UFC Fight Night13 話題集中 ケニー・フロリアンの魅力とは?

 4月2日(現地時間)、コロラド州ブルームフィールド・イベントセンターにてUFCの登竜門的なイベント、『UFC Fight Night13』が開催された。
 日本でも御馴染み、『PRIDE武士道10』で五味を絞め落としたマーカス・アウレリオが、今大会ではなんと12秒で腕十字勝利し、更にジェームス・アーヴィンがヒューストン・アレキサンダーを右ストレート一発でKO、UFC最短試合記録を作るなど話題の多い大会であったが、メインを飾ったのは、日本でもじわじわと話題になっているケニー・フロリアンだ。
 ケニー・フロリアンは、UFC躍進のきっかけとなった『The Ultimate Fighter 1』の決勝でTUFで人気を誇ったディエゴ・サンチェスと決勝で戦って表舞台でデビューした選手だ。
 サンチェス戦はまだまだ経験不足もあり、敗れているものの、その後、『The Ultimate Fighter』『UFC Fight Night』などで連勝を続け注目を集めてきた。
 日本で一躍知名度がアップしたのはなんと言っても、あの三島☆ド根性ノ助からチョークスリーパーで一本勝ちをした試合だろう。『UFC Fight Night 9』(2007年4月5日)で行われた試合であるが、日本の軽量級においてレスリングと寝技は随一とされている三島相手にテイクダウンを切り、打撃を叩き込み、バックを取ってチョークスリーパーと、日本ではまったく無名のフロリアンがあの実力者三島を子供扱いして完勝したのは我々には衝撃的なニュースだった。
 今回も、あのジェンス・パルヴァーを秒殺KOしている強豪、ジョー・ローゾンを相手にマウントパンチで快勝、今後はタイトル戦線に絡んでくると思われる。
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フロリアンの執拗なエルボー攻撃でジョー・ローゾンの後頭部がざっくり PPV中継より
 ケニー・フロリアンのその止まらない、動き続ける軽量級らしいスピーディーな攻防を格闘技マニアは評価しているが、彼の一番の人気の秘密はなんと言ってもエルボーだろう。とにかく、このフロリアンはUFCの選手の中でも特にエルボーを得意としており、何発も何発も相手に叩き込む。
 今回の試合も1R早々にローゾンの後頭部にエルボーを叩き込み、血だるまにしている(後頭部は反則の為、減点1)。
 これはかつて日本人が本場ブラジルのVTを初めて見た時の衝動に似ており、スポーツ化、競技化の進むUFC、北米の総合格闘技において、危険で野蛮な男の戦いが注目を集めるのは、なんとも皮肉である一方、格闘技にはこうした危険なものを多くの観客が望んでいる現われでもある。
 地上波中継の決まったエリートXCでも人気が爆発してる”ストリート・ファイター”キンボ・スライスもそうだが、こうした危険な戦いをする雰囲気のあるファイターに人気が集まるのは世の常だ。そう考えると日本でも綺麗にまとめようとしてて視聴率も大惨敗だった『DREAM』よりも、前田日明が行った『アウトサイダー』の方が格闘技マニアや評論家から酷評されようが、正しい選択をしているのかもしれない。
主な試合結果
○ケニー・フロリアン(2R3分28秒 TKO)ジョー・ローゾン×
○チアゴ・アウベス(2R34秒 TKO)カロ・パリシャン×
○ジェームス・アーヴィン(1R8秒 KO)ヒューストン・アレキサンダー×
○マーカス・アウレリオ(1R16秒 腕ひしぎ十字固め)ライアン・ロバーツ×