北岡悟が喜びを爆発させた。ついに大舞台で花開いた。
ライト級グランプリ、準決勝では光岡映二をヒールホールドで秒殺、決勝ではGRABAKAの横田一則をかわしきった。1月4日の『戦国の乱2009』さいたまスーパーアリーナ大会では、ついに五味隆典との一騎打ちが実現する。
リングでのマイクはほろりとさせられる名前を出した。「ここまで来るのに長かったような短かったようなぁ~。でもここまでの苦難はここに来るためのタメみたいな感じで嬉しく思ってます。みなさんの声援で勝つことができました。僕の格闘技の先生、鈴木みのるさん、中井祐樹先生、感謝してます。そして・・・船木誠勝さん、感謝してます。ありがとうございます。これが言いたくて優勝しました!」
ここで船木の名前が出るとは。決勝は一本決着ではなかったが、マイクには一本取られた。
試合後の記者会見では、「青木真也のセコンドでさいたまスーパーアリーナに行ったとき、船木さんが一緒の控え室で、船木さんのほうから”気にすんなよ、応援するから”と言ってくれました」と秘話を紹介した。またDEEPの会場では、「五味戦が実現するようがんばって!」と激励されたという。思えば長い道のりだった。
記者からは、「戦極のエースなのか」との質問も飛んだ。それに対しては、「戦極を引っ張る仲間に入った程度」だと言う。もっとも、「でもやっぱり、大舞台が向いていた」とも大口を叩いた。何を言っても許される試合はやってのけた。
光岡戦を振り返って、「10回やったら2、3回勝つだけ。その2、3回が最初に来た。それだけ光岡は凄い」と相手をほめた。「極めたかったが、(パンクラスで闘った)井上克也ならタックルを切るだけ。いっぽう光岡は、切りながらも次の攻撃を考えて動いている分だけ、逆にふところが広く空きがあったのでうまく入れた」と振り返る。
一方の横田戦は、PPVの実況席で川村亮が「横田は苦手」と発言していたのを聞いていたという。「一本は目指していた。自分から組んで極める(作戦だった)」という。しかし、会見に現れた北岡の顔は腫れ上がっていた。
「下からのパンチをもらった。なんとか切り抜けた」と激闘を振り返る。もっとも、横田がロープ際に逃げるかのような場面が散見された。ブレイクにされたが「木村サメオ(レフェリー)は鬼だな。まぁ、リングだから・・・」とこだわりはなさそうだ。
いかに横田が追いこんだか。「ワンマッチなら絶対に勝つ」と強気のまま
横田は試合後会見で、「根性負けだった」と分析した。廣田瑞人戦で足が腫れて、引きづっていたことがポイントだ。「得意だったのにタックルを切ることができなかった」、「スピード系なんで、スタミナが切れると本来の実力が出せなかった」という。その廣田戦にせよ、「パンチは貰わなかった」というが、秒殺で光岡を退治した北岡に比べて、3R判定にもつれこんだハンディは大きい。試合後、ワンマッチを申し込んだというが、北岡に断られたという。「向こうの気持ちが強かった」と無念を隠しきれない。
北岡は、3R終了間際に右フックを命中させているが、会見ではそれほど自慢はしなかった。また、準決勝と合わせて4、5回裏拳まで見せたが、記者が「当たらなかったが・・・」と聞いたら、「一回は当たった。ちゃんと見てくれ」と胸をはった。「回転技をやりたかった。変則だと見せたかった」そうだ。
いずれにせよ、北岡と五味だけがプロの魅せる試合をやった印象が残る。5時間半の長すぎる興行は退屈な判定試合も少なくなかった。
「戦うべきなのは五味選手ではなく、五味に勝ったロシアの選手なのでは?」と質問してみたが、「ニーズは五味選手とやること」ときっぱり。「ロシアの選手なら秒殺だ!」と切り返した。「今の五味選手より自分のほうがキツイことやってるでしょう。練習も、試合も。だから言ったんですよ、受けてたつって。なんか文句ありますか!」
文句ありません。主役は『戦極ゴールド』やPPV中継の煽り広告でもフューチャーされていた通り、北岡悟が主役の一日だった。
北岡悟がライト級GP優勝~戦極~第六陣~1・4五味隆典と対戦へ
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