ゼロワンと離れたFOSが運営するプロレス万博に、IGFが合流!?

 後藤洋央紀の初出場・初優勝という快挙で幕を閉じた新日本プロレス真夏の祭典「G1クライマックス」。この結果、全日本プロレス8・31両国国技館大会で、後藤が武藤敬司の持つIWGPヘビー級のベルトに挑戦することが決まった。
 このG1には新日所属選手以外にも、全日本プロレスから小島聡、ドラディションから吉江豊、肩書きはフリーとなっていたが事実上ハッスルから川田利明、そしてZERO・1MAXからは大谷晋二郎が出場した。これだけ他団体の選手が参加したということは、当然その団体関係者と新日のフロントが、今後について話し合いを持ったことが容易に想像できる。
 団体の長である藤波辰爾が、新日とユークスを提訴している状態で、ドラディションの吉江が今後も新日のリングに上がるかどうかは微妙なところだが、その件に関しては「マット界舞台裏’08年7月24日号」で詳しく書かれているので、気になる方はそちらを参照されたい。
 いま一番ホットなのは、当サイトでも何度か取り上げているZERO・1MAXのことだ。G1終了の翌日、記者会見を開いたファーストオンステージ(FOS)の中村祥之代表は、「これ以上ZERO・1MAXの現場の選手が混乱することのないように、棲み分けをする」と語り、今後ZERO・1MAXは大谷体制のもと、単体で興行をやっていく一方、FOSは興行運営会社としてZERO・1MAXとは関係のない興行を運営していくこともあると説明した。
 これは以前当サイトでも書かれたが、FOSが10・24&25に両国国技館で開催される「P r o W r e s  E X P O  in J a p a n」(プロレス万博)を運営することに関して、ノアが激怒していることが少なからず関係していると思われる。
 ZERO・1MAXは統一機構GPWAに加盟しているため、10・25に日本武道館大会を行うノアにしてみれば「同じ日に近距離でビッグマッチをぶつけてくるなんて、喧嘩を売っているのか?」と思われても仕方がない。だが、プロレス万博はあくまでもFOSが運営するだけでZERO・1MAXは関係ない。そのことを改めてアピールする意味で、「棲み分けをする」という会見を開いたわけだ。
 だが、そもそもGPWA自体、FOSの中村氏とノアの三沢社長らが中心になって作った機構であり、ノア側は中村氏に激高し、背徳行為として告訴も辞さない構えだという。その辺は「週刊マット界舞台裏’08年8月07日号」や「同’08年8月14日号」に詳しく書かれているので、ぜひお読みください。
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 ノアの怒りを知ってか知らずか、中村氏はすでにGPWAに見切りをつけ、GPWAに加盟していない古巣・新日に接近。G1の会場でも中村氏が関係者と話し込む姿が目撃されたようだが、上記の会見でも発言しているように、今後FOSは蝶野正洋プロデュースの「PREMIUM」や「プロレス万博」の運営に注力していくことになる。
 一時、中村氏が強力なスポンサーを連れて、蝶野らレジェンド勢と共に、PREMIUMを新日&ユークスから独立させ、“真・新日本プロレス”を名乗るという噂もあったが、どうやらその件は頓挫したようだ。ひとまず新日を敵に回すよりは、組んでやっていったほうがいいと判断したのかもしれない。結局、PREMIUM独立の話が、プロレス万博へと変化していったと思っていいだろう。
 さらにこのプロレス万博には、IGFのサイモン・ケリー・猪木氏がブッカーとして協力するという話も。これも「週刊マット界舞台裏’08年8月14日号」に詳しく書かれている。活動休止も噂されるIGFだけに、サイモン氏だけでなく、IGFそのものがこのままプロレス万博に合流という可能性もある。もちろん万博に“プロレスの象徴”として、アントニオ猪木を登場させることも込みでの話だ。
 つまり、かつて新日の主導権を巡って対立した猪木と蝶野が、プロレス万博でまさかの再合体を果たすかもしれない! それどころか長州力や藤波らレジェンドと、IGFの小川直也がまさかの再会を果たす可能性まで出てきた。
 そして現在、中間の立場で状況を見守っているのが全日だ。全日も決して台所事情が潤っているわけではない。現在武藤が持っているIWGPのベルトだって、いつかは新日に返すことになる。このまま新日との交流を続けるのか、それとも中村氏&蝶野と合体してPREMIUMやプロレス万博に協力するか、はたまたGPWAには加盟していないが、三沢ノアとまさかの合体を果たすか。
 道はいろいろとあるだけに、武藤社長は頭の中でそろばんを弾きながら、慎重に状況を見守っていることだろう。昨年末は格闘技界がまさかの大連立で話題になったが、今年はプロレス界が生き残りを懸け、大きく再編成されることになりそうだ。