リキシやセイビンらが急遽欠場。それでも“プロレス界活性化”のためプロレスEXPOを開催するというのか?

 現在All Aboutに、10月24&25日に両国国技館で開催される「ProWrestExpo」の主催者であるフリーバーズインターナショナル・ジャパンの大野禄太郎氏へのインタビュー記事が掲載されている。この記事の中でプロレスEXPOに関するネガティブな記事が出たことについて、大野氏が「“業界を盛り上げよう”という同じ意志を持っておられるとは思いますから、尚更、憶測での記事は書いて頂きたくないですよね」と答えている。
 恐らくプロレスEXPOに関するネガティブな記事とは、当サイトのブログ記事や、元週刊ファイト編集長である井上穣二記者の「週刊マット界舞台裏」のことも含まれると思われる。
 しかし、本当にフリーバーズインターナショナル・ジャパンはプロレス業界を盛り上げようとして、プロレスEXPOの開催を決めたのだろうか?
 前述のインタビューで大野氏は、25日がノアの日本武道館大会とバッティングしていることについて「想定外でした」と答えている。さらに同日は新日本プロレスも全日本プロレスも地方で興行があるのだが、そのことに関しても「蝶野(正洋)選手以外は出場できないと思います」とのこと。
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 なぜ両国国技館を2日も押さえて、大々的にプロレスEXPOを開催しようと考えた際に、まずメジャー団体であるノアや新日本、全日本に協力を仰がなかったのだろうか? プロレス界の活性化のためというのなら、まずはメジャー団体に協力を求め、スケジュールも調整し、一致団結してビッグイベントを成功させる必要があると考えるのは当然だろう。
 それどころか両国と武道館という近距離で、観客を奪い合うような興行戦争を起こしてしまっては活性化どころではない。先に日程と会場を決め、あとから各団体に「協力してください」と言っても無理があるというものだ。
 さらに大野氏は知名度の低い”未知のレスラー”が多数出場するのは、EXPOのコンセプトとしながら、集客に結び付かないことを認めている。では、なぜ両国で2日間、3大会なんていう無謀な日程を組んだのだろうか?
 そのコンセプトであるのなら後楽園ホールでもよかっただろうし、それどころか新木場1st.RINGクラスの会場でもよかったはずだ。まだ旗揚げ戦なのだから、例え会場は小さくともお客さんを満員にして、熱気ある大会を行うことが最優先だろう。そういう大会を積み重ねた上で、両国に進出しても決して遅くない。
 招待券を配って国技館を埋めてもプロレス界の活性化にはつながらないし、本当にプロレス界の活性化を考えて行う大会だということが伝わってくれば、ネガティブな話題だって出てこないというものだ。今回のプロレスEXPOはあまりにも安易というか、思わず指摘したくなることだらけなのだ。
 しかも「週刊マット界舞台裏」で指摘された通り、大会1週間前になってリキシやクリス・セイビンら目玉選手の一部が欠場することが発表される有様である。
 完全に準備不足を露呈した形になったプロレスEXPOだが、中止して一からやり直すのではなく、予定通り開催するのであれば、プロレス史に汚点を残すような大会にすることなく、せめて素晴らしい内容で次につながるような大会にしていただきたい。
 ⇒週刊マット界舞台裏’08年8月07日号プロレスEXPO発進
 ⇒週刊マット界舞台裏’08年8月14日号サイモン猪木ブッカー
 ⇒週刊マット界舞台裏’08年9月25日号“国籍偽装”疑惑