している。同シーズンは優勝者がUFCフライ級王者デメトリアス・ジョンソンに挑戦する、というもので、扇久保は王座挑戦まであと一歩というところまで行ったのだ。

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