80’s プロレス黄金狂時代

 プロレス黄金の時代、それはひとそれぞれの“夢の領域”であったのかも知れない。いまや伝説と化す大男たちが織り成すダイナミズム、迫真に満ちたドラマ、リング四方、隅々にまで転がっていよう“喜怒哀楽”という名の影。見る者はあるとき、そのダイナミズムに酔い、あるときドラマに涙し、自身の人生を照射させ、感慨を膨らませていった。
 そこには、幻想があり、夢が数多く散りばめられており、だからこそ、心の底から酔えたのではないか!?
そんなかなたのプロレス格闘浪漫を、「美城流」と謳われる著者がミルホンネットのお知らせブログ欄上で書き綴り、大変な好評を得ているシリーズのノーカット完全版を一気に15編、最新情報を加味して再編集出来!!
“G・馬場、B・ブロディ、A・T・ジャイアント、S・ハンセン、R・ボック、井上義啓、A・T・ブッチャー、WWE、猪木&馬場、T・J・シン、ハンセン&ブロディ、地方巡業讃歌、村松友視、A・猪木、藤波辰爾”
 15編に紡ぎだされた著者の思いが、読む者を、かつての“夢の領域”へと手招きする。
 “魂暴風”シリーズも大好評!!読了後の、なんとも言えぬ懐かしさと哀感の二重奏。プロレス格闘コラムを80年代から有為の場所で書き連ねてきた著者による、昭和プロレス回顧に先鞭を付けたとも称される美城丈二の世界。是非、合わせてご購読ください!!

 B・ロビンソンをシリーズエースに従え、我が地方へと転戦してきた折り、会場で見上げたジャイアントの馬鹿でかさに肝が冷えた筈ではあろうのに、奇妙なことに、実際に目の当たりにした姿態に私はなんだか温かい気持ちが自身の中で湧き上がってしまったことが未だに強烈な陰影と共にこの心根に深く記憶として刻み込まれている。断片だけだが、思い起こす度に不思議とあのジャイアントの姿態が私に日本人気質、化け物見たさという勘考を植え付けず、邪魔をせず、いわば良い陰影でしか捉えていないのは何故なのだろう?
 もう自分には手に負えない、いわば後光がかった存在だとか、違う空気を吸い、放出しているだとか、いわゆる未知なるものに崇敬なる面持ちで接している、いたとでも言うべき按配だったのだろうか?
ゆえに、私はのち長くジャイアントに対して終始一貫、彼が冥土に臥されるまで、いや臥されたのちも好感以外の感情で彼をものしたことは無かった。
 だから私は猪木氏の全盛時、vsジャイアント戦を好まなかった。コーナーに押し込められ、憤怒の形相で挑みかかる猪木氏に独特のうめき声を発し、苦痛の表情を見せるジャイアント。この“化け物退治”と言わんばかりの構図がなんとも厭(いや)であった。ジャイアントが力任せで猪木氏を押し返した時の館内ファンのどぉーと一気に辺りを支配するかのような溜め息。vs猪木戦では会場、誰ひとりとてジャイアントの味方など居ないのではないか?そんな想いで館内を見渡したことさえある。
              「A・T・ジャイアントの深奥」本編抜粋

【目次】
超獣の煌き・ブロディの憂憤
A・T・ジャイアントの深奥
ジャイアント馬場の覇道
スタン・ハンセンという"絵図"
ローラン・ボックの"戦慄"
外伝・井上義啓氏について
A・T・ブッチャーの"特異性"
異聞・"隔絶"としてのWWE
猪木と馬場の"確執"
T・J・シンの"光芒"
忘れがたき咆哮と鮮烈"ハンセン&ブロディ"
地方巡業という名のノスタルジー
村松友?という名の"風"
アントニオ猪木という名の"巨星"
藤波辰爾という名の"羨望"
全91ページ

 ☆併せて読めばきっとあなたも昭和プロレス通!!
  
『美城丈二の“80's・プロレス黄金狂時代”〜時代の風が男達を濡らしていた頃』Digital Remaster Act1

80's プロレス黄金狂時代

商品コード yoshikijyo008

価格 525 円

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